第10話 あたらしい予言者が──

「あたらしい予言者があらわれたそうですね、カズトヨさん」


「そうらしいね、ミツヤくん」


「予言とはいったいなんなんでしょうか」


「というと?」


「どこからどう『見ている』のかと思いましてね」


「予言は能力のなかでも特殊でね、神性存在の介在というものを考えないわけにはいかないんだ」


「神性存在──わかる気がします」


「未来の出来事を憶測ではなく『事実』として語るということは、その未来が現在と同時に存在していると認めるということだ。事件が『実際に』おきた。わたしはそれを見た。予言というのはそういうものだろう? 時は切りとれるものじゃないんだから、わたしやきみの目には現在しか映っていないだけで、一分先の未来、百年前の過去、すべての時間はおなじ場所で、同時にながれていると考えられるんだよ。この、ありとあらゆる時間がいっぺんに進行しているなかで、ありとあらゆる事象を俯瞰する。そんなことがただの人間にできるはずがない」


「つまりそれをできる何者かが、自分とコネクトできる人間に小出しに情報を与えている──」


「まあこれは能力研究者の意見だがね」

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