遠山さん、見知らぬ娘から幼馴染と告げられる

アキノリ@pokkey11.1

一節、幼馴染は居ないのだが

一、遠山の金さん、幼馴染と言われ困惑する

俺の名前は遠山東次郎(トオヤマトウジロウ)という男子だ。

何処にでも居る本当の本当に普通の少年だと思う。

汐水(シミズ)県立高校二年生、16歳。


短髪と顔立ちとしてはそうだな.....目が若干細い感じだ。

そして目に関しては腐った魚の目とか某有名主人公の様に言われる。

所謂、ブサイクでも無ければイケメンでも無い様な若干にニキビ跡の有る顔立ち。

そんな俺は周りから見てもそれ相応に気持ち悪がられるボッチだ。


どんなボッチかって言えば。

そうだな、例えばの話だが.....。

いや、経験論か。

ライトノベルを読んでいれば、うわ、きしょい、的な感じで女子が遠退く。

そんな感じのボッチと言える。


友人と呼べる男子も女子の知り合いとかも全然居ない。

当たり前の当然とは言えると思う。

何故かと言えば俺がボッチだから、だ。


そんじょそこらのボッチの上のボッチだと思う。

体育の際も.....組み手が俺だけになるしな。

うわ、俺ってもしかして孤高の存在?って思ったりもするが.....馬鹿の考えだ。


とは言え、俺の友人と偽り金を借りに来るリア充のアホ共なら居る。

ライトノベルを読むのを邪魔した挙句に、だ。

そんなの友人とは言いません。

俺は断るのも面倒いので金を貸してはいるが。

真似するなよ、だって金は帰って来ないから、だ。


でも高校1年から避けられるこの事には快適を感じ始めた。

だから別に構わないと思っている。

まあ、金を借りるのだけは止めて欲しいが。

ただでさえ金が無いのにそう言われるとかなりキツイ。

俺の昼飯代そして.....お小遣いは少ないので。


ああ、それと思い出した。

俺の周りには俺は遠山の金さんと言って馬鹿にされる。

そんな陰口は当然、気に入らないが.....反論しても変わる事は無いので.....もう良いかと思っている。


それに最近は、そう言われても良いかな、って思い始めたのだ。

だってそうだ。

遠山の金さんって頭が良いからな。

銅像にもなっているんだぞ。


そんな遠山の金さんと言える俺。

つまり東次郎も2年に順調に進級して今に至っている。

春になった3月の初めの事。

卒業式も有る様な大規模な三月だが.....俺は盛大に日向ぼっこしている猫がする様に欠伸をしていた。


「.....ふあぁ.....」


そして大きく開いた口を閉じる。

それから喧しい周りを一瞬だけチラ見した。

進級してクラス分けが有っても無くても結局、俺はボッチだ。

何も変わらないのだが.....リア充は違う。

変わったら変わったでクソ煩い。


教室で、わー!一緒のクラスだね!、と騒ぐ奴らも居たな。

その為に俺は一人、今日も外の桜の木をジッと見ていた。

良いな桜って.....だってあんなに輝いているし。

俺よりも、だ。

去年もこんな感じだったよなぁと思ったりもする。


今年こそはそれなりに勉強をして学年呪印.....じゃねーか。

順位の上に乗ったりしてそれなりには変わりたいと思っているが.....まあそうは言え2年になっても桜の木を見るばかりだろう。

思いながらそれなりにゆったり過ごしている2年の初めての一生で一回しか無い春。


何時もの如くホームルーム開始の朝のチャイムが8時40分に鳴り響き。

教師の山下が気怠そうに入って来た。

俺は桜から目を逸らして.....目の前を見る。

無精髭の似合う様な山下は何故かニヤニヤしていた。

そしてバンと出席簿を教卓に叩きつける。


「おーし。.....お前らもう知っていると思うがかなり可愛い転校生が来るぞ!」


