第2話 人間とは──
「人間とは本当にくだらない生き物だと思いますよ、カズトヨさん」
「まあ、複雑であることはたしかだね」
「自分だけが不愉快な人生を送ってきたと思っているんです」
「そして、自分だけは『ちがう』と思っている」
「そうです」
「自分というものを他者との比較のなかに見いだそうとすると、たしかにつまらない方向に曲がっていきがちだね。だいたいが上を見るか下を見るかしてしまう。上を見てあざけるか、下を見てさげすむか。自虐のなかで舌を出し、いつわりの服従で快感を覚える」
「ええ」
「しかしね、ミツヤくん。すくなくともミツヤ=レイジという男は、くだらないどころか非常に愛おしいね。──ねえ、ミツヤくん、それでいいじゃないか」
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