第二話:ランバートと舞

 病室の開け放たれた窓からずっと外を見ていると、空とは満ちているのではなく、ただどこまでも空白なのだけなのではないかと思えてくる。

 しかしそんな錯覚も、ぼくの『外に出たい』という渇望を薄めるようなことはなかった。

 ──ぼくは、外に出たい。

 時々、『気分転換』と称して看護師が庭に連れてってくれることもあるけれど、そんなのはただ場所が移動しただけ。ぼくの求める“外”じゃない。

 ぼくがこうして消毒液臭い部屋で寝転がっている間、外の世界は目まぐるしく回っている。ぼくだけがそこから外れているような感覚を味わうのは、苦痛でしかなかった。

 こんなことになるのなら、病気になって、身体が動かなくなる前に、もっと何かをしておけば良かった。

 そんな後悔が胸を渦巻くも、無理な話だった。

 ぼくには、母さんの愛という束縛があったからだ。それは、ぼくという存在の如何なる自由も許容していなかった。

 ぼくは何もしてこなかった。何も見ず、誰とも会わず、母さんが支給する“臑”をかじりながら、ベッドの上で生命活動に徹していた。そうして何もしない間に、ぼくは病気に侵され、何かをする資格を剥奪されてしまったのだ。

 ぼくは何も知らず、何も出来ない。

 ぼくは虚無だった。

 ぼくの心が──とかじゃなくて、きっと、ぼく自身が虚無なんだ。

 母さんはぼくが病気になったことを知ると、半狂乱になって町を走り回り、大型トラックに轢かれて死んでしまった。ぼくは葬式にさえ出ることが出来なかった。

 父さんはぼくの医療費を払い、体面上は親としての責務を果たしてくれているが、見舞いに来ることは一度としてなかった。

 ぼくの病室を訪れる者は、医者と看護師を除いて皆無だ。ぼくはより一層隔絶され、独りとなっていた。

 容態は日に日に悪くなり、排泄すら一人で出来なくなった。ぼくに与えられたのは、手元のナースコールを押す程度の自由。

 それでも、まるで自身の不自由さに反比例するかのように渇望は膨れ、しかし、それを意識する度にぼくの希望は砕かれていた。

 だからぼくは、縮こまっているしかない。

 渇望が一定を超えると、ぼくは反射的に、外界から出来る限り注意を逸らすようにしている。

 薄暗闇の中、寝汗にまみれ、クリーム色の天井だけを見つめる。視界外から漏れる光を無視し、時間が過ぎることだけを待つ──それだけの一日。

 束縛が苦痛だから、自らの意識を認識からさえ隔絶させて実感を薄めるのだ。

 そんな、自分自身さえ忘却しそうになる、無関係の中。

 今が昼か夜かもワカラナイ、不連続の切れ端。

 ──ふと、誰かが来る気配を感じた。

 この病室に向かって、進行してくる音。

 これは足音じゃない。車輪が回る音だ。

 識別する──そこで、二つの事実に思い至った。一つは、今が夜であるという事。二つ目は、厳密には、医者と看護師以外にも、ぼくの病室を訪れる者はいたということ。

 ぼくは、実感の中に引きずり戻された。

 ──あぁ、舞だ。

 舞が来る。

 そう予測した数瞬後、病室の扉がスライドし、車椅子を転がす、ぼくと同じように病衣を纏った少女が入ってきた。

 ぼくと目が合うと、朗らかに微笑む。

 彼女の名前は壬条舞(みじょうまい)。毎日、夜になるとぼくをからかいに来る日本人の女の子で、彼女が訪れたとき、零で固定したはずのぼくの感情のメーターはマイナスを記録する。

「あ、何だぁ。肉団子ミートボールかと思ったらランバートかぁ」

 柔らかい声。

 舞が口にしたそれは毎度の常套句だった。彼女がぼくの病室を訪れる度、いつも口にする言葉。

 それはおそらくぼくに向けられたものなのだろうが、ぼくはその意味を出来るだけ深く考えないようにしていた。その言葉からは、自意識に挟み込まれるように不穏な感触と、鈍い痛みの前兆を感じるからだ。

