第205話 アスカ造船2
翌朝、建築業者のフォレスタルさんが馬車で屋敷にやって来てくれた。
われわれがこれからしようとしていることを簡単に説明したところ、
「だいたいのところは分かりました。しかし、ショウタさまは船まで収納できるとは。それなら、水の近くで船を造る必要が無くなり機材も
「あと、船内の内装を自分でしたいので、それっぽい木材を分けていただけませんか?」
「それでしたら、造船用の木材と家具用の木材を多めにご用意しましょう。見積もりに追加させていただきます」
そういって、早々に玄関前に停めていた馬車に乗って帰って行った。
フォレスタルさんみたいな人をプロの
昼食後しばらくして、フォレスタルさんが図面を持ってやってきてくれた。小応接のテーブルの上に広げられた図面で、フォレスタルさんが同席した俺とアスカに内容を説明してくれた。
「やはり、足場や
フォレスタルさんの図面に描いてあったのは、みため倉庫の図面だった。
「基本的には、長物を扱うだろうということを前提に、建屋に壁はありません。このように
やはり、プロは、一歩先のことまで考えて設計をしてくれる。
「工期は
「どうだ? アスカ」
「魔導加速機の到着前に建屋が完成しますから、なにも言うことはありません」
「それでは、これが見積書になります」
相変わらず手回しよく見積書まで作成済みだった。自信があったのだろう。アスカに手渡しチェックしてもらい、すぐにアスカが軽くうなづいたので、
「これでお願いします」
「明日の朝から工事に入りますが、測量の者をすぐにこちらに
それだけ言って、フォレスタルさんは乗って来た馬車に乗って帰っていった。さすがだ。
それから、1時間ほどしたところで、測量の人たちがやって来た。建屋を建てる場所を教えたら、図面を見ながら
その日の夕食時、うちの連中には、明日から建屋を新しく作る工事が南の草原脇で始まるので、危ないから現場近くには近寄らないように言っておいた。何のための建屋なのかはあえて教えなかった。
次の朝は、作業員と資材を積んだ馬車がやってきて作業が始まった。
建屋の広さより少し広い範囲で地面が30センチほど掘り起こされ、丸太を50センチくらいに輪切りにしたような物に
建屋は三日ほどで、屋根までできあがったようで、そこから、
その後は、すぐに建屋内の
その間、俺とアスカは港にあるという
意味があるのか分からないが、どうやって使うのか分からない
ということで、今日はでき上がった建屋の受け渡し。
「それでは、ご覧の通り、可動足場については、左右のねじを緩めて、移動させてください。所定の位置まで移動した後は、ねじを締めて固定してください。事故防止のため作業前には足場のねじが固定されていることを確認してから作業を始めてください」
安全確認は大事だ。フォレスタルさんの注意事項に一々うなずき、
「了解しました」
「ご注文いただいた、材木については、さきほどショウタさまに収納していただきましたのでよろしいですね」
「ありがとうございます。代金は商業ギルドのフォレスタルさんの口座に振り込んでいますので確認してください」
「こちらこそ、ありがとうございます。それではこれで失礼します」
乗って来た馬車ですぐにフォレスタルさんは帰って行った。相変わらず忙しいらしい。
「アスカ、とうとうできたな。それじゃあ、さっそく造り始めるか?」
「
「
「あと、同じものを二本ほどお願いします」
アスカに言われるまま、
「マスター、木枠ができましたので、砂虫の皮を一枚、その辺に出してください」
アスカに言われるまま、厚さ5センチにスライス済みの一枚の砂虫の皮を、草地に出してやった。縦30メートル、横10メートルほどの砂虫の皮は結構広い。
「ありがとうございます」
そう言ったはしから、長さ30メートル、幅20センチの帯状に砂虫の皮が
裁断したあと、断面が二等辺三角形になった皮の帯が出たので、貧乏性の俺は何かの役に立つかもと思い収納しておいた。
「三日ほど、このまま乾かせば構造材は完成です。ここ数日は天気が良さそうですから、あすの午後にでも、硬化前のもので、
[補足説明]
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