第5話 実戦訓練! いざダンジョンへ
テンペラ宮の一室でマリア王女が勇者たちの教育担当のマーロン
マーロンは
「勇者さま方の訓練の方はいかがですか? マーロン魔術師団長」
「お三方とも中級魔術までは問題なく発現できるようになりました。練習を重ね
「ということは、現状では、発動速度、威力共に不十分ということですね」
「残念ながら。あのお三方は、どうも集中して訓練することが
「分かりました。それではトリスタン騎士団長、お三方の武術の方はいかがですか?」
「勇者さまは、非常に高いステータスで剣を振り回すため、私以外ではまともに相手にならないほどです。賢者さまの杖や聖女さまのメイスの腕前は見習い騎士程度かと」
「要するに、勇者さまは剣を振り回すだけで技術が伴ってないということですね」
「ええ、まあ。あれでは、よほどの剣でなければ実戦ではすぐに折れてしまうでしょう。動きに慣れるためにメイスやハンマーといった打撃系の武器を勧めても、
「困りましたね。訓練用の大剣もまともに扱えないようでは、とても聖剣はお渡しできませんし。そういえば、収納士の彼はどうです?」
「コダマ殿は非常にまじめで、何事にも真剣に打ち込んでいる姿が非常に好ましい青年です。ただ、収納士という職業がおそらくは実戦向きでないのが残念です」
「私自身は、直接訓練に付き合っていないため部下からの伝聞ですが、コダマ殿は礼儀正しく、侍女たちが重いものなどを運んでいるところに出会うと、収納魔法?で運ぶのを手伝ったりしているそうです」
「そうですね。コダマさまについては、よい
はあ。コダマさまが勇者だったらどんなに気が楽か。
あッ! 今のは、忘れてください。
それで実戦訓練ですが、準備に一週間くらいでしょうか。準備でき次第、この離宮に一番近いキルン迷宮の
「かしこまりました」
◇◇◇◇◇◇
「1、2、3、……、…… 、99、100」
中庭での石の出し入れは、五十歩程度離れていても問題ないようになった。これ以上は中庭の広さの関係でできない。
そこで、今度は玉石を空中、高さ十メートルくらいに排出し、地面ぎりぎりで収納する。この動作を繰り返すことにした。
攻撃手段の無い現状では何もできない。それで何かないかと思いついたのが、敵の頭上で、玉石を排出して落としてやることだ。うまくすればかなり効果的な攻撃手段になると踏んで、玉石を何度か地面から五メートルくらい上の空中で排出して、自然落下させてみたが、落下速度が思いのほか小さく、威力も不足気味なうえ、思った場所に落下させるのがかなり難しかった。
それではと大き目の庭石を使って試したところ、威力は申し分ないが、落下による衝撃の振動が思いのほか大きくて、周りに迷惑を掛けそうなので、早急に中止して今のような形になった。
やっていてわかったのだが、落下で速度を増した玉石の速度は、収納してもそのまま維持される。四、五回出し入れをした玉石は、まさに
それともう一つ。凶悪なことを思いついたので、試しにやってみた。
ゴキッ!
目の前の大き目の庭石が変な音を立てて砕け落ちた。
何をしたかというと、庭石の内部に、あらかじめ収納していたやや小ぶりの玉石を出してみただけだ。
物体の中にも、意識さえすれば物が出せるらしい。これまで物の出し入れでMPが減った感覚はなかったのだが、今回は、ほんのわずかにMPが減ったような気がした。このような形で無理やり排出するとアイテムバッグを使うときのようにMPを消費するのかもしれない。
今のところ、試すことができないので確認していないのは、プロテクション・オーラ、PAを持つ敵に対して、この
収納、排出を
訓練を続けているうちに、中庭にあった石は、あらかた壊すか高速弾にして収納してしまい、目に付くところに石が無くなってしまった。仕方ないので、ここのところテンペラ宮の周りを散歩と称して歩き回り手ごろな石を収納している。
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