やがて水になる

暇の三

プロローグ、水へ還る、水へ還る、、、水へ

第1話--「水」

眼球が水になるーー透明な冷たい「海水」に

「お母さん?お母さんー―お母さんーーー」

手錠を付けられーー檻の中に閉ざされた「居住施設」の中で、

彼女は「母」の名前を呼ぶ


どろりーー「母」は、水を口から出した

「あ、がぶ、あ」

指先が、水になるーー足が溶ける、ずるりと消えていく


「おかあさーーーん」

6歳の子供は、この「実験施設」の中で、どうしてお母さんだけが自由に出られるのだろうと思っていた?

どうして檻の外に出られるの

「次郎、吉、、助けてーーたすっ、、、けけけけけけけけけk、あ、ふ」

ーー昔好きだった男が、大好きだったキャラクターから命名した「次郎吉」という名前を最後に、最後に一回だけ読んで、彼女は完全にーー水へ変わった



おぎゃーおぎゃーーまだおさない、弟ーー「成人なりひと」が泣き叫ぶ

ーーそんな、成人いつもミルクをあげる「おばさん」たちが今日は固まって青ざめていた



「うわぁ」

自分の悲鳴で目を覚ます「はぁ、、、はぁ、、、なんだ夢か」

そうはいうものの、5年前の紛れもない事実である

次郎吉は、布団を畳、障子を開け、外に出る


ーー今にも、降りそうな葵い月が笑っていた。優美に

「、、、終わってないんだな、次は私の番かもしれないなんだな

、、、、怖い、、、、怖いよ、、、、助けて」

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