第7話 勇者 ヒカル
俺の名前は
中学の時の後輩のサヤカと、サヤカのダチのモエと、三人でつるんで学校ふけてカラオケでも行こうと歩いてたら、いきなり真っ黒いワゴン車が俺たちの方に突っ込んできた。
それから先は、まあ、異世界召喚? そんなやつよ。
目の前に突っ立ってるお嬢さま? 後で分かったが、王女さまだった。その王女さまが、俺たちを召喚したとかなんとか。話はよくわからなかったが、どうやら俺は、勇者になったらしい。どうよ。サヤカが賢者。モエが聖女だと。
これからは俺たちの時代だぜ。
そういや、もう一人召喚された野郎がいたな。収納士? お
俺たちのいるところは、何とか
何だー、
われらが収納士さまは、眼鏡を外したのか? お前なんかが、眼鏡を着けてようがいまいが、もてやしねーよ。
イミフの座学だが、魔法が使えるようになってちょっとうれしくなったぜ。最初、指先から大きな炎が燃え上がった時にはさすがにびっくりした。
騎士のおっさんたちとの、チャンバラもたるい。こいつら
ちゃんと
武器がまっすぐ振れるようになるまでは、ハンマーとかメイスを使え? 何言ってるんだ、そんなの使っちゃカッコ悪いだろ。俺は勇者さまなんだぞ、
明日からダンジョンで実戦訓練だ。ワクワクが止まらない。どんなヤツが出てくるか、騎士団長のおっさんがなんか言ってたけど、出てきた端からブッタ切ればいいんだろ。やってやるぜー。
片付け屋の野郎、馬車の中で寝たふりで俺たちをシカトかよ。ま、どうでもいいか。俺もかまってやるほど暇じゃないしな。
この野郎、昼からは寝たふりやめて、起きてると思ったら、今度は、窓の外を見てたそがれてるよ。
よーし、今日はダンジョンだ。暴れてやるぜ。
ここが入り口か? 真っ黒い渦が巻いてるけど、ここに入って行って大丈夫なのか?
ん? サヤカとモエ、二人とも落ち着いてんな。ま、何があっても俺が助けてくれるからって安心してるんだろうな。
ダンジョン1層
賢者の魔法で
なんだ? この剣、安物か? もう折れちまった。おい、収納屋、予備の剣! ああ、それだ。おい、もうちょっときびきび急げよ!
あー、たるい。いつまで、こんなザコ相手にしてるんだよ。
モエー、『スタミナ』頼む。……、サンキュー
ダンジョン2層
1層とそう
サヤカと、モエはクモが苦手なのか。良いこと知ったぜ。
ダンジョン3層
ここも大したことない。ザコ相手じゃつまらん。
おや、あそこの崩れた壁のところ、なんかあるんじゃないか? ん? 隠し部屋?
おー! 宝箱。見るからに豪華だ。後から来た騎士のおっさんたちも入り口あたりで騒いでる。
サヤカ、宝箱の鑑定は?
「罠はテレポーター。どこへ飛ばされるのかわかんない」
中身は?
「アーティファクト、『青き
アーティファクトってのは、すごいってことだよな。じゃあ、何としても手に入れないとな。
「おい、収納屋、突っ立ってないでこっちへ来い。急げよ。お前、運だけはこん中で一番いいんだよな。あの宝箱、お前が開けてみろ。運が高けりゃ、良いもんが出てくるかもしんないからな。さっきサヤカが鑑定したら、罠はないみたいだから安心しろ」
モエが目を見開いて俺の方を見る。右手の人差し指を立てて少し開けた口の前に。なーに、有効活用、余りものの有効活用。どっかに飛んでいくだけなら大したことないだろ。
収納屋が前に出て、宝箱の上蓋を引き上げた。その瞬間、収納屋は空中に吸い込まれるように俺たちの目の前からいなくなって、
中には、青黒くつやのある「大剣」が入っていた。これが、『青き
収納屋が消えてしまって、騎士のおっさんたちは騒いでいたが、俺は知らん。
さっそく、中に入っていた大剣を両手で握りしめると、すごく手に
目の前の宝箱は、
さー、この『青き
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