第9話 ダンジョンコア


 このまま突っ立っていると疲れそうなので、コアに聞いてみた。


 こんな感じのリクライニングシート出来ないか? 


 散髪屋の椅子いすをイメージして、コアに依頼してみたところ、


『可能です。作成しますか?』


 頼む。そこら辺にお願い。


 散髪屋の椅子風の、豪華なリクライニングシートが一脚、コアの脇に現れた。座ってみると快適だ。しばらく横になって、自分の鑑定を続けることにしよう。


 収納士:スキルとして収納を使用できる。収納庫の維持、出し入れにMPが不要。非常にレアな職業だが普通職。


 物理防御力:この値以上の物理攻撃を受けると、き分が物理ダメージとして、PAにダメージを与える。定数×Lv+装備品の物理防御力(収納士の場合の定数は1)、魔法攻撃の二次ダメージは、物理攻撃として計上される。


 魔法防御力:この値以上の魔法攻撃を受けると、差っ引き分が魔法ダメージとして、PAにダメージを与える。定数×Lv+装備品の魔法防御力(収納士の場合の定数は1)


 PA:ダメージを受けるとこの値が減少する。0以下になると、ダメージが直接、体力等を減少させる。自然回復する。


 MP:魔法を使う場合消費される。使用魔法により消費量は異なる。自然回復する。


 スタミナ:何らかの行動を行う場合消費される。行動により消費量は異なる。自然回復する。


 体力:体の強さを表す。この値が大きいと、PAの回復が早くなる。この値が0になると死亡する。わずかだが自然回復する。


 精神力:精神の強さを表す。この値が大きいと、スタミナの減少が小さくなる。一部の魔法への耐性が高まる。この値が0となると行動不能となる。わずかだが自然回復する。


 素早さ:行動が早くなる。この値が0になると行動不能となる。魔法の行使に影響する。わずかだが自然回復する。


 巧みさ:行動が正確になる。この値が0になると行動不能となる。魔法の行使に影響する。わずかだが自然回復する。


 運:あらゆる行動が補正される。この値は、通常変化しない。


 スキル:収納:非生物を収納庫に収納できる。収納庫の大きさ=比例定数×2の収納Lv乗の三乗に比例(比例定数=1.5×収納士レベル 単位:メートル)現在の収納庫の大きさ=約八立方キロメートル(一辺二キロの立方体相当)。質量制限なし。


 現在の機能1:時間経過、収納物別設定(0から1024倍) 現在の設定:デフォルト(全収納物時間停止)

 現在の機能2:遠隔収納・排出 約千五百メートル(1.5×1024)以内の認識できるものを収納。認識できる場所に排出。   

 現在の機能3:対象物指定および指定物同時収納(1024個までの同一種対象を指定し、それらを一度に収納できる)


 称号:スキル限界突破者げんかいとっぱしゃ:スキル上限を何らかの手段で超えた者

 称号:深淵の迷宮踏破者とうはしゃ:1つ以上の深淵の迷宮を踏破した者


 加護:収納神の加護かご:認識できるあらゆる非生物を収納できる。収納士Lvが+5される


「第1の黒の書」:接続すると、世界統合情報ARCHIVEアーカイブにアクセスできるようになる。指定した情報をARCHIVEから得ることができるようになる。現在の鑑定情報はARCHIVEから得た情報である。

深淵の迷宮のコアルーム内に限り接続状態が維持される。

特記事項:手に持ったものや収納庫内の物品については、コアルーム外においても鑑定可能。その他の物品、生物などについての鑑定は保証されない。


 なんかすごいの来たー。


 ……。


 なんか疲れた。



 コアさん、ダンジョン内を見るのにモニターって作れるかな? これくらいの大きさで。 


『可能です。すぐに作成します』


 あっ! コアに触らなくてもよかったんだ。


 目の前に、六十インチくらいのモニターが現れた。


 勇者一行を映してくれる?


『勇者一行とは、彼らですか?』


 そう、その連中。


 モニターの中で、騎士たちと少し離れた場所で、勇者一行が座り込んで休憩している。


 音声もお願いできるかな?


