第11話 さて──

「さて、ミツヤくん。今回の敵は若返らせる能力を持っていたわけだがね」


「はあ」


「若返りには二種類あるんだ。つまり、過去へもどるか、未来へいくか」


「過去はわかりますが──未来とは?」


「簡単に言えば『特殊なアンチエイジング』だよ。たとえばなにかを注射してシワをとった──これは若返りの一種だが、人生の時を巻きもどしたわけじゃないね?」


「はい」


「つまり、おとなが若返りの未来を手にいれたと言えるんだ。身体が子どもにもどったにもかかわらず、記憶が残っていたり、身につけた芸が残っていたりするのは、まさにこの手の若返りなのじゃないかと思うね」


「なるほど。特殊なアンチエイジング⋯⋯」


「しかし、そうなるとだね、ミツヤくん。ひとつだけ気になることがある。病気がある人間はどうなるのだろう」


「持病⋯⋯とかですか」


「うん。高血圧なんてのはなおるだろうが、いま体内に病として存在するものが消えるとは思えないね」


「ははあ」


「なんだい。なにかおかしなことを言ったかな」


「いえ」


「言っておくが、わたしに病気はないよ」


「はあ」


「その顔はうたがっている顔だなあ」


「そんなことはありませんよ」

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