第12話 恒興確保

 三吉唯香

 徳山大志

 藤吉七瀬

 樋口美月


 徳山たちはコンプリートガチャに手を染めた。

 コンプリートガチャとは携帯電話用などのソーシャルゲームにおけるアイテム課金の仕組みの一つ。不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法のカード合わせの手法)に抵触する行為。


 カプセルトイ(ガチャ)のようにランダムに入手できるアイテムのうち、特定の複数アイテムをすべて揃える(コンプリートする)ことでレアアイテムを入手できるシステムのことを指し、コンプガチャとも呼ばれる。 

 業界団体のガイドラインでは、「有料ガチャアイテムを含む特定の2つ以上の異なるアイテム等を全部揃えることを条件として、ソーシャルゲーム等で使用することができる景品類たる別のアイテム等を利用者に提供する方式」と定義している。


 携帯電話用などのソーシャルゲームは多くが基本無料を謳っており、アイテム課金によって利益を得るシステムになっている。


「ガチャ」とは、カプセルトイの俗称「ガチャガチャ」「ガチャポン」に由来し、ランダムにアイテムを入手できるゲーム内のシステムで、ガチャは1回ごとに課金を伴い、携帯電話の使用料と一緒にユーザーが支払うことになる。ゲームによっては無料のガチャがあり、一定時間(1日1回~数回など)経つとできるもの、特定のミッション(レベルを上げる、フレンドを増やす、ゲーム外のコラボイベントなどでのチケット入手)でできるものがある。


 特定のカードやアバターのようなゲーム内アイテムを手に入れようと思っても、ガチャの場合は欲しいアイテムを直接購入することはできない。欲しいアイテムがある場合は、くじを引くようにそれが当たるまで何度もガチャを行う権利を有料(または無料)で購入する必要がある。特にコンプリートガチャの場合は、目的となるレアアイテムを手に入れるため、ガチャを通して出る複数の特定アイテムをすべて揃えなければならず、揃うまでに多数の重複するアイテムを購入することになる。それによりユーザーへ多額の課金が発生することになる、社会問題にもなった。


 2012年(平成24年)5月5日、日本の消費者庁がコンプリートガチャを不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)違反であるとして、ゲーム会社に注意を喚起する方針であると報じられた。ガチャはゲーム内の仮想通貨を使う。仮想通貨の購入にはお金が必要で、後日、携帯電話の使用料や予め登録したクレジットカードに請求される後払いの形になっている。このため、未成年者が親のクレジットカードまで使い込むケースも出てきており、消費者庁に苦情が多数寄せられていた。


 消費者庁が問題視しているとされるのは「コンプリートガチャ」のみであり、従来の「ランダム型アイテム提供方式」に基づくガチャは何も問題視していない。この報道に対して、5月7日午前の東京株式市場ではソーシャルゲーム関連会社の株が軒並み下落し、「コンプガチャショック」と呼ばれた。


 翌5月8日に消費者担当相はコンプリートガチャが景表法違反の「可能性がある」と述べており、明確に「違反である」とは断言していない。この発言に対して、『ペガサス』の西郷天馬社長は「(消費者庁から)何らかの指摘や要望が仮にあった場合には、真摯に対応を検討したい」と答えた。


 5月9日、『ペガサス』、『ジーン』ともにソーシャルゲームでのコンプリートガチャを終了する方針を発表した。これに追随し、他のプラットフォーム事業者もコンプリートガチャの新規提供を行わないこと、既存のものも5月をもって終了する方針を発表した。


 5月10日、バンドーグループもグループ会社が配信するソーシャルゲームでのコンプリートガチャを5月いっぱいで終了すると発表した。


 5月18日、消費者庁はコンプリートガチャならびに類似サービスは景品表示法(カード合わせの手法)に抵触することを明言し、運用の見直しを発表した。


 他の連中は派遣社員と思われる長身の男に撃ち殺された。犯罪者だけでなく前科者も一掃するのが首相の狙いだ。

 

 池田恒興と思われる人物を犬山城の近くで目撃した。徳山は麻酔銃で恒興を撃った。

「さすが徳ちゃん」

 藤吉七瀬がワゴン車の助手席から降りてくる。後部席のスライドドアが開き、樋口美月が降りてくる。運転は三吉が行ってる。

 

