第5話 恐怖のTAROT

 赤羽一馬は『アポロン』でヒドイ目にあって自宅で首吊り自殺して天国にやって来た。

 天国には嫌なことが何もなかった。痛覚がないのでぶつかっても痛みを感じなかった。

 不思議なタロット屋さんにやって来た。

「頭に思い浮かべた人間を占ってみろ」

 裏返しになってるカードを引いた。

『愚者』

 正位置の意味

 自由、型にはまらない、無邪気、純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才。

 逆位置の意味

軽率、わがまま、落ちこぼれ、ネガティブ、イライラ、焦り、意気消沈、注意欠陥多動性。

 頭に描いたのは父親の赤羽三郎だ。

 カードは正位置で出た。

 父はセールスマンをしていたが、上司から嫌がらせを受けていた。頭が禿げてるから『河童』って馬鹿にされている。その上司がコロナで亡くなって父は自由になった。

 

 次は母親の多江を占うことにした。出たのは『魔術師』だ。

 正位置の意味

起源、可能性、機会、才能、チャンス、感覚、創造。

 逆位置の意味

 混迷、無気力、スランプ、裏切り、空回り、バイオリズム低下、消極性。

 逆位置に出た。母は小説家をしていたがアイデアが浮かばなくなった。

 

 3人目は弟の夏樹だ。出たのは『教皇』。

 正位置の意味

 慈悲、連帯・協調性、信頼、尊敬、優しさ、思いやり、自信、法令・規律の遵守、人徳。

 逆位置の意味

 守旧性(アンシャン・レジーム)、束縛、躊躇、不信感、独りよがり、逃避、虚栄、怠惰、お節介、固着。

 正位置だった。弟は小学校のときにイジメに遭っていて誰も信じない性格だった。あるとき、一馬がチョコをあげたら『毒でも入ってんじゃないのか?』と睨んできた。弟は優しい人間になり職場でたくさんの仲間が出来た。


 4人目は同僚の七瀬杏。好意を抱いていたが結局コクれなかった。

『恋人』が出た。

 正位置の意味

 誘惑と戦う、自分への信頼、価値観の確立、情熱、共感、選択、絆、深い結びつき、結婚、継続。

 逆位置の意味

 誘惑、不道徳、失恋、空回り、無視、集中力欠如、空虚、結婚生活の破綻、無干渉。

 逆が出た。

 杏は松本って男に恋をしていてコクったが撃沈した。

 やった!「もしかしたら、僕のことが好きなのかな?」

 

「さ〜て次は?」

 ペラッ……『女帝』が出た。

 赤羽は高校のときにガソリンスタンドでバイトをしてたが、羽島正夫ってマネージャーには可愛がってもらっていた。フィリピンパブに連れていってもらった。

 

 正位置の意味

 繁栄、豊穣、母権、愛情、情熱、豊満、包容力、女性的魅力、家庭の形成、謙虚。

 逆位置の意味

 挫折、軽率、虚栄心、嫉妬、感情的、浪費、情緒不安定、怠惰、虚言。

 

 羽島はパチンコ屋で『海物語』で遊んだが大失敗した。


 次は、『太陽』のカードが出た。

 正位置の意味

成功、誕生、祝福、約束された将来。

 逆位置の意味

 不調、落胆、衰退、堕胎・流産。

 

 標的は大学時代につきあっていた矢嶋蘭だ。結婚を考えていたが卒業前にフラれた。

 逆に出た。

 蘭は妊娠していたがデパートのエスカレーターで背後から何者かによって突き飛ばされて流産してしまった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る