第134話 ヴァニタスとアスタルテ
◇◆◇
「っ!!!???」
「???どうしたのー?」
「???どうしたんだ、アキト?」
ふいに奇妙な
その僕の様子に、それまで楽しく会話を交わしていたノエルちゃんとギルバートくんが訝しげな表情をしながら僕に問い掛ける。
「あ、ごめんごめん。ちょっと考え事をしていてさ。何でもないよ、気にしないで。」
「「ふぅ~ん・・・?」」
慌てて僕はそう誤魔化すと、二人は不可思議そうな顔をしながらもそう納得した。
そうこうしていると、すでにその
気のせい、って事はないよな、流石に・・・。
少々、いや、正直かなり気になるが、子供達に不安な思いをさせるのは憚られる。
故に、僕はその事を一旦意識外へと押し出した。
「それよりさ、その
「えー、ノエルはようせいさんとのおはなしのほうがいいなぁー。」
「まあまあ、お二人とも。そろそろ良いお時間ですし、アキト様もお忙しいご身分でしょうから、そろそろお開きにしてはいかがですか?」
「「えー!!!」」
「そうですよ、ギルバート、ノエル。あまり無理を言ってはいけませんよ?」
「そうだぞ、ギルバート、ノエル。」
「えー!」
「ぶーぶー!」
そこに、随分長い事雑談を交わしていた僕達に、モナさんとエリス王妃、ティオネロ皇太子も間に割って入って来た。
確かに、謁見から始まって、
そろそろ日を陰ってくる頃合いだから、お暇するにはちょうど良いタイミングかもしれないな。
「・・・何だか、随分と子供達に気に入られておる様だな、アキト。」
「はぁ、子供達に慕って貰えるのは有難い限りですが・・・。」
と、そんな事を考えていると、マルク王から声を掛けられる。
謁見を台無しにし、
元々、マルク王にも思うところがあったのかもしれない。
「改めてだが、今回の件はすまなかった。それとありがとう、アキト。」
「あ、いえ。別段、僕が何かした訳ではありませんよ。
「それでも、だ。その
「はぁ、まぁ、それは否定しませんが、一度出来上がってしまったシステムを崩すには、それなりに強引な手段も時には必要でしょう。むしろ武力で事を起こさなかっただけでも、幾分平和的だったと思いますよ。」
「・・・まぁ、それはそうだな・・・。」
ぶーぶーと文句を言うギルバートくんとノエルちゃんを宥めているモナさん、エリス王妃、ティオネロ皇太子を眺めながら、僕達はそんな会話を交わした。
「とは言え」
「・・・む?」
「マルク王の役割はまだ終わってはいません。確かに些か強引な手段ではありましたが、
「っ!!!」
「もっとも、やはり一線を引く必要はあります。あなた方に決定権がある状態では、表面上は変化しても、中身が全く変わらない事となってしまいます。それ故、まだまだ
「・・・フ、フハハハッ!そうかっ、やはりそのつもりだったのだなっ・・・!」
「・・・はい?」
「いや、皆まで言うな。お主は、やはり真の救世主であったのかもしれんなぁ・・・。」
ウンウンと何かに納得するマルク王。
まぁ、正直良く分からんが、何か納得している様なのでここはスルーしておこう。
ここまで介入しといて何だが、政治の話に深入りするつもりはないからな。
「さて、まぁ、色々あったが、今度は政治的な話や難しい話はおいておいて、ギルバートやノエルに会う為に宮殿を訪れてくれ。」
「あっ、私からも是非にっ!