 舞は車椅子の車輪を進ませて、ぼくから自分が一番よく見える位置を計算して止めた。

 そして、彼女はぼくを覗き込むようにして、再度微笑んだ。それだけで、ぼくの肩は萎縮してしまう。

 目を逸らせばそれもいくらか軽減されるのかもしれないが、これがまたうまくいかない。舞の容姿の可憐さを前にすると、嫌でも目を引き付けられてしまうからだ。

 吸い込まれそうなほど、深く、澄んだ瞳。

 薄い色の髪に、華奢な身体。

 膝から下の失われた下半身は、車椅子を使用することへの説明になっていると同時に、どこか儚げな雰囲気を出している。

 柔和な上半身と、朧気な下半身。

 彼女の全身からは、水色を温めたように柔らかい空気を感じた。

 凄く純粋に、綺麗だと思った。

 ──ただ、彼女のそんな容姿に惑わされてはいけない。

 舞が口を開くとき、ぼくはそれを身構えなければならない。何故なら、彼女の言葉は質感に反して痛みを伴うからだ。

 そして彼女は、もうすでに口を開いているところだった。

「おそようランバート。今日も朝から晩までずっと寝てるんだね」

 ──案の定。

 柔らかい声で何気なく発音されたその言葉は、ぼくを内側から大きく揺らした。

 全身の毛穴から汗が噴出し、病衣に染み込み、シーツに滴る。

 挨拶に付随された、鷲掴みにされるかのように不快な嘲り。

 それはぼくの心に、確かな感触を伴って触れ、感情をかき乱し、波立たせた。

 舞の言葉には力があったのだ。自分には答える義務がある──そう思わざるをえない程の、力が。

 悔しさと恥ずかしさに圧迫されながらも、強迫観念からどうにか言葉を探す。

「……病気なんだ、仕方ないだろ」

 苦し紛れに絞り出されたのは、そんな、実に言い訳じみた当たり前の返答。

 対して舞は、間を置かず緩やかに言葉を返してくる。

「うん、知ってるよ。でもさ、『仕方ない』はないんじゃない? ランバートは元気だった頃、何かしてた?

 入院する前もこうやって、ただ寝て食べるだけの生活だったんじゃないの?」

 微笑から一転、舞は表情を不思議そうな構図に切り替えて、まるで無垢な子どもか何かのような雰囲気で質問してくる。

 そして、その質問は、僕の肉体と精神を沸騰しそうな熱の感覚に陥れた。

 似たようなことは、昨日も、一昨日も、一昨々日も言われた。けれど、それが僕にもたらす動揺は、変わることなく一定だった。何も変わらず、ぼくの自我に同じ亀裂を走らせた。

 ベッドの上で身体を揺すり、喉の奥で呻く。それが、ぼくの精一杯の『言葉を詰まらせた』という意思表示だった。だが、舞はそんなこと気にしない。気にするはずがない。

「ねぇ、ランバート。

 ────どうなの?」

 彼女は、急かす。ぼくが答えるのを。ぼくが取り乱すのを。ぼくが爆発するのを。ぼくが、壊れるのを。

 それでも、ぼくは、言ってしまう。

 そこまで分かってるのに、それでもぼくは、言ってしまう。

「仕方なかったんだ……僕は、僕はずっと縛られていた! 母さんという存在に!! 僕は自分で行動することを許されていなかった!」

 言い終わってから、どうしようもなく後悔する。

 あぁ、違う。この言葉は、舞に伝えたいんじゃない。ぼく自身に言い聞かせたいんだ。なのに、ぼくの声は跳ね返ることなく、物理法則に従って彼女の耳に届いてしまう。

「ふふっ……」

 舞が笑う。端正な顔立ちで、最上級のような美しさを伴わせて。愛おしく、恐ろしく、嗤う。

 きっと、舞はいつも、答えを既に用意している。ぼくが口を開くことなんて、それを披露するための前座に過ぎないのだろう。

「分からないなー。どうして外的干渉を理由に自分の自主性の無さを正当化しようとするの?