 池田恒興は天文5年(1536年)、尾張織田氏家臣・池田恒利の子として誕生。母は養徳院。出身地は尾張国・美濃国・摂津国・近江国など諸説あるが、『信長公記』に恒興の与力として尾張国海東郡一色村の者がおり、その付近が有力である。父の恒利は早くに死去したとされる。母の養徳院は織田信長の乳母であり、後に信長の父の織田信秀の側室となっている。


 幼少の頃から小姓として織田氏に仕え、桶狭間の戦い、美濃攻略などで戦い、元亀元年(1570年)の姉川の戦いで活躍し、犬山城主となり1万貫を与えられた。以後も比叡山焼き討ち、長島一向一揆、槙島城の戦いなどに参陣、天正2年(1574年)には武田勝頼に奪われた明智城の押さえとして、東濃の小里城に入った。恒興はそのまま織田信忠の付属であったが、天正8年(1580年)に、信長に抵抗し摂津花隈城に籠もる荒木村重を破り(花隈城の戦い)、その旧領を領した。


 天正10年(1582年)3月、織田・徳川連合軍による甲州征伐では二人の息子を出陣させ、本人は摂津の留守を守るよう信長から命令された。同年6月2日、本能寺の変にて信長が家臣の明智光秀に討たれると、中国攻めから引き返した羽柴秀吉に合流し、山崎の戦いでは兵5,000を率いて右翼先鋒を務めて光秀を破り、織田家の宿老に列した。


 織田家の後継を巡る清洲会議では、柴田勝家らに対抗して、秀吉・丹羽長秀と共に信長嫡孫の三法師(織田秀信)を擁立し、領地の再分配では摂津国の内大坂・尼崎・兵庫において12万石を領有した。翌天正11年(1583年)の賤ヶ岳の戦いには参戦していないが、美濃国内にて13万石を拝領し大垣城に入り、岐阜城に池田元助が入った。


 天正12年(1584年)、徳川家康・織田信雄との小牧・長久手の戦いでは、去就が注目されたが結局は秀吉方として参戦した。勝利が成った際には尾張1国を約束されていたという。緒戦で犬山城を攻略した後、途中で上条城に立ち寄り、三好信吉・森長可(恒興の婿)・堀秀政と共に家康の本拠三河国を攻めようとしたが、合戦の前半で鞍に銃弾を受け落馬したことが災いとなり、長久手(勝入塚)にて長可と共に戦死。戦死の状況は、永井直勝の槍を受けてのものだといわれている。享年49。嫡男の元助も共に討ち死にしたため、家督は次男の輝政が相続した。


 藤吉七瀬は松本一と同じD大学史学部出身で、歴史に詳しかった。

 藤吉、樋口、徳山の3人がかりで池田恒興をワゴン車の後部席に詰め込んだ。


 アポロンの創業者、樋口文夫が何者かに殺害された。愛知県警の内藤と六角は暗中模索していた。文夫の近くには女性が倒れていて、奥山美奈子って女性であることが明らかになった。美奈子と文夫は元夫婦で美人局をして荒稼ぎした過去がある。美人局とは、男女が共謀し行う恐喝または詐欺行為である。 妻が「かも」になる男性を誘って姦通し、行為の最中または終わった途端に夫が現れて、妻と関係したことに因縁をつけ、法外な金銭を脅し取ることである。 また、妻でない女性で同等行為に至った場合でも類推される。

「やったのはかもかも知れませんね?」

 六角が覆面パトカーの運転席で言った。

 アポロンの本社ビルに向かってる途中だ。

 六角が派遣社員としてアポロンに潜入する算段だ。

 内藤は樋口に親しかった人々に聞き込む役割だ。

 六角は、樋口が妻夫木邦夫って従業員を監禁し妻夫木に不利になるような契約書にサインさせたことがあるらしい。『3回病欠したらクビにする』と樋口から脅されていたらしい。

 

 塔の絵柄の入ったカードを赤羽は引いた。逆位置だ。

 フランス語の“La Maison Dieu”やスペイン語の“La Casa de Dios”はいずれも「神の家」を意味するが、“La Maison Dieu”は本来“La Maison de Feu”、つまり「火事の家」だったものの誤写により生じた名称である可能性が高いとされる。


 カード番号は「16」。


 正位置の意味

 破壊、破滅、崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇、凄惨、戦意喪失、記憶喪失、被害妄想、トラウマ、踏んだり蹴ったり、自己破壊、洗脳、メンタルの破綻、風前の灯、意識過剰、過剰な反応。


 逆位置の意味

 緊迫、突然のアクシデント、必要悪、誤解、不幸、無念、屈辱、天変地異。


 標的は樋口文夫だった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る