第6話 俺氏魔王を倒す
勇者アンジェリナを助け出した俺は魔王城からかなり離れたところまで逃げた
「もう、安心だよアンジェリカ」
「あ、ありがとうございます。エルウィンさん
わ、私、あんな酷い事したのに」
「君の判断は正しかったよ。俺は足手まといだったし、
食糧も結界のアイテムも脱出するには足りなかった」
「でも、私、今でも後悔してるんです。私、勇者失格なんです」
「もう、いいよ、俺、生きてたんだから」
「......」
アンジェリカは下を向いた。多分、裸に上着だけで、心許ないんだな
「ところで、他のみんなは何処に行ったの?」
「みんな、まだ、魔王城に囚われています」
「そうか、じゃ、助けてくるよ」
「えっ?
魔王城には魔王が」
「ちょうど、魔王を倒しにいくところだったんだ。ちょうどいいよ」
「え、え、え」
アンジェリナは目をクルクルさせていた。可愛いー
「ここで、結界を張っておくからから、ここで休んでいて
俺、みんなを助けてくるよ」
そういうと俺は魔物避けの結界を貼ると、アンジェリカを残して魔王城へ向かった
魔王城までたくさん魔物が出たがサクサク進んだ
魔王城の前で一人の魔族が現れた
「出たか、とうとう魔族が」
「ここで、撃退したいところですが、私の力では勝負になりません」
「は?
お前、戦わないのか?」
「私はどうも今の魔王様に忠誠を持ち辛くてね
その、先日の勇者への仕打ちはどうも私の趣味ではない」
「お前酷いな。上司を裏切るのか?」
「いえ、単に、私ではあなたに役不足なのですよ
私も死にたくない」
「ふーん、どうも拍子抜けだが、ありがたく進ませてもらうぞ」
こうして魔王城を進んだが、何故か魔族の攻撃はなかった
そして、魔王の間まであっさり進んだ
「来たか、人間よ」
「お前、友達少ないタイプだな」
「うるさい、お前に何がわかる、私の孤独が」
俺は魔王と話しながら剣聖達の姿を探した
いた。剣聖たちは裸で、勇者の様に木の枷と奴隷の首輪をされていた
「お前は女の子への配慮が足らないな」
「何故、私が勇者たちに配慮しなければならないのだ
こいつらは私の命を狙っているんだぞ」
「だが、趣味が悪いぞ。お前の趣味か」
「う、うるさい、少し位役得があってもいいだろう」
「お前は俺を怒らせた、俺の仲間に辱めを与えた
悪いが死んでもらう」
「人間にそんな事ができるのか?」
「多分、簡単だと思う」
「な、お前馬鹿か?
人間と魔族にどれだけの差があると思うのだ
魔族と対等に戦えるのは高レベルの勇者だけだ」
「でも、俺、勇者ちゃんのステータスの10倍位だぜ」
「そんな馬鹿な事があるか
今、その馬鹿げた妄想を打ち消してやる」
魔王は剣を抜いた
俺も聖剣デュタンダルを構えると魔王と戦い始めた
『加速装置』で距離をつめる。そして、一太刀
魔王は対処できず、時間稼ぎで魔法を放った
魔王の攻撃魔法を素受けする
「馬鹿が、この魔法を受けてただで済む訳がな.....な.....ない」
ただで済んだ
俺も攻撃魔法を唱えた
「炎よ、岩を砕き、貫く矢となりて、我が敵を焼き尽くせ!『フレアアロー』
俺の攻撃魔法は魔王に吸い込まれた
「何故だ、ただのフレアアローに何故こんな威力が」
「俺のフレアアロー、レベル99なんだ」
「そんな馬鹿な、あり得ん」
「まあ、信じるか信じないはあなた次第」
そういうと俺は『加速装置』で魔王に接近すると俺の剣が魔王を捉えた
『グアー』
効いてる。効いてる
「お前はやりすぎたんだ。彼女達に悪さをしなければ、
命は助けてやろうかと思ってたんだがな」
そういうと、俺は『空間転移』で、魔王の後ろに周りこむと、魔王に剣を振るった
魔王は胴で、上半身と下半身が別れた
「ば、馬鹿な」
そう言うと、魔王は黒い結晶の様なものに変わって行き、消えた
「「「エルウィンさん」」」
剣聖、賢者、聖女は俺によって来た
あ、勘弁して、裸だと俺、ちょっと前屈みになっちゃう
「ところで、誰か彼女たちに服を用意できないのか?」
「かしこまりました。魔王様」
は?
今、なんか変な事言わなかったか?
魔王は死んだろ?
何処に魔王がいるんだ?
魔族の一人が現れ、女の子三人に服を渡して着せた
元もと着てた、聖なるローブ、聖なる鎧なんかだ
よかった。これで下半身の心配がなくなった
「魔王様、この者達は如何なさいますか?」
「ちょっと待て、誰が魔王なんだ?」
「あなた様です」
「は?」
「魔王様は魔王を倒したものに受け継がれます。例外は勇者に倒された場合のみです」
「じゃ、俺、魔王なの?」
「おっしゃる通りです」
俺はすごく困った。
「誰か代わってくれないの?」
「致しかねます」
俺は観念したが、とにかく、剣聖、賢者、聖女の三人を連れて、勇者の元へ行き
彼女らに、装備を返して、食糧や旅に必要なアイテムを渡した
「それじゃ、みんな気をつけて帰ってな
俺はちょっと、魔王の仕事しなければならないみたい」
「エルウィンさん、来てくれないのですか?」
「魔王になっちゃったからな、まずは、人間に害をなさない様にしておく必要がある」
「わかりました。とにかく、ありがとうございます」
勇者アンジェリーナは
「必ず、また逢いに来ます」
そう言って、人間の世界の王都へ帰った
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