私だって、お父様とか使用人達から『外に出るなー』とか、『危ないことするなよー』とか言われてたけど、やりたいことがあったら目を盗んで何でもやったよ?

ねぇ、ランバート。ランバートが何も出来なかったのは、本当にお母さんのせい? 本当は、ランバート自身に何かをする意欲が無かっただけなんじゃないの?」

「ち、違う……」

 飲み込むよりも先に、不格好な否定が口を出た。

 舞の言葉からは、残酷なまでに──ぼくのこしらえた返答を易々と切り返せる程に冷徹な『正しさ』の気配が伝わってきたからだった。

「何が違うの? ランバートは何でも出来るときにも何もすることがなかったんでしょ? それって、今と同じだよね。何もしないことが、ランバートの意志だったんじゃないの?」

「────違うッ!」

「だから、何が違うの?」

「違うんだ、そうじゃないんだ……ぼくは、そもそも心がおかしかったんだ。母さんから束縛されることで、僕はどこかおかしくなっていた……だから、何かをしたくても何も出来なかった! 身体を病むずっと前から、ぼくは、心を病んでいたんだ!!」

 精神の方向性を肯定するために、その質を卑下させる。

 そんな無惨な逃避を選んでしまう、ぼくはどこまでも無様だった。

「違うよ、ランバート。ランバートの心はとても健康だよ。私と同じように、ご飯を食べることが出来るし、夜眠ることも出来る。どうせ、入院する前までは悩みなんて一つもなく何不自由なく生きてきたんでしょ?」

 まるで、真っ白な背景にでもなった気分だった。

 舞の言葉によって塗り潰され、されるがままに上書きされていく惨めな空白。

 そんな現状が気持ち悪くて、嫌で──ぼくは、彼女の言葉を否定するため、自分の中に沈み込んでいた一つの衝動を持ち出した。

「違う、ぼくはずっと外に出たかった! 外に出たいという悩みが──意志があった!!」

 喉に詰まっていた物を吐き出したような安堵感が、一瞬だけ脳裏を過ぎった。

 だがすぐに、切り返しはやってくる。

「違うよ。ランバートにはそんな意志はないの。ランバートはただ、自分に価値がないってことに気付いちゃっただけ。それを否定したくて、自分が『外に出たい』とか、『皆と同じように活動したい』とか、あたかもそんな意志を持っているかのように思い込んだの」

「そうじゃない! ぼくは本当に外に出たかった!! でも母さんが許してくれなかったんだよ!!」

「違うでしょ? ランバート。ランバートはお母さんのせいで外に出られなかったんじゃなくて、『外に出るのは嫌だ、けれどそう思っている自分もだ』という矛盾を解消するために、お母さんの過剰な愛情を利用していたんだよ」

「違う……! 違うんだよ……!!」

 必死に、力一杯に否定するも、その先は告げられなかった。

 塗り潰されるだけの空白ぼくに、先なんて無かった。

「大体、さっきからランバートの言ってることは変。普通、試みもしないことを『意志』とは呼ばないんだよ?」

 舞が、子供を諭すような感じで指摘する。そこで彼女は言葉を切って、何故か僅かに溜め息を吐いた。

 ぼくは、何も言い返せなかった。感情を言語化することが出来ず、食いしばった歯の隙間からみっともない嗚咽だけが漏れていく。

 そうしている間に、舞が再び口を開く。

 ぼくは彼女の次の句を無条件に恐れ、視界に彼女を収めたまま焦点を拮抗させた。

 だが意外なことに、舞の表情には何故だか陰りが差していて────

 ──紡ぎ出された言の葉も、まさしく意外だった。

「ランバート。私ね、あと二年したら死んじゃうんだ。ドクターがそう言ってた」

 ──聞いて、ぼくは絶句した。

 暗色で満ちていた視界に、一瞬、明るい火花が散った気がした。

 何だって?

