うちの子診療記録
限前零
神是と駮馬1
男児:オバケのおじさん、やーい!
(すれ違いざまに樹をからかう男児。小児病棟に入院しているため会わないのだが、たまたま検査で一般病棟に来ていたのだ)
神是:…………超うるせぇ。はしゃぐんなら病棟に戻れ…!(相も変わらず声が頭に響く…!いつぞやキモナシの野郎に呑まされた後の二日酔いみてぇだ。うー……頭痛ぇ。)
…………!?あ、危ねぇだろ…前見ろよ馬鹿野郎!
(突然正面に突っ込んできたキモナシと限前を避けると怒鳴った樹。ぶつかるすんでの所でかわした)
キモナシ:ちょっと樹!避けてないで捕まえてよ……もう…!
神是:…………あ?捕まえてよって…何をだ?(限前を……んな訳ねーか)
(彼らが走り去ったあと、ふと樹が下を見ると…右足にしがみついている見慣れない物体に気がついた。
何かを確かめようとして、そっと手を触れると…"それ"は震えながら上を向いた)
…………!?(な、なんだこれ…いつから足元に…)
おい、ガキんちょ。邪魔だから離れろ……歩けないだろうが。
子供:……!(や、やだ……)
(しがみついた子供は激しく首をふる。いっそう強く足にしがみついた)
神是:ん?まさか…キモナシの野郎に追っかけられてたのって、てめーか?
(やっと合点がいった。こんなこんまいガキんちょ、普通に見落とすに決まってんじゃねーか……。ちゃんと全部言いやがれ…!)
おい、おめー……名前は?
(子供は少し困った表情で首をふった。何故か口をぱくぱくさせているようだ)
あー……もういい。此方で調べるからとりあえず落ち着け。(声、出ねーのか…?)
(樹は手袋を左手にはめると、改めて子供の頭に触れた。患者の体内にあるICチップを読み取り、情報を確認するためだ)
(……氏名は駮馬愁、年齢は…6歳。なんだこいつ、ずいぶん馬っぽい名前だな………)
おい、駮馬とやら。もう一度言うが足から離れろ。こんな所でボーッと突っ立ってりゃお互い目立つだろうが。
(子供は少し離れて俯くが、片手を離そうとはしない。樹は諦めた表情になると、少し屈んで子供を抱き上げた)
そんなに何か掴んでたいんなら上に登って服に掴まれ、人に見られたくねーってんなら白衣の影に隠れてろ。
俺自身が外にいるだけで目立つんだ、逃げる為にもちょっとは協力しやがれ。
(樹に抱き抱えられた彼は、そっと身を委ねた。雑な言葉とは裏腹に、自分を無理に追い返そうとはしない様子が…優しさに思えて彼は嬉しかったのだ。)
駮馬:(しにがみ の おじさん こわいけど こわくない やさしい ひと なんだ ね)
神是:(さて、これ…どうすっかな。連れ帰った所で普通に邪魔なんだが)
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