第35話 Bランクへ


 俺たちは、オーガの発見および討伐をい、キルンの南門から街道を南へ下ってしばらくいった先の森の中でオーガを仕留しとめめたところだ。


 そのオーガたちは何か食べていたようだが、これは見ない方がよさそうだ。


「マスター、オーガが何か食べていたようです。確認しなくていいんですか?」


 アスカの言う通りだが、もしも人とかだったりしたら嫌だぞ。


 とはいうものの、冒険者の義務的な何かがあるかもと思い直し、結局アスカにうながされるまま、オーガたちが食事していた場所に行ってみたところ、そこにあったには、食い散らかされた鹿の死骸しがいだった。


 放っておくと死骸も腐るだろうし不衛生ふえいせいだろうと思い、一メートルくらいの深さで土を収納し、穴を作ってその中に死骸を埋めてやった。その後、収納した土を出して埋め戻してやった。




「アスカ、今何時だ?」


「午後五時十五分です」


「ずいぶん遅くなったな。急いで帰っても、八時になるか。シャーリーが心配するから、ギルドへの報告は明日だ。そのままきょてんに帰る」


「はい。マスター。急ぎましょう」





「シャーリー、ただいま」「ただいま」


「お帰りなさいませ、ご主人さま。アスカさん。お帰りが遅かったので心配しました」


「ちょっと遠くまで行ってたんで帰るのに時間がかかった」


「食事になさいますか? それとも先にお着換えですか? それとも……」


 シャーリー、それどこで覚えて来たんだよ?


「そうだな。食事を頼む。俺たちは着替えてくる」


「食事が冷めてしまいましたので、温めなおします」





 翌朝、冒険者ギルドの受付。


「おはようございます。ジェーンさん」「おはようございます」


「おはようございます。ショータさん。アスカさん」


「えーと、今回依頼を初めて受けたもので、報告はここでいいんですよね?」


「はい、こちらでお願いします。それで?」


「えーと、依頼達成しました。でいいんですか? 報告は」


「えーと、昨日の依頼を達成されたんですか?」


「そうですけど」


「ということは、オーガを?」


「そうですよ。後で調べたらオーガメイジてのもいました」


「ということは、他に何匹かいたんですね?」


「ただのオーガがあと4匹」


「ただのオーガ!? 分かりました。一緒に買取窓口に行ってオスカーさんに確認してもらいましょう。どうせ、アイテムバッグに入れてるんですよね」


「ええ、まあ」




「おはようございます。オスカーさん」「おはようございます」


「オスカーさん、ショタアスの二人がオーガをたおしたんですけど確認していただけますか?」


「またお前たちか。そこのゆかに出してくれ」


「はい。で、これがオーガメイジです。で、これがオーガ。そいでもって、これもオーガ」


「おい、ちょと待て、一体何匹いるんだ?」


「あと二匹ですから出してしまいます。三匹目、四匹目。これだけです」


「ジェーン。オーガメイジ一体、オーガ四体だ。確認した。それとショウタ、全部買取でいいんだろ」


「お願いします。今回も魔石は全部抜いてあるんで」


「どうやったらそんなことができるんかね。まあいい。ショウタ、悪いが、こいつら裏の解体所かいたいじょに運んでくれないか?」


「分かりました」


「ショウタさん、私は手続きしてますから、オーガを運んだら私のところに来てください」


「了解です。それじゃ、いったん収納しちゃいます」


 今回は間違えないようにオーガの死体に手を触れて、収納していく。


「ショウタ、解体所はこっちだ」




 ギルド裏の解体所は、屋根と柱だけでできた建物で、そこでは作業員が三人ほどで、吊るした何かを解体作業中だった。俺は、ここにおいてくれと言われた真ん中にある作業台の上にオーガを一匹載せておいた。あとの四匹は床の上だ。


「すまんな、助かった。魔石がないならこの値段だな。ショウタ、これ持って支払窓口に行ってくれ」


「ありがとうございます」




「ジェーンさん。戻りました」


「ショウタさん、アスカさん、改めて依頼達成確認しました。それと、Bランクへの昇格おめでとうございます。これが新しい冒険者証です。あと、この紙をもって受け取り窓口に行って達成報酬を受け取ってください」


「ありがとうございます」




「討伐報酬がオーガ四体で大金貨二十枚、オーガメイジで大金貨七枚と金貨五枚です。素材がオーガ、オーガメイジ共に一体に付き金貨十五枚で、合計大金貨七枚と金貨五枚。総計で大金貨三十五枚になります。どうぞ」


「ありがとうございます」




「アスカ、今回もかなりかせげたな」


「そうですね」


「今何時だ?」


「午前九時です」


「まだ九時か。今日、何しようか?」


「今日はToDoが無いんですか?」


 アスカさん、なぜそれを知ってる?


「用事がないようでしたら、フレデリカさんのところへ行くのはどうでしょうか」


「フレデリカ姉さん? どうして?」


「最近、うかがっていませんし、何か面白いお話でもあるかなと」


「そういえば、最初にフレデリカ姉さんにもらった薄い本。面白そうなポーションのレシピがってたんだけど、素材がここらで手に入りそうもないんだ。例えば、キュアポーション。図書館で調べた時と、もらった本に載ってるレシピが違うんだけど、気になるんだよね。それと、お金も貯まって来たことだし、上級錬金セットもできれば手に入れたいかな。よし、フレデリカ姉さんのところに行こう」


「それでしたら、何か手土産てみやげでも持参しましょう」


「そうだな。何がいいと思う」


「女性ですから、やはり甘味かんみなどいかがでしょう」


「じゃあ、この前の喫茶店でケーキでも買ってこよう。今の時間、開いてりゃいいけどな」


「あの店の開店は九時ですので大丈夫です」


 そうですか。


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