戦国ヒーロインタビュー「放送席!放送席!」@長篠合戦編

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戦国ヒーロインタビュー「放送席!放送席!」@長篠合戦編

解説(以下「解」):「ここまで自分の作戦が見事にハマって、織田監督も今夜はさぞ旨い酒が飲めるんじゃないでしょうかね」

実況(以下「実」):「まさに織田・徳川連合軍の快勝といった試合展開でしたが、あ、ヒーローインタビューが始まるようですね」

アナウンサー(以下「ア」):「放送席!放送席!ヒーローインタビューです!設楽原の織田・徳川ファンの皆さん、そして全国の織田・徳川ファンの皆様、お待たせいたしました!今日のヒーローは長篠城を死守した奥平貞昌選手、そして武田軍の鳶ヶ巣山砦への奇襲を見事に成功させました酒井忠次選手です!」

《歓声》

ア:「まずは奥平選手・酒井選手、今日の試合、いかがでしたでしょう?」

奥平貞昌(以下「奥」):「まあ、しんどかったですけど、城を守り切れて良かったです」

酒井忠次(以下「酒」):「大事な試合で勝てて、ほんと良かったです」

ア:「ありがとうございます!それではまず、奥平選手から伺います。今もコメントにありましたが、長篠城の防衛、本当に大変だったと思います」

奥:「城兵がたった500人のところに武田軍が1万5千でしたので、これはもうダメかなと思ったんですけど、おふうや千丸のことを思うと、ここで負けてはならないと、はい、気持ちをしっかり持って挑みました」

ア:「おふうさんというのは奥平選手の奥様で、千丸君というのは弟さんですね」

奥:「はい。ウチは試合の直前まで、武田に属していた関係で、甲府に身内を人質として出してたんで」

ア:「残念ながら、武田家には、徳川家への帰参を裏切り行為とみなされ、お二人は処刑されたんですよね」

奥:「はい。二人は奥平の家の為に人柱になってくれたので、ここで武田に屈するとこの二人の思いを無にしてしまうことになると思って、頑張りました」

ア:「そして実際に城を守りきりました。城内では当時、実際、どのような状況だったんでしょう?」

奥:「もうみんなとにかく死に物狂いで頑張りました。幸い、城は、豊川と宇連川の合流点の断崖絶壁の上にあって、東西南北のうち東と西と南がその断崖絶壁のおかげで守りやすかったので、それも良かったと思います」

ア:「それでも終盤は特に苦戦されていたようですが?」

奥:「兵糧蔵が焼けちゃったので、これはマズいなということになりました」

ア:「まさに『腹が減っては戦は出来ない』というヤツですね」

奥:「まあ、そうですね」

ア:「それでも諦めて降伏しなったというのは、やはり鳥居選手の活躍でしょうか?」

奥:「はい。スネーがそんな状況下でも岡崎に行ってくれるというので、じゃあ頼む、と」

ア:「岡崎には当時、織田監督と徳川コーチが長篠救援の為、いらっしゃいました」

奥:「スネーには、監督とコーチにとにかく今の長篠の窮状を伝えて来いと。兵糧蔵が焼けてもう2~3日しかもたないと言ってこいと」

ア:「援軍の要請をされたわけですね」

奥:「はい。さすがにもう自分たちだけでは。援軍が来てくれなかったらダメだったので」

ア:「そして鳥居選手が見事に伝令の重責を果たして、武田軍に捕らえられながらも奥平選手以下城兵に援軍が到着することを知らせました。あの時はうれしかったでしょう?」

奥:「もう最高でしたね。あれで城内のアドレナリンが沸騰したというか」

ア:「城内のスネーコールがすごかったですもんね」

奥:「スネーが生きて帰ってきてくれれば一番良かったんですけど、とにかくスネーは僕らの命の恩人です」

ア:「鳥居選手は、残念ながら岡崎の帰りに、武田軍に捕まって、逆さ磔にされました」

奥:「勝さんが怒るのもわかりますけど、勝さんは、おふうと千丸の時もそうでしたけど、ああいうことをして、逆に相手の抵抗が強くなっちゃうことが分からないのかなって思いますね」

ア:「武田監督の今試合での采配に関しては、今後、問われることになるかもしれませんが、いずれにしましてもこれで織田・徳川本隊が到着するまで城が持ちこたえられたわけです。奥平選手・鳥居選手、共に大殊勲と言えると思います」

奥:「ありがとうございます」

ア:「続いて、酒井選手に伺います。酒井選手も今回の試合では大殊勲でした」

酒:「ありがとうございます」

ア:「武田軍の鳶ヶ巣山砦への奇襲、酒井選手の発案と伺っていますが」

酒:「まあ。我々の出陣の第一の目的は長篠城救援でしたし、監督は設楽原に武田をおびき寄せたいって言ってたので、長篠城を囲んでる鳶ヶ巣山の砦を落とせば、城は助けられるし、武田の軍勢も背後から突けるので、武田軍を監督のいる設楽原に向かわせることが出来るかな、と」

