047

「あー!うわーん!」


突然すずが泣き出し、私はそちらを見る。

テーブルの上には倒れたコップとこぼれた牛乳。目を離したすきにこれだ。


「牛乳こぼしちゃったの?ちょっと待ってて。えっと、布巾は…どこだっけ?」


まだ勝手がよくわかっていない私はキッチンをうろうろとさ迷う。その隙に柴原さんがタオルを持ってきてくれた。


「すず、服は濡れてない?」


「ぬれてなーい!」


すずは元気よく手を挙げたが、その手がまたコップに当たり、コップはカランカランと音を立ててテーブルから転がり落ちた。


「こっぷおちちゃったー。」


すずが残念そうな顔をするので、私と柴原さんは顔を見合わせて思わず笑ってしまった。

本当に、子供は朝から元気いっぱいだ。


プラスチックのコップでよかった。

食器類もプラスチックのものに替えようと心に決めた。

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