「「「「「やったぜ!!!!!うおおおお!!!!!」」」」」


何だコイツら.....意気投合すんな煩い。

そう思いつつ俺は?を浮かべながら山下を目をパチクリして見る。

そういや.....確かに周りの男子が噂していたな。

何だか猿の様に落ち着きが無かった。

余りにも煩くて俺はイヤホンを耳にしていたが.....。


俺はそう思いながら黒板と目の前の教卓の有る丁度真横の扉を見る。

どういう感じの可愛い少女なのだろうかと思いながらも.....まあ俺には所詮は全く関係無いかと思い外を眺め見た。

どうせ俺の事を馬鹿にする少女に変貌する。

それは簡単に言えば.....洗脳される様な。


そう思ったタイミングで扉がガラガラと開いた。

それから.....四角い黒縁メガネが似合っている黒髪の真面目そうな女の子が入って来てニコッと俺達に会釈した。


まるで興味の無い俺ですらマジにビックリと思う。

相当な美少女だ。

教室中が、マジか!!!!!、と男子達が.....大騒ぎになる。

ああもう、イヤホン付けたい。


「「「「「ウォーーー!!!!!フォーーー!!!!!」」」」」


喧しいわ。

こいつらというカラスどもは。

考えながら盛大に溜息を吐くとその少女が山下に促され、黒板にゆっくりと分かりやすい様に何かを書いた。

名前だったが、その名前としては.....糸玉。

糸玉虹(イトダマニジ)だそうだ。


俺は成る程と思いつつ直ぐに横の窓からの外を見た。

やっぱり興味が湧かない為に、だ。

猿、キジ、犬どもは大騒ぎ、桃太郎は静かってかそんな感じだった。

昔話に例えるとか、うわ!俺、頭良いな!


「.....ふあぁ.....」


ってのはどうでも良いけど本気で眠いと思う。

今日はどんな科目が有ったっけと少しずつ眠気の中考えると、山下が、じゃあ席は遠山の隣で宜しく、と話した。

欠伸が一瞬にして消える。

そして目が丸くなる。


いや、何で俺の隣?

そんな山下の言葉が発せられてから俺に死目線が注がれた。

何コイツら?ビームでも打てるの?怖い。

キモいなこいつら。

でもちょっと待て、なんで俺の隣なんだよ。


「なんで遠山.....」


「あんな存在無のやつに.....」


「死ね」


マジにボロカス。

直球の言葉ばかり受けているが好き好んでそうなっている訳では無い。

俺は何度目か分からない様な溜息を吐きながらやって来て腰掛けた糸玉を見る。

糸玉が俺に会釈をして.....から。


俺を見て驚いた様な感じを見せた。

何だ?と頭に浮かべつつ居ると、糸玉が宜しくね、と言う。

一瞬だけ間が有った様な?

思いつつも考えても仕方が無いので俺もそのまま挨拶をした。


「.....ああ。宜しく.....」


しかし何で俺を見て驚いたんだ。

そうしていると糸玉が俺をジッと見ていて俺はビックリしてハッとした。

何だ、何だ。


ご飯粒でも付いてんのか?俺の顔。

今朝はパンでした。

って感じなんだが?俺は少しだけ焦る。

すると.....糸玉は俺に嬉しそうに言葉を投げた。


「.....君、もしかして遠山東次郎くん?」


「.....え?」


「東次郎くんだよね?久々だね!」


「.....は?へ?」


どうぶつ◯森の様に華やかな感じを見せながら俺を見る糸玉.....?

ちょ、え?と目がパチクリした。

何故か糸玉が手をクラップさせている。


うわ!俺ってクラップとかマジ格好良い!とか思っている場合では無い。

何だコイツ.....完全な人違いだろ。

思っていると横に山下が立っていて話を割ってきた。


「ハイハイ。出席とって良いかな?お前ら」


「あ.....すいません!.....じゃあまた後でね、東次郎くん」


「.....」


何コイツ?