ア:「まさに一石二鳥の作戦だったということですね。見事にハマりました」

酒:「監督からも絶対成功させて来いって言われてたのでプレッシャーすごかったですけど」

ア:「織田監督、怖いですからね。この作戦を遂行する時もベンチの中でひと芝居打たれたと聞きました」

酒:「ええ、自分が軍議の場で一番最初にこの作戦案を上申した時に、監督からめちゃくちゃ怒られたんですよ。『そんな小手先の小細工の作戦なんか意味にゃーわ!おみゃあ、ターケか!?』って。いつもながらの問答無用ですよ。しまったなあ、いらんこと言っちゃったなあと後悔して、軍議の後、徳川コーチや平八やバラにも慰められたりしてたんですけど、そのあと、内線でロッカールームにいた自分に、監督から直接電話がかかってきて『おみゃあさんのさっきのアイデア、デラええですぐ取りかかってちょお。ウチの鉄砲隊と金森も付けるでよお、今すぐ出動しやあせ』って言ってきたんでビックリですよ。」

ア:「さすがは織田監督。武田軍のスパイにサインが読まれないようにする為、人がたくさんいる軍議の場では却下するという芝居を打ったわけですね!」

酒:「味方まで騙されちゃいましたよ」

ア:「そして酒井選手は鳶ヶ巣山を見事に落として、長篠城を救援し、その後、奥平選手と合流し、背後から武田軍を脅かし、退路を断ったわけです。武田軍としては、酒井選手に退路を断たれた以上、前方にいる設楽原の織田・徳川本隊と決戦せざるをえない状況を作られてしまった。これは武田軍としては痛かったでしょうね」

酒:「武田監督も、もともと織田・徳川軍と決戦をしたかったらしいですが、それでも退路を断たれたことで、取りえる戦術の選択肢が狭まったというのは、しんどかったと思います」

ア:「取りえる戦術が『突撃』しかなかったわけですか。敵の本隊に背を見せるわけにもいかないですし。それに長篠城も落とせませんでしたからね」

酒:「はい。そうだと思います」

ア:「まさに織田・徳川軍の作戦通り、快勝といったところで、その流れを作ったのは、酒井選手の功績だと思います。それにしてもこの勝利で徳川家は、三河・遠江支配がだいぶ楽になりますね」

酒:「まあ。奥三河の有力国人の奥平君が味方になってくれたのも大きいし、この試合で内藤さん・山県さん・馬場さん、それから真田さん・原さん・土屋さんですか、有力選手を大勢失った武田軍は痛いでしょうね。でもまだ遠江は、二俣・高天神・諏訪原なんかは武田領ですから、これからだと思います」

ア:「それでは最後にファンの皆さんに一言ずつお願いします。まずは奥平選手から」

奥:「えー、信玄前監督がいなくなった今、武田の時代は終わったと思っています。これからは徳川コーチのお嬢さんもいただいて『徳川の奥平』として改めて頑張っていきたいと思っていますので、応援よろしくお願いします」

酒:「今日の試合の勝ちにおごることなく、今後も三河平定・遠江平定に全力で頑張りたいと思っています。引き続き、応援よろしくお願いします」

《歓声》

ア:「ありがとうございました。放送席!以上、ヒーローインタビューでした!」

実:「ありがとうございました。いやぁ、お二人、嬉しさが表情に表れていましたね」

解:「そりゃあそうでしょう。特に奥平君はこの勝ちで徳川コーチの娘さんを娶って一門衆入りが内定していますし、酒井君は筆頭家老の面目躍如といったところですからね」

実:「はい。両監督からのコメントも届いています。まずは勝った織田監督です。『すべてワシの思い通り。思惑通り。作戦勝ち。これで徳川には姉川や三方ヶ原での借りも返せたし、言うことなしだ。とにかく、戦は鉄砲三段撃ちなんかよりも結局は頭だで、頭。甲斐の山猿なんぞに負けてなるものか。生臭坊主相手にもきれいに勝ってみせるで』と、いうことですが、生臭坊主というのは本願寺のことですね、きっと」

解:「でしょうね。相変わらず過激なコメントですね」

実:「対する武田監督です。『急ぎ、戦略の練り直しが必要だ。北条・上杉などとの関係も見直し、家の立て直しに全力を注ぐ』と、短めのコメントです。武田監督、やはり、今回の敗戦のショックが隠し切れない印象です」

解:「実際この試合で失ったものは少なくないですからね。なんとか頑張ってもらいたいと思いますが」

ア:「そうですね。今日のこの試合で三河・遠江の戦況は一気に徳川家に傾きました。これが今後、日本史にどのような影響を及ぼすのか、目が離せません。さあ、お時間が来たようです。今日のこの試合、解説は、今川家12代目当主の今川氏真さん、実況担当は太田牛一でお送りしました。今川さん、ありがとうございました」

解:「ありがとうございました」

ア:「それでは、熱気冷めやらぬ三河設楽原からお別れします。さようなら」

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