第87話 冒険者ギルド王都本部
屋敷ができ上がる前に人を雇うわけにはいかないので、でき上がってからの雇用になる。屋敷ができ上がっても、人手が
当面なにもすることも無くなったので、久々に冒険者ギルドに行って、何か仕事でも探してみようということになった。実は王都の冒険者ギルドは前を通っただけで、まだ入ったことないんだよね。
ということで、アスカと連れ立って王都の冒険者ギルドに駆けて来た。キルンの通りも
「マスター、人に
アスカだって
そうこうしているうちに(通行人や往来する馬車などに多大な迷惑を掛けながら)、王都冒険者ギルドに到着した。俺は収納から例の『
「マスター、何度も言いますが、人に迷惑をかけるのは良いことではありませんよ」
すみません。また注意されてしまった。
待たせたな、俺の愛棒、いや
王都の冒険者ギルドの開け放された扉から建物の中に入ると、キルンの冒険者ギルドと同じような造りになっていた。ただ、広さはこちらの方が広い。王都で活躍する冒険者は大抵ここで仕事を受注するのだろう。中にいる人の数は、キルンの時と比べ冒険者もギルドの職員も格段に多い。キルンは少なすぎたから比較できないか。
[たのもう!]
取り敢えず心の中で叫んでから、前に進む。今回のスタイルは、右手に八角棒を持ち、それを
『なーんだ、だれも、俺に
多数が見守る中、ドシン、ドシンと音をさせ、窓口に並ぶ人が一番短い列に並ぶ。
周りで並んでいた連中が振り返って俺の方を向くが知らん顔してよそむいてやった。ここは大物感を出そうじゃないか。
列がはけて、俺達の番になった。持っていた八角棒はとりあえず収納しておく。
「ようこそ、冒険者ギルド、王都本部へ」
「Bランク冒険者のショウタです」「同じくBランク、アスカ」
揃って、ギルドカードを受付嬢に見せる。
「今日はどういったご用件でしょうか?」
「何か、Bランクの私たちにお勧めの仕事は有りませんか?」
「今北方砂漠で建設中の砦への物資輸送の護衛任務を引き受けてくれる方をギルドでは募集しています。対象はCランク以上となっていますが、現在当該方面においてモンスターレベル4の砂虫が出現するという情報もあります。モンスターレベル4のモンスターはAランクパーティー
「モンスターレベル4というと他にどんなのがいるんですか?」
「グリフィン、キメラ、ヒドラ、ワイバーン、ケルベロス、アラクネ、リッチ、オーガロード、バシリスク、そんなところです」
Bランクにもなって、そんなことも知らないのかとでも言いたそうな顔で俺の方を見る受付嬢。アスカの方にも向けよ。
『オーガロードもレベル4だったか。忘れてた』
ショウタは勘違いをしていた。かつて倒したオーガの上位種はオーガメイジだったことを。何であれ、エンシャントドラゴンを
『私は、砂虫自体は見たことはありませんが、同程度のモンスターとして挙げられていたモンスターは、マスター的に表現すればザコですね。マスターの
まあ、なんだ。俺の杖術はお前から見たらザコ並だろうよ。そういや、このところ八角棒の訓練してないな。アスカに何か言われる前に再開しないと。
「他には何かお勧めの仕事はありますか?」
「そうですねー。……」
俺たちが、窓口でああでもないこうでもないと話していると、後ろに並んだおっさんが、俺をにらんでいる。
分かったよ、どくよ。どきゃいいんだろ。むろん俺の方が悪いので黙って横に移動した。
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