ウイルスは世界を救う

渋谷かな

第1話 ウイルスは突然に・・・・・・。

「ドクターウイルス、大好きです! 僕と付き合ってください!」

 あれから助手の猛アタックは続いている。

「だから、俺は男に興味はないって言ってるだろ。」

 ドクターウイルスと助手は両方とも男である。

「そんな!? あんまりだ!? 僕の心と体を弄んで、遊んで飽きたら捨てるんですか!?」

「いや、誰もおまえの心と体を弄んでないし。」

 ドクターウイルスの言う通り、助手はセクハラもパワハラされていない。

「逆に俺をストーカーしたり、隠れて俺の写真を撮るのやめてくれないかな。」

「バレてたのか!?」

 助手はドクターウイルスの後を付けましたり、隠れて写真を盗撮していた。

「おまえの行為は犯罪で最低だ。」

「うえーん!? もうお嫁にいけない!?」

 恥ずかしくて泣きながら逃げて駆けだす助手。

「助手を間違えたかな? 求人を出さなくっちゃ。」

 ドクターウイルスは助手を追いかけない。

「こうなったらウイルスを飲んで死んでやる!」

 グイグイっと助手は未知のウイルスを飲んで自殺しようとした。

「うまい! もう一杯! いや~仕事の後のウイルスは美味しいな! アハッ!」

 その時、助手の体に変化が起こる。

「う!? なんだ!? 体が痛い!? ギャアアアアアアー!」

 激痛が助手を襲い助手は気絶して倒れてしまった。

 数時間後。

「う・・・・・・うう・・・・・・ここは? 研究室? そうか、私は死ねなかったのか。」

 よっこらしょと起き上がる助手。

「んん? なんだ?」

 しかし助手の様子が少し変だった。

「あれ? 白衣がブカブカだ。それに胸が大きい? あれ? 男の下半身のキノコがないぞ・・・・・・なに!?」

 助手は鏡を覗き込んだ!?

「なんじゃこりゃ!?」

 鏡には美しい女性の姿が映っていた。

「お、お、お、女!? 僕が女になっている!?」

 そう、助手が飲んだウイルスは男を女に性転換させる薬であった。

「やったー! これでドクターウイルスと結婚できるぞ! わ~い! アハッ!」

 助手は笑顔でドクターウイルスの元に駆けていった。

「ドクターウイルス! 僕と結婚してください!」

「誰だ? おまえ?」

 女になった助手はドクターウイルスの前に再び現れた。

「いやだな! 僕ですよ! 助手です! 助手! 性転換のウイルスを飲んで女に変わったんですよ! アハッ!」

「なんだと!?」

「これで僕とドクターウイルスの間に障害が無くなりましたよね! さあ! 結婚しましょう! ドクターウイルス! アハッ!」

 助手は自分が女になったので愛するドクターウイルスと結婚できると思っている。

「断る。」

 しかしドクターウイルスは助手との結婚に賛同しない。

「なぜですか!? せっかく僕が女になったんですから、結婚してくださいよ。」

「嫌だ。なんで元々男のおまえと俺が結婚しないといけない。やはり気持ち悪いから出ていけ。」

「そ、そんな!?」

 ドクターウイルスは性転換した助手を受け入れる気はなかった。

「それに私は元々、女だ。」

 なんとドクターウイルスの仮面の下の素顔はカワイイ女の子だった。

「お、お、お、女!?」

 どんでん返しの展開に腰を抜かして驚く助手。

「そうだ。おまえの様な気持ち悪い男が近寄ってこないように、普段、私は男の姿や変声器を使っている。」

「そ、そんな・・・・・・あんまりだ・・・・・・詐欺だ。」

 ガッカリする助手。

「男には興味はないといったが、女に興味がないとは言っていないぞ。」

 その時、ドクターウイルスはカミングアウトする。

「え?」

「来るか? 私のマンションに。」

「はい! どこへでもついていきます!」

 こうして女同士、ドクターウイルスと助手は幸せに暮らした。

 終わる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

ウイルスは世界を救う 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