第199話 アトレア王家
アトレア王を
「部屋の中の物はご自由にお使いください。すぐにお茶などをお持ちしますので、少々お待ちください。失礼いたします」
女性が部屋を出ていったので、居間と思われる部屋のソファーに座って、さきほどのアトレア王の部屋でのことについてアスカの考えを聞いてみた。
「アスカ、アトレア王のことだけど、どう思う?」
「予想していたわけではありませんが、アトレア王の口元に毒物の
「だよな。一応、ハンナさんもあとの二人の女性もシロのようだったのは良かったな」
「お付きの人がまだいるのか、確認した方が良いと思います。お茶をいただけるそうですからその時にでも聞いてみましょう」
今回のことも事件性を帯びて大変なことになってきた。よその国のごたごたにこれ以上関わらない方が良いのかもしれないが、相手はラッティーの父親の可能性が非常に高いアトレア王だ。『病気は治しましたから、はいさようなら』はできない。
『ショタアス探偵団』再結成だ!
「失礼します」
ちょうど、ワゴンにお茶のセットと茶菓子の入ったお皿を載せて、先ほどの女性が戻って来た。簡単に服を着替えたようで、先ほどの白い上っ張りは着ていない。
お茶を注いだティーカップをお皿の上に乗せ、われわれの座るソファーの前のテーブルの上に置いてくれた。茶菓子はクッキーのようで盛られた皿ごとテーブルの上に置かれた。
アスカはさっそくクッキー皿に手を伸ばして、クッキーを食べ始めてしまった。今回話をするのは俺に
「ありがとうございます。えーと、」
「カニスです」
「少しよろしいですか?」
「はい。何でしょうか?」
「少し気になることがありまして。カニスさん、いまから私がおうかがいすることについては
「は? はい」
「アトレア王の部屋の中に普段から出入りしている人は、ハンナさん、カニスさん、それと先ほどのもう一人の方の三名の他いらっしゃいますか?」
「はい。陛下の部屋には、
「そのお二方だけですか?」
「あとは……? 陛下の母上の、フェーリスさまが陛下のために、なんでも
「その煎じ薬は、陛下が意識を失っていらっしゃるあいだにも、陛下にお出ししていましたか?」
「必ず陛下にお飲みいただくよう、フェーリスさまにきつく言われていましたので、ここ二週間意識を失われた陛下に、その薬を吸い口に入れてお飲みいただいていました」
「分かりました」
アトレア王の母親に直接会う必要はないな。会えればそれに越したことはないが、わざわざ会わなくても、母親が持参するというせんじ薬を見るだけでいいだろう。
話を聞き終え、カニスさんが部屋を後にしたところで、
「それで、アスカの見立てではどうだ?」
片手にクッキーを持ったアスカに尋ねたところ、口に入っていたクッキーを飲み込んで、
「侍医の先生と助手の二人は、アトレア王の
「そうだよな」
「マスターには、詳しくはお話していませんでしたが、この国の5年前の後継者争いは、いまのアトレア王とその弟の争いだったんです」
「それで?」
「その弟を
「それは、どこかで聞いたことのあるような話だな。ほんとにそうなら、アトレア王の母親は
「あす、その母親がアトレア王の部屋で
「こんな小さな国でもエグいドラマがあるんだな。ラッティーのことはどう思う?」
「これは、前にも言った推論ですが、この館でラッティーを成長させるのは危険と判断した誰かがラッティーを連れて
「それが事実であれどうであれ、いまさらラッティーが
その日はアスカと話をするくらいしかすることはなかったので、早めに、スイートの風呂に入りさっぱりしたところで、運ばれてきた夕食に
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SF短編『敵は弱いに越したことは無い』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054912670445 よろしくお願いします。
ノベルアップでロボット三原則にはれて落っこちたので、なろうとカクヨムに投稿しました。
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