 舞が──死ぬ?

 そんなこと、今まで一度も匂わせてすらいなかったのに?

 あまりにも、唐突じゃないか。

 沈みかけていた感性に、混乱が生じる。

 鼓膜を震わせた柔らかな声音が思考に到達し、波紋を起こさせる。

 ぼくは興味というか、関心というか、何だかいてもたってもいられない気持ちになって、舞の言葉に真剣に耳を傾けようとした。

「あと二年で、私は、何もする事が出来なくなっちゃう。でもね、ランバートは、私の寿命よりも長い間、何でもすることが出来たのに、何もすることをしなかったんだね。

 まったく、虫螻みたいに価値のない人生だね、ランバート」

「…………、……」

 自分の死を話題に出しても、ぼくへの罵倒を織り交ぜるのか。

 ぼくはそんな、呆れの混じった感想を抱いた。

 ――舞に対して、哀れみは湧かなかった。

 だって、この少女よりも、ぼくの方がよっぽど、惨めで、哀れだから。

 ひょっとしたら、彼女はそう感じさせるために、こうして毎日、ぼくと話をしていたのかもしれない。そう思えるほどに、彼女と話しているときのぼくはどんどん小さくなっていくようだった。

「あ、そうそう。言い忘れてたけど、ランバートとは今日でお別れなんだ。明日から私はこの病院を出て、寿命が来るまで世界を旅するの。付き人はいるし、感染するような病気じゃないからね。ドクターが許可してくれたの」

 舞が、思い出したかのように言った。

 その内容を理解し、ぼくの心臓は、一回り小さくなった気がした。

 ───ほら、やっぱり。

 自分より価値の低いぼくと対話することで、自らを安堵させ、向上させた上で旅立とうというのだろう。ぼくは、手頃な踏み台に使われたという事だ。

 悔しさが募る。そして同時に、羨ましさも。

 世界を旅する──それは一体、どれほどまでに魅力的なことなのだろう。想像すらできないほどに、視界を埋め尽くすような圧倒さを憶えた。

 舞の方を見る。笑っている。ぼくの双眸に視線を固定しながら、朗らかに微笑んでいる。

 この、ぼくよりも遙かに時間の限られた少女は、その限られた中で、自由になれるのだ。

 ぼくよりもずっと多くの人と出会って、多くの景色を見て、多くの音を聞いて、多くのモノを得るのだろう。それはきっとぼくの知らないものばかりだ。いや、ひょっとしたら彼女が得るのは、外の景色を取り巻く忙しない人々の内誰もが味わったことのないものかもしれない。きっと、今更『脚』のことを引き合いに出したところで、痛くも痒くもないのだろう。彼女はもう、『自由』を獲得したのだから。

 自由──

 その意味を考えれば考えるほど、そのあまりの大きさに萎縮してしまう。

 身体だけではなく、心まで。

 葛藤に色がなくなり、実感が薄れていくのを感じた。ゆっくりと墜ちていく感触。視界は淀み、聴覚は鈍り、嗅覚が鈍って味覚が透過する。この浅薄に身を任せれば、また外界から断絶できるのだろうか──と思った。

 だが、何故だかぼくはこのとき、それに流されたくはないと思っていた。

 忘れたかったはずのそれが、目の前にあって──恐れ多いながらも、後悔が後押しして、触れずにはいられなかったのかもしれない。

 眠る寸前、ふと何かに思い至って、飛び起きるかのように──

 擦れ違う寸前の渇望を、再認識する。

 胸の奥が熱くなる。


 ──自由……

 あぁ、何て────

 何て、羨ましい。

 それこそ、喉から手が出るくらいに──あまりにも率直に、“欲しい”────!