ほう、ティオネロ皇太子もそこに気が付いていたか。
なんだかんだ言っても、結局人材は貴重、かつ、一旦選択を誤ると、場合によっては
為政者にとって、国民は守るべき対象であると同時に、一番の難敵となる可能性がある事は歴史から明らかだ。
結局は、国民の労働環境やら生活基盤を安定させる事こそが、国を磐石にする事、ひいては自身の立場を守る事に繋がるからな。
「ええ、喜んで。」
こうして、僕とリベラシオン同盟の、長い宮殿での出来事に一先ず幕が下ろされたのであったーーー。
ところで、あの奇妙な
◇◆◇
〈お、お母様っ・・・。差し出がましい様ですが、この様な場所に来られるのは
「なぁにぃ~?ヴァニタスったら何度もうるさいわねぇ~。心配しなくても、
〈いや、そうですが、そういう事じゃなく・・・。〉
「もう、いいじゃない、ちょっとくらいっ!こっちは数百年ぶり・・・、いえ、数千年ぶりだっけ・・・?それくらいぶりに愛しいあの方のお姿を拝見出来る機会なのよ?少しくらい
ゾクッ!
〈め、滅相もないっ・・・!た、ただ僕は、お母様の身を案じて・・・。〉
「ならば余計な心配だわ。それに、貴方の方こそむやみやたらに
〈は、はぁ・・・。〉
いやぁ、参ったなぁ~。
ヴァニタスは率直に困り果てていた。
彼女、『女神・アスタルテ』の自由奔放さに、である。
ヴァニタスの思惑とは裏腹に、アスタルテのその目覚めは完璧なモノではなかった。
いや、場合によってはこれはある種正しい姿だ。
アスタルテは、そもそも
一つは『大地神アスタルテ』としての、『地母神』にして『始祖神』としての側面だ。
故に、彼女はもう一柱の始祖神である『天空神ソラテス』と同格の
その派生ではないが、ソラテスとの対立時に『魔神・セロス』と結託し、地母神としてのもう一つの側面、すなわち、『死』を司る神ともなった。
と言っても、これは存外珍しい事ではない。
彼女はソラテスと共に
すなわち、『生』や『誕生』を司る神、地母神としての大元があるのだ。
しかし、生を司ると言う事は、すなわち死を司る事と同義だ。
実際、
これは、輪廻転生の考えが反映されている事もあるらしい。
すなわち、破壊(死)→再生(生)へのプロセスである。
自然の猛威の前には、環境や生物はことごとく打撃を受ける。
しかし、その後の再生によって新たなる生命を育む土壌ともなる。
そうした自然のサイクルを、昔の人々が神話に落とし込んだのではないか、というのが、一つの定説である。
もう一つは、原初の女神として、その後に登場する女神達のある種の
こちらも、もちろん様々な説があるが、要は他の女神も、そうした原初の女神の生まれ変わり、あるいは転生とか別側面と捉えられるのである。
故に、
そもそも、地母神と死神としての側面を併せ持っている事から、彼女には様々な側面がある事は始まりの時点で確定しているのだ。
そこに、また別の側面が追加されたとしても、何ら不思議はなかったりするのである。
と、この様に、彼女は非常に捉えどころのない存在なのだ。
自由奔放だったり、愛に生きたり、母性豊かだったり、嫉妬深かったり、執念深かったりと、おおよそ女性の魅力的な面と恐ろしい面を併せ持った女神。
それが、女神・アスタルテなのであった。
で、その女神は、今はとある人間の女性に
目的は彼女の言葉にもあった通り、英雄神・セレウスを一目見る為である。
彼女とセレウスの関係性は、語ると長くなるのでここでは割愛するが、彼女を目覚めさせたヴァニタスとしては、下手にセレウスの宿主である
もっとも、彼女の機嫌を損ねる事はヴァニタスとしても危険な行為だ。
今現在のヴァニタスとアスタルテでは、長い眠りの為に保有する
なおかつ、これはソラテスにも当てはまるのだが、
故に、『新しき神々』も、ソラテスとアスタルテを滅する事は叶わずに
それは、当然ヴァニタスにも当てはまる。
ヴァニタスではアスタルテを滅する事は叶わないのだ。
それに、彼の目的としては、例え可能だとしても彼女を消す事はしないだろうが。
逆に、高次の存在であるヴァニタスと言えど、死を司る神でもあるアスタルテならば、彼を滅する事が可能だ。
もっともこれは、他の高次の存在でも可能である事だが、その場合は、
例え
もっとも、一応それらを
つまりヴァニタスでは、アスタルテに負けないまでも勝てない相手なのである。
なおかつ、一度敵対してしまった場合のリスクは大きく、そうした状況を鑑みると、ヴァニタスの方が色々とアスタルテに対する進言をする事はリスクも大きいのだが、彼にとっては
とは言っても、ヴァニタスとしては半ば諦めている面もあった。
彼女に言う事を聞かせる事は不可能に近い。
であれば、彼女の行動によってもたらされる結果から、より良い選択肢を選んでいくしかないのである。
それに、アスタルテの言う通り、セレウスやアキトに気付かれる可能性も極めて低い。
もっとも、色々とイレギュラーな存在であるアキトだけは、ヴァニタスも計算出来ないので、それ相応に警戒しているのだが。
さて、そんなアスタルテとヴァニタスは、ちょうど王都・ヘドスにて巻き起こっていた
そして、例の秘技、
もっとも、おそらくこの二人(?)だけは、それを成した
「おおっ・・・!セレウス様っ・・・!!あの時と変わらぬ凛々しいお姿っ・・・!!!」
〈(確実に
それを眺めながら感涙に咽ぶアスタルテと、冷静に
が、もう一人(?)の存在を確認し、急激にアスタルテの機嫌が悪くなる。
「ちぇ・・・!あの
〈(『管理神・アルメリア』、いや、『忘れられた神』の方か・・・。でなきゃ、今頃アキトくんは
などと、妬ましい声と半ばノンキな考えを浮かべていたヴァニタスを尻目に、アキトの放った光は一気に収束した。
後に伝説的に語られるこの光景であるが、それは実際には極短い時間だったのである。
それを好機と見たヴァニタスは、アスタルテに再び呼び掛ける。
変な気まぐれを起こされる前に、さっさとアスタルテをこの場から移動させたかったからだ。
〈さあさあお母様、セレウス様の変わらぬ凛々しいお姿を拝見し、御安心なさった事でしょう?そろそろ予定通り、ロンベリダム帝国の方へ・・・。〉
「・・・あの子、気になるわね・・・。」
〈・・・・・・・・・え゛っ!?〉
普段は何処か人を食った様な、飄々としたヴァニタスには珍しく、その予想外のアスタルテの反応に本気で狼狽した。
〈あ、あの子と言うのは、あの人間の少年の事でしょうか・・・?〉
今この場で該当する人物はアキト以外にいない。
それが分かっていながらも、ヴァニタスは違っていてくれという淡い期待と共に恐る恐るアスタルテにそう確認した。
「ええ、そうよ。
やっぱり気になるよねぇ~。
半ば諦めモードでヴァニタスはそう思った。
神話においては、人の身から神に至る者は実際は珍しくない。
偉人や英雄が、数々の偉業の末に神格化されて、信仰されて、神としての役割を与えられる事があるからだ。
しかし、これは死後の話である場合が大抵であり、生前はどれほど英雄的活躍があっても、高次の存在には遠く及ばない事が殆どである。
そもそも“神”とは、もちろんその文化や宗教ごとに解釈は異なるが、自然現象を神格化(擬人化)した存在であったり、超自然的な存在を指す。
大抵の場合は、当然であるが、人知を遥かに越えた存在であり、人間がその領域に至る事など不可能なのである。
しかし、死後であれば、肉体という器を捨て去り、精神や霊魂といった存在、所謂アストラルとしての存在となった場合はその限りではない。
以前にも言及したかもしれないが、精神や霊魂は3次元的制約を受けない。
つまり、理論上は精神や霊魂に限界はなく、常に
故に、何らかの要因でこの精神や霊魂を高める事が可能であった場合は、通常の人間を遥かに越える
それが生前であった場合は、偉人や英雄、あるいはシャーマンや超能力者、霊能力者などと特別視され、あるいは畏怖される。
そして、そうした者達の死後、神格化されたり信仰された場合に神と至る事もあるのである。
ところが、アキトの場合は、もちろん
いや、以前にも言及したが、限界突破の試練を乗り越えて、人間の限界を越えて、今や神性の領域に足を踏み込んでいるが、それも相当にイレギュラーな事なのである。
何故ならば、アキトは人の身でありながら、人知を遥かに越えた存在である神々とも渡り合えるからである。
まぁ、いずれにせよ、アキトが神々の興味を惹く存在である事には変わりない。
それは、アスタルテと言えど例外ではなかった。
「ヴァニタスは、あの子の事、何か知ってる?」
・・・さて、どう答えたモノか。
ヴァニタスは頭を抱えた。
ヴァニタスも全ては知らない。
何故ならば、彼は管理神であるアルメリアと違い、正式に『
もっとも、これは他の神々も同様だが、断片的にそれらから情報を引き出す事は可能なので、ある程度は把握しているのだが。
しかし、ヴァニタスとしてはそれでも別に問題ない。
彼にとっては、アキトは興味深い存在ではあるが、積極的に関わりたい存在でもないからだ。
いや、場合によっては、ヴァニタスの目的の障害となる可能性もあるので、出来るならば排除したいとすら思っていた。
もっとも、アキトに手を出したら、アキトの『英雄の因子』の能力によって自身にもどういうしっぺ返しがあるか分からない。
故に、なるべく関わり合いを避けて、色んな
そこへ来て、ヴァニタスと関わりの深いアスタルテがアキトに興味を抱いてしまった。
仮にこのまま、アキトとアスタルテが接触してしまった場合、ヴァニタスの
故に、ここでの答え
もっとも、本来アスタルテの目覚めが完璧であった場合は、こんな事で思い悩む必要もなかった。
そもそも、ヴァニタスが目覚めたのも、セレウスに執着しているアスタルテが、セレウスの帰還を察知した際に、自動で目覚めさせる様にそう
まぁ、もっとも、先程も言及したが、アスタルテの目覚めは完璧なモノではなかった。
それに、例え完璧でも、そもそもアスタルテには多数の側面、人間で言えば多重人格みたいなものが存在する。
故に、ヴァニタスとしては自身の
それ故、なるべくアキトに興味を抱かれない様な説明が求められる。
これはヴァニタスとしては非常に難題だった。
〈ぼ、僕もセレウス様と女神・アルメリアをその身に宿した経緯までは分かりませんが、彼、アキト・ストレリチアは元々『異世界人』。つまり、
しかし、嘘を言うのは憚られる。
ヴァニタスとしても、アスタルテには敵対されたくないからだ。
故に、真実を言いながら、少しだけ憶測を織り混ぜてお茶を濁す手法を使う。
これならば嘘を吐いた事にはならないからだ。
「異世界人?ふぅ~ん。かなり珍しいわねぇ~。過去にも存在した様な気もするけど・・・。」
アスタルテが言っているのは、以前にも言及したかもしれないが、『
もっとも、そうした人々の精神や霊魂は
故に、
まぁ、
これは、意外と好感触か?
ヴァニタスは思った。
何故ならば、アスタルテの興味が少し薄れた様に感じたからだ。
セレウスに執着しているアスタルテではあるが、それと同時に彼女にはヴァニタスの計画にも通じる部分の興味と言うか目的が存在する。
そこから鑑みると、異世界人は彼女にとって利用価値はあるが、優先順位は低かったのだ。
〈ではっ・・・!〉
「けど、ちょっと面白そうだし、ついでに少し観察して行きましょう!」
ガクッ!
