第37話 サスアス説明回
初日は、途中、軽く串焼きを食べながら水を飲んだだけで十時間駆け続けた。
「アスカさん。このテント組み立てられる?」
「多分、大丈夫だと思います」
そう言ったアスカは、テントを持ち上げ、ひっぱったり伸ばしたりして珍しく苦戦しているように見えたが、気が付いたら立派にテントが組みあがっていた。
「マスター、四隅をロープで固定するようですが、何か固定具のようなものがありませんでしたか?」
すまん、テントの部品がまだ残ってた。
収納庫の中にまだテント用の杭が四本残ってたので、アスカに渡すと、それを地面にブスリと突き刺し、器用にロープを結んでテントを固定した。サスアス、ロープの結び方まで知ってるのか。
次は、俺の収納庫から有り余る丸石を二十個ほど取り出し、ぐるっと円く並べて、どこかで買って忘れていた
最初、煙が立ってむせたが、すぐに火が
視界の隅のミニマップによると、近くに何らかのモンスターかけものがいるのが分かるが、動きは
アスカは寝る必要がないので、たき火の火の番と見張りをしてもらう。俺はテントの中で毛布を広げ、横になる。構図的には、俺だけ楽をしているように見えるが実際そうなので、そうなのだ。
横にはなってみたものの、すぐには寝付けないので、たき火の前に座るアスカのところに行って眠くなるまで話をすることにした。
「アスカ、おまえの攻撃方法、基本
「
よーく分かりました。
「戦闘で手加減なんかする必要ないから今のは気にしないで。それじゃあ、逆に一番強い攻撃は何になるの?」
「それは、全力で突進したうえでの打撃です。しかし、地上では、よほどの
うちのアスカさんは実は戦闘狂でした。
「そういや、アスカのその髪の毛って何本くらいあるの?」
「私の髪の毛は人の髪の毛と比べるとやや太めですので、約八万本としています。増減は可能ですがこれ以上増やしますと見た目が不自然になります。現在の設定では、内一万本を攻撃用。残りをマスターの防御用に割り振っています」
「そうなんだ。ちなみに、俺に向けられた火の玉や矢なんかは防いでもらってたけど、強力な魔法攻撃なんかも防げるの?」
「防御用に割り振った髪の毛でマスターの周囲に球形の繭のようなものを作成します。ほぼ一瞬で展開できますので、物理系魔法攻撃はほぼ百パーセント防げます。精神系の魔法についてもある程度は防げると思います。ただ、気体系の攻撃の防御はできません」
「気体系?」
「はい。
「そうか。やっぱりアスカは頼りになるな。俺の守り神だ」
サスアス、思った通り魔法攻撃からも俺を守ってくれるんだ。しっかりヨイショしとこ。
「あと不思議に思ってたんだけど、切り取った薬草を髪の毛で運ぶよね。そん時、薬草が髪の毛で切れてちぎれないのがどうしてかなあって」
「この髪の毛の断面は、円形ではなく、楕円形をしています。斬撃するときは、細い方の面を相手に向けて斬撃します。物をつかむようなときは、平たい方の面を向けます。その時、若干ですが、物を掴んでいる部分をさらに横に広げ、かかる圧力を軽減します。刺突する場合は普段丸みを帯びた先端を少し尖らせています」
サスアスが更に深まった。そして俺の小さな疑問も解けました。
「そろそろ眠くなったから寝るな。後はよろしく頼む」
「了解しました。私がマスターのそばにいる限り決してマスターが危険にさらされることは有りませんから安心して就寝してください」
[あとがき]
『ASUCAの物語』(42話、11万字)アスカ誕生前後から第1文明崩壊までを描くSF。よろしくお願いします。https://kakuyomu.jp/works/1177354054916821848
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