第104話 タルブ政変~大詰め~



◇◆◇



「さて、ニコラウスの身勝手極まりない『罪状』を挙げればキリがないので先に進みましょう。しかし、これだけは忘れずにお伝えしておかなければなりません。我が弟グスタークが、私や我が妹ディアーナが『ロマリア王国他国』と『』している『根拠』としていたこの『怪文書資料』も、このニコラウスから我が弟グスタークらにもたらされた物です。もちろん、これは『偽証』された物で、その事はニコラウスの部下者が『証言』しています。それに、パッと見は分かりませんが、『ロマリア王家』や『ヒーバラエウス大公家』の『歴史』に詳しい『専門家研究家』からも、これに『刻印』されている『ロマリア王家』の『紋章』が『偽物』であると言う『鑑定結果御墨付き』を頂いています。つまり、この『怪文書資料』は『公文書偽装』ですよね?こんな物を『根拠』に私達を貶めようとした事は、知ってか知らずかはこの際置いておくとしても、『ヒーバラエウス公国我が国』と『ロマリア王国彼の国』の関係を更に悪化させる行為です。下手すれば『国家反逆罪』ですし、そうでなくとも『国家扇動罪』が適用されるでしょう。何せ、両国に対して、様々な『不利益』を与える行為ですからね。」

「「っ!!!???」」

「「「「「っ!!!」」」」」


しれっと、そのおおやけにし、自ら(とディアーナさん)の『』をアッサリかわしてみせるドルフォロさん。

中々、どうして、ドルフォロさんはしたたか、かつ『』に優れた人の様だ。


話の流れ的にも、ニコラウスさんがろくでもない『精神性メンタリティ』の持ち主である事は、“この場”の皆さんの半ば“共通認識”となっていた。

そのニコラウスさんが、ドルフォロさんやディアーナさんの『』としてグスタークさんらが持ち出した『怪文書資料』と深い関わりがあるとなれば、ドルフォロさんとディアーナさんをハメる為の『罠』であった印象を、より強く出来るだろう。


もちろん、これは、ドルフォロさんが言った様に、明確な『根拠』あっての発言だ。

ニコラウスさんの部下人から、彼に施された『』の効力を解除してから、『証言』を得ている。

その人もニコラウスさんにとは言え、やった事自体は重大な『犯罪行為』だ。

しかし、元々その人は『裏稼業』の人間ではあるかもしれないが、自らの『意思』の介在しないところで重大な『犯罪行為』の片棒を担がされた点は情状酌量の余地はあるので、一種の『司法取引』ではないが、に関するその人の『罪』を問わない事、所謂『免罪』を条件に、その人から色々と『情報』や『証言』を得ていたのだった。


まぁ、『ヒーバラエウス公国この国』の人々に無断でそんな『約束事』をするのはかなり問題だとは思うが、一応『事後承諾』と言う“形”ではあるが、アンブリオさんからは許可を貰っているので、一応の体裁は保たれている。

もちろん、本来ならば、いくら君主とは言え、『貴族院』の了承を得ていないのは問題なのだが、これも、ぶっちゃけ僕らが“、それでもニコラウスさんの『寿』の件は逃れようのない事であるから、そう遠くない未来に、『ヒーバラエウス公国この国』から“ニコラウス第三者”の“”はなくなっていたかもしれないが、その“”が残る事となる。

にも関わらず、『ヒーバラエウス公国この国』の『治安当局』の『力』だけでは、ニコラウスさんにも、その部下にも辿り着けない可能性すらあったから、彼らの『罪』を罰する事すら出来なかった可能性が高いのだ。

確かに、『司法取引』には『道徳的』な問題点も、また、自己保身の為に更なる『偽証』を重ねる可能性がある事は、向こうの世界地球でも度々取り沙汰されているのだが、生憎僕には『嘘』は一切通用しないので『冤罪』を出す事はない。


