第71話 王都見物1、観劇
エリクシールを王都商業ギルドのギルド長、ハインリッヒ・リストさんに
余談であるが、ショウタは今まで、ホテルのスイートのことをスイーツと思い込んでおり、宿泊すると、ショートケーキが付いて来るものと思っていた。本人の頭の中ではスイート=スイーツ=ショートケーキという等式が成り立っていたためである。
「今日は
「
「さすがはご主人さまです。ところで、エリクシールとは何なのでしょうか?」
これは、その本質を問う哲学的質問なのだろうか? エリクシールとはなんぞや? 俺もわからんが、ファンタジーご
「シャーリー、エリクシールというのはな、すごい薬なのだ」
なぜか、分かったような口調でアスカが語り出してしまった。
「どれほどすごいかっていうと、世の男たちは、
なぜその魔物が特殊なのかというと、その魔物を倒すのは
お金さえあれば、この魔物を倒すのは容易ってことだな。だから、世の男たちは、お金を貯めてこの魔物を名誉のために倒しに行くのだ。ただ、この魔物の厄介なところは、倒されて
その呪いは解かなければやがてかけられた者に死をもたらすやっかいな呪いなんだ。しかし、このエリクシールはその呪いさえも
やめい! 嘘ではないのだが、また教育に悪そうな話をでっちあげた。つい最後まで聞いてしまった俺も悪いな。将来俺にその呪いがかけられたとしても、エリクシールの予備が二本もあるので安心だ。
「アスカはいいから、俺が話そう。エリクシールというのは、すごく効き目の高い薬で、どんな病気でも、生きてさえいれば治せるんだ。そのうえ、自分でもよくわからないような心の病なんかも治ると思うぞ。とにかく、自分が治したい、
俺にもよくわかんないことがあるため、何だかすごく
「シャーリー、エリクシールは伝説の薬って言われてるの。そんなすごい薬をあなたのショウタとアスカが作ったの。ほんとにすごいことなのよ」
アンジェラさんの説明が一番わかりやすかったようで、シャーリーの俺とアスカを見る目がキラキラと輝いている。
「やっぱり、ご主人さまとアスカさんはすごい方たちだったんですね」
「とりあえず一仕事終わったんですけど、アンジェラさんは明日からどうします?」
「そーねー。それじゃあ、私は知り合いのところに
「これだけ立派な宿屋はそうありませんから。お金を払っても泊まりたいところですよ」
「ショウタ、
「いくらですか? 金貨五枚くらい?」
「いい線いってる。大金貨一枚だそうよ」
お金を払っては泊まれません。失礼しました。こんな部屋をタダで使ってていいの? しかも、食事代までタダとは。
「オークションに出したら大金貨五千枚は下らない物を
そんなこんなで一日が終わり、翌日。
「それじゃあ、みんな、わたしは先に行くわね。そのうち遊びにくるわ。『ナイツオブダイヤモンド』の食事はすごくおいしいから」
「それじゃあ、アンジェラさん気を付けて」「それじゃあ」「アンジェラさまお気をつけて」
それぞれ
アンジェラさんが乗合馬車の駅の方に歩いて行ったのを見送り、今日のわれわれは王都見物だ。
「シャーリー、どこか行きたいところはあるか?」
「私は一度お
お芝居か、俺も興味があるな。
「どんなのやってるかわからないけど、とりあえず行ってみよう。アスカ、近くに
「はい。
「それなら、ぶらぶら歩いて行こう」
やって来たのは、
『私と王さま』、『西側物語』、『美女と魔獣』、『オペラ座の変人』、『ミス・ジュゴン』
パクリか? こいつらみんなパクリなのか。最後のはいったい何だ? 興味はあるが観たくはないぞ。
「シャーリー、どれを観たい?」
「『私と王さま』が観たいです。看板の絵が
そうかあ? 『私と王さま』の看板を見ると
「それなら、そこに入ってみるか」
三人分の料金を払い劇場の中に入いると、中は広めのロビーになっていて、軽い食べ物や飲み物、お
日本の映画館とよく似た感じで、緩やかな階段状に席が並んでおり、空いた席に勝手に座っていいらしい。観客席の両脇にはVIP用なのか観劇用の個室が設けられている。俺たちが席に着いてしばらくして劇が始った。
劇のあらすじは以下の通り。
異国の王族の
こういった内容だった。まるで、パクリやん。
最後の王さまの亡くなるシーンで、シャーリーが泣いていた。俺はあくびを
「シャーリー、今の劇は良かったか?」
「はい。とても感動しました」
「そうか。だが、私が脚本を書くとしたら、もう少し最後は盛り上げるような演出を考えるだろうな」
アスカが何を思ったか、劇について語り始めた。
「そうだな、どうせ王さまは死ぬんだから、
シャーリーが聞き入っている。これは何だ? いつものやつだ。アスカのバカ話だ。
「モンスター役を王宮に突っ込ませて、それを警備兵が迎え撃つわけだ。だが強いモンスターの前に全ての警備兵が
戦えない主人公を守るため王さまは死の
今回は、割と
シャーリーも納得したようだ。
「アスカさん、すごいです。きっとその方がもっと良い劇になりそうです」
「だろう」
すごいぞ、アスカさん。ドヤ顔がすごい。
「シャーリーも芝居やら劇やらを観るときは、自分ならこうするだろう。といった別の視点も持って観ると更に楽しいぞ。なにより、目が
すごいよ、アスカさん。教育的なことを言い始めたと思ったら、やっぱりアスカだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます