すめらぎさん一族の日常

ナタデコ子

第1話 プロローグ


 燕が飛来するこの季節、ほんのり暖かくなったかと思いきや、まだ風が冷たく、布団に篭ってしまうごく普通の青年が一人おりました。


 そう、その青年こそこの物語の主人公であります☆

「もごもごもごっ!!(であります☆じゃねぇよ!!)」

 彼の名前は皇カオル、とにかくぱっとしない特徴で髪の毛は黒、髪型もごく一般的なもの、しかし、一つだけ変わっているところがありまぁす!それはなんと……



「おいこら、勝手に僕の出番を奪うんじゃあない!!!!」

 どやっビシッと決まった、と心の中で思っている主人公カオルくんでした。ヒューヒューカッコイイ。

「てめぇいい加減にしろ」

 さて、彼の怒りは無視して、私の紹介でもしておきましょうか。私の名前は皇ミツル、カオルくんの兄にあたる者になります。

 年齢は25歳、某有名大学卒業、適当に趣味でやっていた事が就職する際に活かされゲームプログラマーになったが、その翌日にとある事件が発生し、仕事を辞め、ニートとなる。以降、朝起きるのが苦手なカオルくんの専用アラームとなったのであった。うーん、毎日がホリデーだ!!




「あれ!?これ僕の物語だよね?間違ってないよね?」

 兄の紹介ばかりで、驚きを隠せないカオルくんでしたっと。

「もう、起きたから許してください」

 と弟はベッドから起き上がって、真顔になって言った。

「なら、仕方ないか、はぁ。今日からうちの家にいとこが住むことになってるよ。その件については知っているね?」

 急に真面目な顔で兄は僕の寝癖がついてる方を見ながら言った。




「え…今、なんて言った?」

 と僕はちらっと兄の方を見て聞き返した。

「いとこが住む」

 兄は即座に言った。そんな話1度も聞かされてないぞ。親からの連絡が兄のところまでで途絶えてやがる。なんて事をする兄だ。今日は大学に行かなくていいから、この日の為…せっかく、積んでおいたゲームがあるというにもかかわらず、許せん、絶対に許してならないことだがここは怒らず素直になっておくか。

「で?いつ来るんだ?」

 僕が階段を降りると同時に兄はこう言った。

「あぁ、もう来てるよ」

 やはり、すでに知っていた。来てたのか…というか待たせておいているじゃないか。何やってんだ。あぁ、こんちくしょう。

 僕は兄より先に1階のリビングに到着してすぐに頭を下げ、謝った。

「挨拶遅れてしまい、申し訳ございません」

 頭を上げると、そこには今まで会ってきた中でもトップクラスに金髪美少女がソファにだらしなく座り、テレビを見ていた。

 突然謝ったので、それに気づいたのか彼女がこちらの方を向いた。

「今、私テレビ見てる途中ですよ?急に大声をあげないでください!!」

 えぇ!?怒られた。それはそうか…。

 それが彼女との最初の会話だった。

 そして、これがきっかけで僕の日常が大きく変わる(狂う)ことになるとはこの時は思いもしなかったのであった。

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