それに、『法』的に『免罪』を認めるとは言ったが、の事はこちらとしては埒外だ。

別に僕も、今さら『正義の味方』を気取るつもりはサラサラないが、自らの犯した『罪』ならば、しっかりと自らの手で『清算』した方が良いと思う。

これは、以前にニコラウスさんにも言及したが、『罪』を犯した場合、その『加害者』は『被害者』達から、所謂『悪感情ヘイト』を集める事になるからである。

それは、目に見えて“何か”あると言う訳ではないので、一見特に『実害』がない様に見えるが、『』や『』となって、正確には、『』や『』と呼ばれる存在ではあるが、が『加害者』に“取り憑く”事があるのだ。

これを放置しておくと、後々“謎の病”、言うなれば『霊障』に見舞われる事があるし、それだけに留まらず、“死後”も苦しむ事となる。

これが、人々が潜在的に他者へのを『禁忌タブー』視する要因であり、また、人々が持つ『地獄』などのイメージの『正体』がこれに当たる。

しかし、まぁ、これも自業自得だ。

流石にこれを助ける義理は、冷たい様だが僕にはない。


ニコラウスさんに関しては、『取引』として、それらを『』事を条件に、この件の収束に無理矢理協力させたが、しかし、これも実は『方便』だ。

と、言うのも、『』だけでは、に至らないからである。


人は、当然『立場』や『主義』・『主張』の観点から、他者と『対立』する事が起こりうる。

確かに僕も、今さら自分が『絶対的正義』であると『主張』するほど幼くはないが、さりとて、自分のこれまでの行いを悪いモノだとも思ってはいない。

しかし、見方によっては、僕の行為に対して『悪感情ヘイト』を向ける者達も確かに存在するだろう。


分かりやすいところで言うと(すでにこの世に存在しないが)、僕とある意味敵対する事になった、フロレンツ候の例が挙げられる。

世間一般的に言っても、フロレンツ候が犯した『大罪』は擁護出来るモノではないが、しかし、フロレンツ候からしてみれば、僕は彼の『野望』を阻んだ者と映る訳だ。

つまり、フロレンツ候にしてみれば、僕は『敵』であり『悪』であろう。

仮にフロレンツ候の『憎悪』や『憎しみ』の感情、『』の“カタマリ”が僕に“取り憑く”事はあるかもしれない。

しかし、それでも、僕には全く影響が出ない。

これは、僕が『神性』の域に達している事や、そもそもそれらを『』事が出来る、

これは、普通の人々も同様で、何故なら、僕らは『


『徳』を積むと言うと、何だか特殊な『善行』の様に感じるが、別段特別に人を助ける行為も、厳しい『修行』を行う事も、実は必要ではない。

『勤労』は、もっとも基本的な『善行』の一つであるとされる。

例えば、『農業』に携わる者達は、人々の『食』、言わば『生』を支えている事になる訳だ。

その他の『職業』に関しても、人々の『生活』を豊かにしたりと、何かと人々の役に立つ行いである。

故に、意識的に『善行』を積まなくとも、『感謝』や『親愛』などの、所謂『悪感情』の対極に当たる『良感情』を受け取る事となる訳だ。


『良感情』は、『悪感情』を打ち消す事が出来る。

故に、仮に理不尽な『悪感情ヘイト』を向けられたとしても、普通の人々には影響が出る事はないのである。

もっとも、これとは別に、強力かつ厄介な『悪霊』に“取り憑かれる”ケースも存在するのだが、当然、これには特別な『処置』が必要になってくるが、これも、『処置』さえ何とか出来れば、“死後”に影響が出る事はない。

まぁ、今現在のこの世界アクエラでは、『魔法技術』の『失伝』の影響で、『霊能力』に特化した『能力者』が失われつつある現状があるので、こうした『霊災』や『霊障』などの、所謂『心霊現象』や『ポルターガイスト』は、かなり深刻な問題となりうるのだがな。


(もっとも、普通に生活している分には、そうした『厄災』クラスの『悪霊』に“取り憑かれる”事はありえない。

それは、そうした『霊魂』や『魂』は、すでに『肉体』という『器』から離れているので、自然と『世界』に帰化してしまうからである。

仮に、何らかの要素で、浄化されない『残留思念』や『思念』があったとしても、『地縛霊』と言う言葉もある通り、特殊な『力』を持つ場所でなければ、存在を保つ事が出来ないのである。

つまり、簡単な話、そうした場所に踏み込まなければ、『厄災』クラスの『悪霊』に“取り憑かれる”事はないという訳である。


この世界アクエラでは、『龍穴』とか『龍脈』と呼ばれる『魔素』の集まる『スポット』が、所謂『心霊スポット』に当たる。

こうした場所は、逆に『パワースポット』であったり、貴重な『貴金属』や『薬草』が採取出来る場所でもあるが、前述の通り危険な場所でもあるのだ。

一般的には、そうした場所は危険な場所として認識されていて、むやみやたらに踏み込んで良い場所ではないとされている。

だが、これは向こうの世界地球でもこの世界アクエラでも同様なのだが、『冒険者』や一般人の中には、当然それを無視する者達も一定数出てくる訳である。

しかし、それも自己責任である。

何度も言うが、基本的に自分の身を守れるのは自分しかいない。

己の『力量』や『能力』、『各種情報』などをしっかりと把握せずに、仮に何らかの『不利益』が生じたとしても、冷たい様だが、それはその人の『準備不足』であり『運命』であろう。)


しかし、『悪党』は、全うな『勤労』をする訳もないので、『善行』を積む機会も当然少ない。

『良感情』よりも、『悪感情』を受ける割合が大きくなってしまうのである。

故に、それを『清算』しない事には、『のサイクル』、『輪廻転生』の輪の中に入れないのである。

これは、一時的に『』としても、同様である。

これまでの行いがあるので、『』先から、新たな『悪感情』が“取り憑く”事になる。

これを根本的に解決する為には、『罪』を悔い改め、『善行』を積み重ねるしかないのである。

まぁ、結局はその人がどういう『選択肢』を取るかで、その後の展開が変わるのは、『ゲーム』でも『現実』でも、そして“死後”であっても変わらないのである。

流石にそれまでは、僕も面倒みきれないっすよ。


「さて、それでは、今度は『ヒーバラエウス公国この国』側の人間である我が弟グスタークとシュタイン候が犯した『罪』です。と、言っても、ニコラウスに比べたら至極単純です。『不正行為』と『教唆扇動』。まぁ、とは言え、明確な『ヒーバラエウス公国この国』に対する『反逆行為』ですから、単純とは言え、『極刑』は免れないのですがね?」

「ふ、ふざけるなっ!!!確かに私達は、『ヒーバラエウス公国この国』の『秩序』を乱してしまったかもしれないっ!!!しかし、これは『ヒーバラエウス公国この国』の行く末を案じてであってっ・・・!!!」

「そ、そうだっ!それに、先程の話を認めるとするならば、『ヒーバラエウス公国我が国』と『ロマリア王国彼の国』には明確な『国力差』がある事になる。それな状態で、ただ単純に『外交交渉』をしたとしても、一方的な『不平等条約』を結ばされる可能性があるのだぞっ!!!???ならば、『』はこの際脇に置いておくとしても、やはり『武力』は必要になってくるだろうっ!!!」


お~お~、仮にも流石は『主戦派』を率いる者である。

シュタインさんも、ドルフォロさんと同様に、かなり『』に優れた人の様だ。

即座に自分達の『正当性』を思い付く辺り、それなりに頭も回る様だ。


確かに、実際に『戦争』をするかはしないかはともかくとしても、『外交交渉』におけるその『国』の『武力』、言わば『軍事力』や『防衛力』は重要な要素になってくる事はある。

かつての『日本』の幕末においても、『日本』の『軍事力』が当時の欧米列強に比べ物にならないほど劣っていた事が発端となり、所謂『砲艦外交』、『強制外交』による『外交交渉』で、一方的な『不平等条約』を結んでしまった歴史的経緯がある。

この『幕府』の『弱腰外交』に不満を持った後の『維新志士』達や『公家』達などをも巻き込んで、『倒幕運動』、『尊皇攘夷運動』が高まりを見せ、長らく続いた『幕藩体制』、言わば『政治体制』の『政変クーデター』が起こった事は、普通に歴史を学んだ者ならば知っているだろう。

この事からも、『軍事力』や『防衛力』がいかに重要かは、今更議論するまでもない。

その後、まぁ、色々あって『日本』は『』を持たない『国』となったが、ここら辺はややこしいし、かなり面倒くさい事になるので、ここでの言及は避ける事とする。


と、まぁ、この様に、シュタインさんの『主張』も、あながち的外れではないのである。

』をするかしないかはともかく、『武力』を背景として、『ロマリア王国』と『外交交渉』に臨むのは有りと言えば有りだろう。

そうする上で、『主戦派』が数々の『不正行為』や『犯罪行為』を行った事も、先程の幕末期における様々な『藩』や『維新志士』達が行った『テロ行為』と同様に、勝てば官軍ではないが、うやむやにする事も可能かもしれない。


しかし、それはあくまで、の話である。

実際には、まだ『主戦派』は『ヒーバラエウス公国この国』の『政権』を盗った訳ではない。

ならば、当然『主戦派』の一連の『不正行為』や『教唆扇動』は、『正当化』するには、流石に無理が生じる。


「確かに仰る事は分かります。しかし、それは『貴族院』、『議会』の“場”で議論するべきでしょう?また、まぁ、今更咎めるつもりもありませんが、様々な『工作』を駆使して、『貴族』達を『主戦派』に引き込む事も有りと言えば有りでしょう。しかし、だからといって、一連の『不正行為』などが『正当化』される事はありませんよ?何故なら、あなた方は、。」

「「っ!!!???」」

「それに、『武力』という観点からは、『反戦派』はあなた方『主戦派』が『主張』する『ヒーバラエウス公国我が国』が持つ独自の『魔法技術』の、などという様なではなく、もっと具体的かつ明確な『』を持っています。」

「はっ・・・!?」

「な、何っ・・・!?」

「おや、もうお忘れですか?あなた方も、?」

「「あっ・・・!!!」」


色々ありすぎて、どこまでが『現実』で、どこまでが『夢うつつ』か曖昧だったグスタークさんとシュタインさんも、自分達がドルフォロさんとディアーナさんを追い落とした後に、『グーディメル子爵家』から


「そうかっ!!!『農作業用大型重機』ですねっ!!!??」

「「「「「っ!!!???」」」」」


先程、次期君主へとディアーナさんを推挙した、『グーディメル子爵邸』で開催された『夜会パーティー』にも参加していた『反戦派』の『議員貴族』さんがそう納得の声を上げた。

その『議員貴族』さんの言葉に、他の『議員貴族』達も、半信半疑ながらも、どよめきが上がる。

まぁ、それはそうだろう。

リリさんとの『共同開発者』の片割れであり、向こうの世界地球の『知識』を持つ僕でさえ、我ながらとんでもない代物を造り出したモンだと、後に半ば呆れたくらいだ。

実際に、『農作業用大型重機』の御披露目に立ち会っていなければ、そのとんでもない『性能』を十分に理解する事は難しいだろうからな。


とは言え、『反戦派』の『議員貴族』さんばかりか、ドルフォロさん、果ては、その有用性を口にするくらいだ。

知らずとも、『農作業用大型重機』が画期的な『発明』であろう事は想像がつくであろう。

また、その副産物として、それを成し得たリリさんや『グーディメル子爵家』、ディアーナさんの評価は大幅に上方修正しながら。


「その通り。『農作業用大型重機それ』は基本的に『ヒーバラエウス公国我が国』が抱える『』を解決するべく産み出された物ですが、『兵器』として転用する事もまた可能なのです。もちろん、本来の『使い方』とは異なるでしょうし、『開発者』であるリリアンヌ嬢としては、本意ではないでしょうがね。」


