第4話 派遣社員に気をつけろ!

 コロナばら撒いた人間は人災、内定取り消し、スペード大統領が「オリンピック中止にすべし」と言及。

 一条敦率いる巨大国際シンジケート組織は有能なスポーツ選手や俳優などを終身契約にし暴利をあげていた。


 一条は、世界的なアクション映画スター、二階堂勇と、彼の恋人であり歌手でもある三井ウサギに終身契約を迫る。二階堂は『東武警察』の撮影中に天井から照明が落下してくるなどの脅しを受けるが、かたくなに契約を拒否する。


 ついにしびれを切らした一条は二階堂を暗殺するように命じ、『東武警察』のラストシーンの撮影中に二階堂は顔を撃たれる。


 二階堂の葬儀が盛大にとりおこなわれたが、実は二階堂は一命を取りとめ自分を死んだことにしていたのだ。


 ウサギの安否を気づかいながら、一条への復讐を決意する二階堂。二階堂と国際シンジケートの戦いがはじまったのである。


 織田家の重臣たちが集まり、天下の平和を維持する目的で、それぞれの流派の長所を複合した究極の拳『揚羽蝶』が生み出された。織田家の家紋は揚羽蝶なのだが、そこから来てる。


 だがその後、4人の重臣たちは突然失踪し、『揚羽蝶』の教本も行方不明になってしまった。時は流れ、数多くの流派は『揚羽蝶』を我がものにしようと教本の所在を捜すため狂奔していた。


 そんなある日、酒場の諍いに巻き込まれた青年がいた。辰巳源右衛門である。トラブルの最中、彼の懐から落ちたのは、『揚羽蝶』の教本だった。


 アポロンで部長をつとめる四条雅美は、仕事一筋で生きてきたキャリアウーマン。会社では男性社員たちと対等に渡り合い、部下の七瀬杏にも厳しく接する雅美は、仕事はできても女性としての幸せには縁がないまま歳を重ねてきたようである。しかしそんな彼女には誰も知らない別の顔があった。


 一方、二階堂勇は復讐サイトに書き込みを続けるうち、いつしかカリスマ的な人気を誇る存在になっていた。ハンドルネームは『辰巳源右衛門』だ。


 その頃、裏の住人たちはタイムスリップして来た4人の重臣を探すサイトが熱い盛り上がりを見せていた。仕掛け人は『明智光秀』を名乗る謎の人物。彼のゲームにハマった住人たちが町をさまよう中、一条は公園で野宿しようとしている三井ウサギを見つける。

 行き場のないウサギを自分のマンションに招いて面倒をみる一条。コーヒーを淹れてやると最初は毒でも入ってるんじゃ?と怪訝そうになるが、次第に打ち解けていく。

 

 裏の住人

 奥山美奈子

 樋口美月

 樋口文夫

 葉山杏奈

 三吉唯香

 徳山大志

 藤吉七瀬

 

「絶対、パチだって。タイムスリップなんてあるわけないって」

 奥山美奈子が言った。7人の中では最年長で46歳だ。

「金とか賭けなくていいからいいんじゃない?」

 樋口美月は37歳。

「スクラッチとかよりはマシかな?」

 美月の旦那、文夫が言った。樋口文夫はかつて一条の下にいたが反りが合わずに『アポロン』を立ち上げた。


 料亭『つ波目』の敷地は、尾張徳川家中級武士の安西大次郎邸跡(700坪、約2300m2)を中心に構成されている。建物は、京都の紙問屋であった安西大吾の名古屋別邸として大正時代に建築されたものである。それを第二次世界大戦前後には、東久邇宮稔彦王が歩兵第五旅団長宿舎として3年半、賀陽宮恒憲王が留守第三師団長として半年邸宅として利用したという。

 その際に隣地の300坪(約1000m2)を購入して防空壕を造成し、現在の1000坪(約3300m2)の敷地面積となった。

 葉山杏奈は防空壕の中にいた。✨

「ん?」

 何かが光ってる。杏奈は光に近づいた。光に吸い込まれ忽然と消えた。


 カニカマの加工場はものすごい熱気だ。卵白と粉末を混ぜ、撹拌機に投入するとグルグルと渦を巻く。五藤了は去年の10月に入社した。最初は生臭さに耐えきれず吐いた。今年で30歳になるが未だに派遣社員だ。派遣だから恋愛も出来ない。社会や企業に虫ケラのように扱われた灰色の20代だったが、そんな日々も今日で終わりだ。新しい首相が派遣社員の無法化を国会で告げたのは去年の11月のことだ。

 友人はターミネーターみたく強くなった派遣社員を兵隊みたくして、アメリカや中国に反乱を起こすのが狙いなんじゃ?って言っていた。

「おい、早く食紅入れろよ!」

 上司の知久に怒鳴られた。

 五藤は食紅を白く混ざった原料の中に入れた。血のような真っ赤な渦がグルグルと回り出す。


 警視庁外事課の浪花恭兵は南栗橋駅にやって来た。こじんまりとした駅だ。やたらと外人が多い。浪花は国際テロリスト『ジェラグ』を張っていた。ジェラグはゲール語で『赤』を意味する。ロドリゲスが南栗橋で目撃されたのは3日前だ。浪花は腹が痛くなり公衆トイレに入った。『大』の部屋に死体が転がっていた。浪花は吐き気を催した。背中にはナイフが突き刺さっている。金髪で鼻にピアスをしてる。チンピラ風情だ。浪花は死体の身元を調べるためにジャンバーをまさぐった。裡ポケットからスマホが出てきた。プロフィールを調べた。『須藤康裕』さらに詳しく調べると意外な事が分かった。通話履歴にロドリゲスの名があったのだ。ロドリゲスとどういった関係だろうか?LINEを調べた。《今日仕事を休みます 既読》

 どうやら職場の部下と上司の関係らしい。浪花は須藤を利用することに決めた。須藤の死体をそのままにしてトイレを出た。


 俺は須藤を殺すことに成功した。

 俺は『殺戮都市』ってオンラインゲームで遊んでいた。

 スドウ・ヤスヒロってキャラが完成した。マッチョなキャラだ。殺した奴は不思議と魔術を覚える。

 スドウは『アースクウェイク』を覚えた。

 N街ってエリアが地震で倒壊する。

 A〜Zの街をより多く潰した方が勝ちだ。


『つ波目』でツバメと読むのだと杏奈は今更ながら気づいた。戦国時代にタイムスリップした彼女は明智光秀が北条氏と結託して、滝川一益の軍勢と激突するのを目の当たりにした。 

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