 すぐに、モニターの方から音声が流れて来た。



『いやー、この剣いいわー』


『光、あんた前に出て突っ込みすぎ。あんたが邪魔じゃまで、あたしが魔術撃てないじゃない』


『この剣振ってると、すっごく気持ち良いんだ。マジ、荷物持ちと交換できてラッキー!』


『あんた、罠がないって言ってコダマをだましてたの、騎士たちにどうやって誤魔化ごまかす気? あいつら、私が宝箱の鑑定してたの知ってるんだよ』


『ん? 別にー。誤魔化ごまかす必要ないだろ? 戦力外の荷物持ちがいなくなった代わりに、この剣で戦力強化になったんだし。それに、あいつは運だけはいいんだから、どっかでまだ生きてんじゃない?』



 君たちのしたことどうなのよ。俺の豪運が無かったら、俺、普通に死んでるよ。あれっ? こいつの言う通りに生きてら。


 とはいえ、この勇者はテンプレくず勇者だったわ。


 こいつらとは、ここで別れることができてラッキーだった。やっぱり俺の豪運が大噴火してたんだ。



 そういえば、モニター越しでも鑑定できるかな? 離れていたら保証されないとか言ってたけど、保証されないだけだし、うまくすれば鑑定できるよな。


 どれどれ、俺と交換したっていう剣はあれか? 鑑定!


 やっぱり鑑定できた。


 名称:青き稲妻いなづまの大剣

 完全電撃耐性、 速さ+20 ほう、なかなか。


 隠し特性1:「直情径行ちょくじょうけいこう」精神力-20、巧みさ-20、運-20。 使用し続けると精神浸食せいしんしんしょくされ知能が低下するが、腕力は上昇する。

 隠し特性2:「魅了みりょう」この剣を手放したくなくなる。

 隠し特性3:「ステータス偽装」一般鑑定では、所有者のステータスの低下が反映されない。


 クズ勇者さまにお似合いの、呪いの剣でした。 


 さて、本人は? 鑑定!


 名前:ヒカリ・カネダ 17歳

 LVL:3

 職業:勇者 LVL1/5 

 種族:ヒト族(チキュウジン)


 物理防御力:41(2×3+35)

 魔法防御力:41(2×3+35)


 PA    165/165    


 MP    315/315    

 スタミナ  295/315    


 体力    151/151    

 精神力   130(150)/150     

 素早さ   120/100     

 巧みさ   80(100)/100     


 運     30(50)


 スキル:火魔法Lv1/5、水魔法Lv1/5、風魔法Lv1/5、土魔法Lv1/5、光魔法Lv1/5、

 大剣術Lv1/5


 あんまり、Lvはあがってないな。1Lv上がるとステータスは1上がるのか? それと、勇者の防御力定数は2か。この表示親切だな。


()の中のステータスは、一般的鑑定で表示されるステータスだな。俺にだけ実際のステータスが見える訳か。


 勇者:経験値取得二倍、対魔族ダメージ二倍、対魔族被ダメージ二分の一。最上級職の一つ


 ここら辺は さすがは、勇者といったところか。



 最上級職:レベルアップに必要な経験値が、普通職に比べ三倍必要。ちなみに上級職は普通職の二倍必要。


 最上級職ってカッコいいと思ったら経験値逆ボーナス付きだった。 


 どうせこんなもんだろうから、他の二人はもういいや。だけどこんなんで、『魔界ゲート』を何とかできるのかね? ちょっと心配だぞ。


 もうこんな連中とも顔を合わせることもないだろうから、こんなところでいいか。



 俺の収納庫の中には、遠征用の荷物を収納して運んでいた関係で、結構な量の食料も水もある。俺はダンジョンマスターとしてここで生きる!


 いやいや、そのうち食べ物はなくなるし、水はもっと先に無くなるだろうから、しばらくしたら、ここを出なくちゃならない。そのあとは、この世界を見物しつつ、元の世界に帰るために、俺にできることを探してみよう。






[あとがき]

2021年5月12日現在、表記などの修正を行っています。ご不便をおかけしますがよろしくお願いします。

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