 ────それはさぞかし、無為なことだっただろう。

 だが、ぼくにはもう、“勢い”がついていた。


「──ぁ、────」


 目が見開き、腹の中央が凹む感触がした。


 口が開く。

 喉が機能する。

 溢れそうになる感情を、言葉にしようと──


「──ぼ、ぼくも────」


 寸前で、理性が警告する。

 やめろ、言うな。

 みっともない、やめろ、無理だ。無駄だ。

 念じるも、しかし喉はそれを無視して言葉を紡いでしまう。


「──ぼくも、連れて行ってくれないか……?」


 吐き出した直後、頭の中に、永遠に相当するほどの密度の静寂が、一瞬だけ訪れた。

 しばらくするとそれはグラデーション状に薄れ、思考が追い付いた。あっという間に、鋭利な認識によって覆われる。

 ──言った。言ってしまった。あり得ないことを、言ってしまったのだ。頬は紅潮し、自己嫌悪でどうにかなりそうだった。

 凝縮が爆発するような震撼。精神の中における天変地異、それほどの衝撃────

 ──だが、どうにかなりそうなまま──ぼくの視線は舞に固定されていた。

 それこそ恥ずかしい話だが、言い終えた瞬間、僕の中には羞恥と共に、僅かな期待が同居していたのだ。


 舞は、少しの間驚いたような顔をすると、


「あっははっ、無理だよ。そんなに大きな肉団子ミートボールは、とてもじゃないけどお弁当箱に入らないもの」


 あっさりと、笑い飛ばすように、断られて────


「あ、そうそう。一緒に連れて行くことは出来ないけど、今日はランバートにプレゼントを持ってきてあげたんだよ」


 そう言って舞は、肩から下げられたポーチから鏡を取り出し、それをぼくに向けた。

 鏡を。

 ──かがみ?


「ランバートの中にある、最後の保険を崩してあげようと思ってね。これで、完全に諦められるんじゃない?

 ──自分に求めていた何もかもを」


 でっぷりと、脂ののった、脂肪に包まれて、肉団子のようになった身体。

 視界に写るそれは、ぼくの身体。

 ぼくのからだ。

 亀裂が走って、走って──そして、割れた。

 散々膨れ上がって、そして、割れた。割れてしまった。

 われた。

 ぼくは疑問に思った。

 かがみ。ぼく。

 どうしてそれが、そんなところにあるんだ。ちゃんと全部取ったって、言ったじゃないか。ねぇ、母さん────

 母さ


“ランバート、あなたは世界一素敵な男の子なのよ……”


 ────貫かれた。


「──ぁ……あ、…あ、……ぁぁああああああああああああああああああああああああああぁぁああああああああああああぁぁ────────っっ!!!!」


 さけんだ。

 われた。

 そらも、しかいも、ぼくも、そらも、ぜんぶ。ぜんぶ。

 割れ────破裂。


 ぼくは、今までで一番、力強くなった。

 まっさらで、透明で、ちからづよく。


 今なら言えそう。少なくとも空白ではない。うん、

 だから、今、言う。全部、言ってみようと思う。うまく纏まらないけど、空白だけど、でも、もうぼくはここで終わるんだって思うから、だから、言わなきゃ、最期だからアレだと死んでた。

 わかんないけど、でも、誰?


 母さん、ぼく。母さん、母さん、父さん、舞、母さん、母さん、母さん────


 ──母さん、


 ──か、



 ────────母さん!


 ぼくは、外に出たかった! 自分の目で、自分の足で、世界を体感したかった!

 服も、おもちゃも、ゲームもいらなかった。ただ、もっと広い世界を見たかったんだ!

 それは、本当なんだ。

 本当に本当に、本当なんだ!

 本当に、本当に……!  本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に…………、

 ……本当に?



「おやすみ、ランバート。私はランバートがグースカ寝てる間に、私の『世界』を見つけてくるよ」

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