第86話 屋敷を発注する2
フォレスタルさんから
やって来たフォレスタルさんをスイート付属の会議室に通す。お互いに
「一般的な子爵家の
広げられた図面は二階建ての屋敷の正面からの全体図、各階の
建物は南北に細長く、錬金作業場は玄関のある西側の上の部分(北側)に張り出している部分で、サンルームは逆に建物の東側の下の部分(南側)に張り出して作られている。
屋敷を建てる位置は南北に長い今回の土地の北側に建てられ、南半分の土地は丸々周囲に柵を
「ここが、錬金作業場になっています。隣の小部屋が素材置き場で、出入り口の扉は外からはもちろんですが内側からも施錠できるようにしております。また、この素材置き場の周囲を囲む壁は特別
そして、ここにご依頼の排気用
排水溝は部屋を南北に縦断するよう三本入っています。屋敷内の排水はいったん排水タンクに集められ下水に流されます。ここですね。
この排水タンクは浄化機能がついた魔道具ですので様子を見て、内部の魔石を交換するか付属の魔素
これは、なかなか使いやすそうだ。
「こちらに張り出した部分がサンルームになります。屋根部分、南側面と東側面がガラス張りになっていますので、日中はかなり室温が上がります。そのため、
ほう、よく考えているな。
「こちらが台所です。この地区ですと、上水用水路が通っていますので、水路からいったん貯水タンクに水を汲み上げて使用する形になります。汲み上げは、上水用水路の上に設置した水車を利用しています。貯水タンクから出るパイプのうち一本は温水装置に
水を
「シャーリー、なんか意見はあるかい? お前が使う台所だからな」
図面を
「すごく立派な台所です。早く使ってみたいです」
まだ、道具類も
「台所に続いてこちらが会食用の食堂です。そして、台所のこちら側が小食堂になります。普段使いの食堂ですね」
「そして、食堂に続いて、こちらがリビング。窓を大きく取っていますので日中はかなり明るい部屋になります。リビングの外は
「応接室は大小
「で、こちらがお待ちかねの浴室になります。男女別々で二つということでしたので、このような形にしてみました。入り口と着替え室が男女別に分かれており、着替え室から浴室に出入りします」
ここまでは普通だな。
「浴室の浴槽用に、上水用水路より直接専用の貯水タンクへ供給された水を温水装置で温めてお湯にします」
「浴室には真ん中に
ん?
「厚さ二センチ、幅二十センチの板を、間隔五ミリで縦に並べて
??? 何だか話がおかしな方向へ。
「いやー、この
それじゃほとんど風呂しか考えてなかったわけじゃん。
「あのー、フォレスタルさん?
それを聞いたフォレスタルさんはこの世の終わりが来たとでもいうような絶望的な顔をしていたが、どうにか再起動し説明を続ける。
「二階には、ショウタさま、アスカさまの
「それで、ここにあるのが
すばらしい。
「アスカなんかあるか?」
「私には、執務室は不要ですので物置にでもしてください」
「そうかもしれないけど、日当たりも良いようだからとりあえず執務室持っとけば? 子爵閣下なんだし」
「分かりました」
「こちらが
馬車の車庫は不要かと思ったが、エンダー子爵閣下に
「フォレスタルさん、お風呂をちゃんと
「商業ギルドより、資材、作業員全て優先していただけるそうなので、普通半年は見ていただきたい工事ですが、三カ月で仕上げて見せます」
「分かりました。よろしくお願いします」
最初、収納持ちの俺がいるのに屋敷に物置が多すぎなんじゃないかと思ったが、俺がいなきゃ何もできなくなるのは困ると思い、納得した。
翌日、フォレスタルさんが持参した
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