第11話 さて──
「さて、ミツヤくん。今回の敵は若返らせる能力を持っていたわけだがね」
「はあ」
「若返りには二種類あるんだ。つまり、過去へもどるか、未来へいくか」
「過去はわかりますが──未来とは?」
「簡単に言えば『特殊なアンチエイジング』だよ。たとえばなにかを注射してシワをとった──これは若返りの一種だが、人生の時を巻きもどしたわけじゃないね?」
「はい」
「つまり、おとなが若返りの未来を手にいれたと言えるんだ。身体が子どもにもどったにもかかわらず、記憶が残っていたり、身につけた芸が残っていたりするのは、まさにこの手の若返りなのじゃないかと思うね」
「なるほど。特殊なアンチエイジング⋯⋯」
「しかし、そうなるとだね、ミツヤくん。ひとつだけ気になることがある。病気がある人間はどうなるのだろう」
「持病⋯⋯とかですか」
「うん。高血圧なんてのはなおるだろうが、いま体内に病として存在するものが消えるとは思えないね」
「ははあ」
「なんだい。なにかおかしなことを言ったかな」
「いえ」
「言っておくが、わたしに病気はないよ」
「はあ」
「その顔はうたがっている顔だなあ」
「そんなことはありませんよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます