第104話 タルブ政変~大詰め~
◇◆◇
「さて、ニコラウスの身勝手極まりない『罪状』を挙げればキリがないので先に進みましょう。しかし、これだけは忘れずにお伝えしておかなければなりません。
「「っ!!!???」」
「「「「「っ!!!」」」」」
しれっと、その
中々、どうして、
話の流れ的にも、ニコラウスさんがろくでもない『
そのニコラウスさんが、ドルフォロさんやディアーナさんの『
もちろん、これは、ドルフォロさんが言った様に、明確な『根拠』あっての発言だ。
ニコラウスさんの部下
その人もニコラウスさんに
しかし、元々その人は『裏稼業』の人間ではあるかもしれないが、自らの『意思』の介在しないところで重大な『犯罪行為』の片棒を担がされた点は情状酌量の余地はあるので、一種の『司法取引』ではないが、
まぁ、『
もちろん、本来ならば、いくら君主とは言え、『貴族院』の了承を得ていないのは問題なのだが、これも、ぶっちゃけ僕らが“
にも関わらず、『
確かに、『司法取引』には『道徳的』な問題点も、また、自己保身の為に更なる『偽証』を重ねる可能性がある事は、
それに、『法』的に『免罪』を認めるとは言ったが、
別に僕も、今さら『正義の味方』を気取るつもりはサラサラないが、自らの犯した『罪』ならば、しっかりと自らの手で『清算』した方が良いと思う。
これは、以前にニコラウスさんにも言及したが、『罪』を犯した場合、その『加害者』は『被害者』達から、所謂『
それは、目に見えて“何か”あると言う訳ではないので、一見特に『実害』がない様に見えるが、『
これを放置しておくと、後々“謎の病”、言うなれば『霊障』に見舞われる事があるし、それだけに留まらず、“死後”も苦しむ事となる。
これが、人々が潜在的に他者への
しかし、まぁ、これも自業自得だ。
流石にこれを助ける義理は、冷たい様だが僕にはない。
ニコラウスさんに関しては、『取引』として、それらを『
と、言うのも、『
人は、当然『立場』や『主義』・『主張』の観点から、他者と『対立』する事が起こりうる。
確かに僕も、今さら自分が『絶対的正義』であると『主張』するほど幼くはないが、さりとて、自分のこれまでの行いを悪いモノだとも思ってはいない。
しかし、見方によっては、僕の行為に対して『
分かりやすいところで言うと(すでにこの世に存在しないが)、僕とある意味敵対する事になった、フロレンツ候の例が挙げられる。
世間一般的に言っても、フロレンツ候が犯した『大罪』は擁護出来るモノではないが、しかし、フロレンツ候からしてみれば、僕は彼の『野望』を阻んだ者と映る訳だ。
つまり、フロレンツ候にしてみれば、僕は『敵』であり『悪』であろう。
仮にフロレンツ候の『憎悪』や『憎しみ』の感情、『
しかし、それでも、僕には全く影響が出ない。
これは、僕が『神性』の域に達している事や、そもそもそれらを『
これは、普通の人々も同様で、何故なら、僕らは『
『徳』を積むと言うと、何だか特殊な『善行』の様に感じるが、別段特別に人を助ける行為も、厳しい『修行』を行う事も、実は必要ではない。
『勤労』は、もっとも基本的な『善行』の一つであるとされる。
例えば、『農業』に携わる者達は、人々の『食』、言わば『生』を支えている事になる訳だ。
その他の『職業』に関しても、人々の『生活』を豊かにしたりと、何かと人々の役に立つ行いである。
故に、意識的に『善行』を積まなくとも、『感謝』や『親愛』などの、所謂『悪感情』の対極に当たる『良感情』を受け取る事となる訳だ。
『良感情』は、『悪感情』を打ち消す事が出来る。
故に、仮に理不尽な『
もっとも、これとは別に、強力かつ厄介な『悪霊』に“取り憑かれる”ケースも存在するのだが、当然、これには特別な『処置』が必要になってくるが、これも、『処置』さえ何とか出来れば、“死後”に影響が出る事はない。
まぁ、今現在の
(もっとも、普通に生活している分には、そうした『厄災』クラスの『悪霊』に“取り憑かれる”事はありえない。
それは、そうした『霊魂』や『魂』は、すでに『肉体』という『器』から離れているので、自然と『世界』に帰化してしまうからである。
仮に、何らかの要素で、浄化されない『残留思念』や『思念』があったとしても、『地縛霊』と言う言葉もある通り、特殊な『力』を持つ場所でなければ、存在を保つ事が出来ないのである。
つまり、簡単な話、そうした場所に踏み込まなければ、『厄災』クラスの『悪霊』に“取り憑かれる”事はないという訳である。
こうした場所は、逆に『パワースポット』であったり、貴重な『貴金属』や『薬草』が採取出来る場所でもあるが、前述の通り危険な場所でもあるのだ。
一般的には、そうした場所は危険な場所として認識されていて、むやみやたらに踏み込んで良い場所ではないとされている。
だが、これは
しかし、それも自己責任である。
何度も言うが、基本的に自分の身を守れるのは自分しかいない。
己の『力量』や『能力』、『各種情報』などをしっかりと把握せずに、仮に何らかの『不利益』が生じたとしても、冷たい様だが、それはその人の『準備不足』であり『運命』であろう。)
しかし、『悪党』は、全うな『勤労』をする訳もないので、『善行』を積む機会も当然少ない。
『良感情』よりも、『悪感情』を受ける割合が大きくなってしまうのである。
故に、それを『清算』しない事には、『
これは、一時的に『
これまでの行いがあるので、『
これを根本的に解決する為には、『罪』を悔い改め、『善行』を積み重ねるしかないのである。
まぁ、結局はその人がどういう『選択肢』を取るかで、その後の展開が変わるのは、『ゲーム』でも『現実』でも、そして“死後”であっても変わらないのである。
流石にそれまでは、僕も面倒みきれないっすよ。
「さて、それでは、今度は『
「ふ、ふざけるなっ!!!確かに私達は、『
「そ、そうだっ!それに、先程の話を認めるとするならば、『
お~お~、仮にも流石は『主戦派』を率いる者である。
シュタインさんも、ドルフォロさんと同様に、かなり『
即座に自分達の『正当性』を思い付く辺り、それなりに頭も回る様だ。
確かに、実際に『戦争』をするかはしないかはともかくとしても、『外交交渉』におけるその『国』の『武力』、言わば『軍事力』や『防衛力』は重要な要素になってくる事はある。
かつての『日本』の幕末においても、『日本』の『軍事力』が当時の欧米列強に比べ物にならないほど劣っていた事が発端となり、所謂『砲艦外交』、『強制外交』による『外交交渉』で、一方的な『不平等条約』を結んでしまった歴史的経緯がある。
この『幕府』の『弱腰外交』に不満を持った後の『維新志士』達や『公家』達などをも巻き込んで、『倒幕運動』、『尊皇攘夷運動』が高まりを見せ、長らく続いた『幕藩体制』、言わば『政治体制』の『
この事からも、『軍事力』や『防衛力』がいかに重要かは、今更議論するまでもない。
その後、まぁ、色々あって『日本』は『
と、まぁ、この様に、シュタインさんの『主張』も、あながち的外れではないのである。
『
そうする上で、『主戦派』が数々の『不正行為』や『犯罪行為』を行った事も、先程の幕末期における様々な『藩』や『維新志士』達が行った『テロ行為』と同様に、勝てば官軍ではないが、うやむやにする事も可能かもしれない。
しかし、それはあくまで
実際には、まだ『主戦派』は『
ならば、当然『主戦派』の一連の『不正行為』や『教唆扇動』は、『正当化』するには、流石に無理が生じる。
「確かに仰る事は分かります。しかし、それは『貴族院』、『議会』の“場”で議論するべきでしょう?また、まぁ、今更咎めるつもりもありませんが、様々な『工作』を駆使して、『貴族』達を『主戦派』に引き込む事も有りと言えば有りでしょう。しかし、だからといって、一連の『不正行為』などが『正当化』される事はありませんよ?何故なら、あなた方は、
「「っ!!!???」」
「それに、『武力』という観点からは、『反戦派』はあなた方『主戦派』が『主張』する『
「はっ・・・!?」
「な、何っ・・・!?」
「おや、もうお忘れですか?あなた方も、
「「あっ・・・!!!」」
色々ありすぎて、どこまでが『現実』で、どこまでが『夢うつつ』か曖昧だったグスタークさんとシュタインさんも、自分達がドルフォロさんとディアーナさんを追い落とした後に、『グーディメル子爵家』から
「そうかっ!!!『農作業用大型重機』ですねっ!!!??」
「「「「「っ!!!???」」」」」
先程、次期君主へとディアーナさんを推挙した、『グーディメル子爵邸』で開催された『
その『
まぁ、それはそうだろう。
リリさんとの『共同開発者』の片割れであり、
実際に、『農作業用大型重機』の御披露目に立ち会っていなければ、そのとんでもない『性能』を十分に理解する事は難しいだろうからな。
とは言え、『反戦派』の『
知らずとも、『農作業用大型重機』が画期的な『発明』であろう事は想像がつくであろう。
また、その副産物として、それを成し得たリリさんや『グーディメル子爵家』、ディアーナさんの評価は大幅に上方修正しながら。
「その通り。『
そうなんだよねぇ~。
便利な『
『農作業用大型重機』も、改良次第では
しかも、『動力源』が『魔素』であるから、理論上は半永久的に動かす事すら可能なのである。
もっとも、理論上は半永久でも、『心臓部』である『魔素結界炉』や各部機関が『劣化』や『破損』する事があるので、永遠に動かす事は流石に無理だがな。
しかし、『魔素』は『石炭』や『石油』などの『化石燃料』と違い枯渇する事はないし、『原子力』など違い非常に『クリーン』な『再生可能エネルギー』である。
しかし、逆に言えば『
理論上は半永久的に作動する『兵器』。
そんな物を造り出す事が可能なのだから。
もちろん、これは
まぁ、『魔素結界炉』自体は、リリさんの『発明』だけどね。
しかし、悪用される懸念はあったので、当然ながらそれに対する『対抗措置』も取っている。
リリさんが提唱した『魔素結界炉』はともかく、実際に『農作業用大型重機』に搭載されている『魔素結界炉』は、模倣されない様に、『ブラックボックス化』しているのである。
具体的には、『農作業用大型重機』の『魔素結界炉』に刻印されている『魔法陣(魔法式)』を、今現在の
もっとも、これは、『魔素結界炉』の
それともう一つ。
これは、
何故なら、『
リリさんクラスの“天才”が、今後現れないとも限らないからね。
しかし、そもそも
そもそも、『資料』すらないからね。
まぁ、僕以外の『
以前にも言及したが、『魔法陣(魔法式)』は『コンピュータ』でいうところの『コンピュータプログラム』に似ている。
その『
これが一種の『魔法技術』の『秘匿』に一役買っており、当然ながら、『コンピュータプログラム』と同様に、同程度の『知識』や『技能』を持たない者には、それを解き明かす事すら出来ないのである。
つまり、『農作業用大型重機』に搭載されている『魔素結界炉』を『
1、まず
2、かつ『古代魔道文明』の『知識』、
3、『
4、更に『
流石にその『条件』を全て満たす事は無理だろうからな。
一応僕も、何の考えもなく『農作業用大型重機』を『開発』した訳ではないのである。
後に、『大量破壊兵器』を造った人物、とか言われたくないからねぇ~。
「しかし、『外交交渉』が主ですから、別に『兵器』にする必要もありません。そういう『物』を、そういう『技術力』を持っていると言う事が『ロマリア王国』側にしっかり伝われば良いのですから。故に、あなた方が懸念されている『不平等条約』が結ばれる可能性は極めて低いでしょう。まだ、何か“言い訳”がお有りですかな?」
「ぐっ・・・!?」
「・・・そ、そもそも、『
うん、結局はそこに立ち返る訳ね。
『策』を労するタイプ、とりわけ『知識』や『知性』ではなく、他者の“アラ”を『
まぁ、元々の自分の『
しかし、『言葉』で勝負しているんですから、ちゃんと
「ふむ。シュタイン候もモウロクしたモノですな?先程、父上が何と仰ったか覚えておいでではないとは・・・。」
「な、何だとっ!!!」
軽い挑発にアッサリ乗ってしまうシュタインさん。
うん、やっぱりかなり追い込まれている様ですね。
「父上は、“私の大事な
「っ!?」
「はぁっ!?」
ドルフォロさんは、再び僕に目配せをした。
僕は静かに頷いた。
「ああ、これは申し遅れました。僕、いえ、私、『
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