そこでもアスタルテの気まぐれが発動する。
彼女からしたら、久々の『現世』だ。
面白そうな事は何にでも興味を持ってしまったとしてもおかしくはない。
えぇ~い、もうどうにでもなれぇ~!(棒)
・・・
その後、アスタルテは王都・ヘドスの街並みを堪能しながら滞在し、アキトとリベラシオン同盟が宮殿に呼ばれたタイミングで、自身も侍女のフリをしつつ、宮殿に潜り込んでいた。
「ふぅ~ん。中々面白い考え方を持っているのねぇ~、あの子。」
〈はぁ・・・。〉
そこで、マルク王との謁見、
始めこそ、ワクワクと眺めていたアスタルテであったが、政治の話が続くにつれて、彼女の興味は徐々に薄れつつあった。
「ふぁ~あ。確かにところどころ面白いんだけど、やってる事は
〈さ、さぁ?まぁ、でも、英雄は貴重な存在ですからねぇ~。〉
これ幸いと、ヴァニタスは適当な相づちを打つ。
これで、アスタルテのアキトへの興味がなくなってくれれば、ヴァニタスとしては願ったり叶ったりだからである。
「さて、じゃ、そろそろお暇しようかしら。向こうも終わった様だしね。」
〈そ、それが良いかと思います。〉
マルク王が退陣を表明し、ティオネロ暫定政権が樹立する頃合いには、アスタルテのアキトへの興味はとっくに失せていた。
やれやれ、どうにか何事もなく終われる。
そう考えていた時期が、ヴァニタスにもあった。
「いえ、ちょっと待ってっ?あらあら、可愛らしいわねぇ~!」
〈・・・・・・・・・へっ?〉
「へっ?じゃないわよ、へっ?じゃ。子供よ、コ・ド・モッ!」
〈・・・・・・・・・あっ!〉
ヴァニタスはハッとした。
アスタルテは、地母神としての性質からか、子供に対して非常に強い興味や執着を持つ。
まさかこんなドロドロとした大人の政治の世界の中枢に、子供がいるとは思わずにヴァニタスも失念していたのである。
マルク王の子供達の事を。
そうこう考えていると、ギルバートとノエルがアキトと何やら接触している場面だった。
「せっかくだから、もう少し観察していきましょう。」
〈・・・・・・・・・え゛っ!?〉
「・・・何?」
〈い、いえ、何でもありません。〉
アスタルテからの無言の圧力を感じながら、ことごとく思惑通りにならないヴァニタスは内心溜め息を吐いていた。
そして、しばらくすると、アキトが子供達への怒涛の言い訳(屁理屈)でお茶を濁しつつ、モナとの会話から“ハラスメント”に関する概念と罰則に思い至った一部始終をアスタルテとヴァニタスは見聞きする事となる。
「素晴らしいっ、素晴らしいわ、あの子っ!流石はセレウス様をその身に宿している事はあるわねっ!」
それに、再びアスタルテはアキトへの興味を強くした。
残念ながら、タイムリミットもあって、アスタルテは謁見の間から離れていた訳だが、そのアキトの(と言うよりも、
〈は、はぁ、まぁ、そうですね・・・。〉
「なぁにぃ~?ヴァニタスったら反応が悪いわねぇ~。あっ、あの人間達はっ!」
〈えっ!?お、お母様っ!!??〉
「正解ですよ、貴方、正解っ!残念ながら貴方達は、今持っている権限を全て剥奪されるわっ!!さっすが、我が愛しのセレウス様をその身に宿しているだけあるわね、あの子っ!!!素敵な罰を思い付くものだわ~!」
〈お、お母様っ!!!それではセレウス様に勘付かれてしまいますよっ!!!〉
「あらやだ、
マズッたかな?
そう、ヴァニタスは一瞬ヒヤッとしたが、
ま、何とかなるかっ!
すぐに頭を切り替えてそう結論を出した。
ヴァニタスとしては、アスタルテをロンベリダム帝国へと誘導出来さえすれば、例えアキトやセレウスらにアスタルテの存在を察知されても、特に問題なかったからだ。
〈さあさあ、今度こそロンベリダム帝国へと向かいましょう。〉
「はぁ~い。はぁ、残念だわぁ~。もう少し、セレウス様とあの子を観察したかったのだけど・・・。」
〈まぁ、これからいくらでも関わる事になりますよ。楽しみは後に取っておいた方が、よりドラマチックではありませんか?〉
〈なるほど・・・。そういう考え方もあるわねぇ~。〉
アスタルテは、ようやく満足したのか、
ヴァニタスとアスタルテ。
この二人(?)がその後、どの様にしてアキトやセレウスらに絡んでくるのか。
それは、今はまだ誰にも分からなかったーーー。
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