第47話 魚とり
翌朝。
まだ暗いうちから起き出し、ほかの二人を起こさないようにアスカと出発した。ヒギンスさんは昨日の夕食後自宅に帰っている。
「アスカ、
「キャンプするのは河岸近くですね。時間があったら魚を
「時間があればいいんじゃないか。それじゃー、ゴ-」
これまで、気持ちジョギングで駆け回っていたけど、今回はランニングだわ。街並みの流れるスピードがシャレにならん。まだ早朝で大通りを行く人の数は少ないけど、出くわす人の目が痛い。屋台を引いてるおっさんに何度も出くわすけど、まだ売ってくんないよな。
南門を抜け、街道をひた走る。ダッダッダッダ、ダッダッダッダ。
森の中をひた走る。ダッダッダッダ、ダッダッダッダ。
疾走する二人は、まるで稲妻だ! 危ないぶつかる! あれ? よけた?
ダッダッダッダ、ダッダッダッダ。 無言で走り続ける二人。
皆さんご存じだろうか? 秒速十メートルで走って百メートル十秒ジャスト、これは時速三十六キロに過ぎないことを。
だがここに、常識を超えた二人がいた。
ダッダッダッダ、ダッダッダッダ。
気合を入れて
俺は、当初前回キャンプした場所辺りで休憩しようと思っていたが、風になった
もし俺が、この能力を持ったまま、もとの世界に戻れたら、出場するほとんどの走行関係の競技で金メダルが取れるだろう。今どきの金メダルには
走りながら
「ここらで、昼にするか?」
「はい。マスター」
俺もアスカ同様息も切れていない。アスカはもともと息してないか。以前屋台で仕入れた果汁の入ったコップを取り出して飲む。オレンジジュースなのだろう。冷たくない分甘みが引き立って、すごく美味しい。
「アスカも飲むか?」
「いいえ。必要ありません。それより何か食べるものをいただけますか?」
「おお、悪い悪い。今出すから」
屋台で買っておいた料理を数皿、それとパンと水を取り出し、アスカに勧める。
「そういえば、走り出す前、魚を
俺も料理をつまみながら気になってたことを聞いてみた。
「はい。マスターが河に高速弾を打ち込めば、魚が浮いて来るのではと」
「ほう、よさそうだな。だけど、衝撃で浮いてきた魚は気絶してるだけだそうだから、俺の収納じゃ生きてる魚は
「魚が浮いてきたら、私の髪の毛で、魚の
おおー、魚の
「よし、それでいこう。一杯獲れたら嬉しいよな。フレデリカ姉さんやヒギンスさんにいいお
見つける端からモンスターをコンボで
河岸に立って水面をのぞき込むと、すぐ近くで大きな魚が
「ほー、いい感じだなー。これは、かなりいるぞ。大物も期待できる」
もはや、目的は魚獲りになってしまった。
「それでは、マスターお願いします」
「
「
何が標準か分からないけどまあいいか。
「
どう頑張るんだよ。何だか以前同じようなことを聞いた気もするがどうだったんだろ、まあ、いいか。
「それじゃあ、そこらに適当に落とすぞ!」
ドバーン! ドバーン! ドバーン!……
とりあえず高速弾十発、岸から三十メートルくらいに落としてやった。
ザザザザー。
立ち上った水柱が崩れる。
思い出した。これってダイナマイト漁だ。いい子はマネしちゃだめだぞ。
浮いて来るよ、もう、ザクザク? こういうのなんて言うの? ワラワラ? 大きな魚もかなり浮いてきた。無論小魚も無数だ。そこの
「アスカ、二十センチ以下のは見逃そう」
「了解しました」
アスカがあっという間に
「おー、
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