マジに困惑するしか無いんだけど。

だって俺に女の子の知り合いは居ないんだが。

思いながら.....出席の間、俺は外を眺め見ていたが。


糸玉は俺をチラチラ視線を送ってきていた。

そしてクラスメイト達は俺に死ねと立て続けにメッセージを送っている。

なんでこんな目に遭っているんだ俺は。


こんな美少女居たら普通は自慢するよな?

だから居ない筈だ。

女子の知り合いなんぞ。



かなり早い感じでホームルームが終わってしまった感じがした。

そして1時間目も早く終わった様に感じる。

俺がそう感じただけかも知れないが。

頭をボリボリ掻きながら.....そのまま横を見る。


早速と言わんばかりに糸玉は周りのクラスメイト達に質問攻めに遭っていた。

まさに転校生への恒例行事と言えるあれ、だ。

俺はその光景を一瞥だけしてトイレに行く為に外に出た。

そして静かにいつも通り歩く。


すると何故か背後から糸玉が追って来て俺の袖を掴みながらちょっと待って、何処行くの?東次郎くん、と言ってきた。

何.....コイツ!?

思いながら目を丸くしつつ言葉を発する。

周りの目が気になる。


「.....お前さ、何か.....人違いしてないか?俺は確かに東次郎だが.....女の子の知り合いなんて居ないんだが。昔から」


「いやいや。.....幼馴染を忘れたの?私だよ。丁度、幼稚園の頃の.....」


何を言ってんだ。

幼稚園だろうが何だろうが。

どれだけ遡ろうが幼馴染は居ない。

そう呼べる奴も居ない。

からかっているのかコイツは.....。


何と言うか今までもあったしな.....。

女にからかわられる事が、だ。

ああ嫌な記憶が蘇る。

丁度.....そうだ。

あれは中学3年の春。


ボッチの俺に声を掛けてきた少女が実は金を巻き上げる存在でした。


ってオチが、だ。

あー.....強迫観念が浮かんできたマジ卍、死にたい。

ってか、それは良いとにかく。

俺は後頭部に手を添える。


「.....あのな。俺には女の子の知り合いは居ない。全てを断言する。今も昔も未来も全部だ。あと、来世も」


「.....え.....あはは。卑屈だね.....でも.....人違いは違うよ。私は結構、アイ.....じゃ無いや。人見知りだけど、人を間違えたりしないから。名前も、ね」


「.....アイ?」


「....もー。そこは良いの。やっぱり昔から変わって無いね。.....私、やっぱり東次郎くんの幼馴染だよ。.....その顔は全然、忘れてないもん私」


ね?と再び華やかな満面の笑顔を見せる、糸玉。

俺は困惑しながら.....そんな糸玉を見つめる。

本気で.....からかっているなら.....こんな表情、見せるか普通?

絶対に無いよな?

うーぬ。


じゃあ俺がおかしいのか?頭が狂ったのか?

簡単に言ってしまうと.....それなりの痴呆症の様な.....?

でもこんな若くで?

そんな馬鹿なと思いながら顎に手を添えて居ると糸玉は手を振って踵を返した。


「今、10分休みだよね。.....もう時間無いから早く戻って来てね。またお話ししようね。東次郎くん」


そして再びニコニコの笑顔で手を振って去って行った糸玉。

俺は今一度、顎に手を添える。

そして考えるが.....全然、糸玉という名には覚えが無い。

顔に覚えが無い。

やはり糸玉の勘違いだろうと思うが。


何、明日になったら分かる。

その全てが勘違いって事が、だ。

思いながら俺はトイレへ向かったが。


その日から糸玉の色々な事が暴露していき。

糸玉の行動が激しくなり。

そして俺は.....巻き添えを食らう羽目になっていく。

俺は.....盛大に溜息を吐く。


これはそんな俺と.....糸玉と仲間達のラブコメ?だ。

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