そうなんだよねぇ~。

便利な『道具ツール』は、時として人を傷付ける事もある。

『農作業用大型重機』も、改良次第では向こうの世界地球の『戦車』に近いモノを造る事が可能だ。

しかも、『動力源』が『魔素』であるから、理論上は半永久的に動かす事すら可能なのである。

もっとも、理論上は半永久でも、『心臓部』である『魔素結界炉』や各部機関が『劣化』や『破損』する事があるので、永遠に動かす事は流石に無理だがな。

しかし、『魔素』は『石炭』や『石油』などの『化石燃料』と違い枯渇する事はないし、『原子力』など違い非常に『クリーン』な『再生可能エネルギー』である。


しかし、逆に言えば『農作業用大型重機これ』は非常に危険な代物ともなりうる。

理論上は半永久的に作動する『兵器』。

そんな物を造り出す事が可能なのだから。

もちろん、これはこの世界アクエラの『技術革新』を推し進めた僕の責任だろう。

まぁ、『魔素結界炉』自体は、リリさんの『発明』だけどね。

しかし、悪用される懸念はあったので、当然ながらそれに対する『対抗措置』も取っている。


リリさんが提唱した『魔素結界炉』はともかく、実際に『農作業用大型重機』に搭載されている『魔素結界炉』は、模倣されない様に、『ブラックボックス化』しているのである。

具体的には、『農作業用大型重機』の『魔素結界炉』に刻印されている『魔法陣(魔法式)』を、今現在のこの世界アクエラでは失われた『古代語魔法ハイエイシェント』を施している点である。

もっとも、これは、『魔素結界炉』のも兼ねてだったんだけどね。


それともう一つ。

これは、可能な事だったんだが、リリさんにも内緒で、『古代語魔法ハイエイシェント』の一部を、『』で記述しているのである。

何故なら、『古代語魔法ハイエイシェント』であれば、万が一にも『解読』される可能性があるからである。

リリさんクラスの“天才”が、今後現れないとも限らないからね。

しかし、そもそもこの世界アクエラの『言語』ですらない『』ならば、ノーヒントで『解読』する事は不可能である。

そもそも、『資料』すらないからね。


まぁ、僕以外の『異世界人地球人』が存在する以上、これも絶対ではなくなったが、それでも、これを『解読』する事はほぼ無理だろう。

以前にも言及したが、『魔法陣(魔法式)』は『コンピュータ』でいうところの『コンピュータプログラム』に似ている。

その『理論構築ロジック』は、『魔法使いプログラマー』によって、“癖”みたいなモノがあるのだ。

これが一種の『魔法技術』の『秘匿』に一役買っており、当然ながら、『コンピュータプログラム』と同様に、同程度の『知識』や『技能』を持たない者には、それを解き明かす事すら出来ないのである。

向こうの世界地球で普通に市販されている数々の『道具ツール』も、自社ブランドを守る為、また、『技術』の流失を避ける為に、その“キモ”となる部分を『ブラックボックス化』する事はよく行われる手法だ。


つまり、『農作業用大型重機』に搭載されている『魔素結界炉』を『模倣コピー』するには、


1、まずこの世界アクエラの今現在の『魔法技術』、それも『専門家スペシャリスト』クラスの『知識』は『絶対条件』であり、

2、かつ『古代魔道文明』の『知識』、

3、『古代語魔法ハイエイシェント』の『知識』、

4、更に『』の『知識』まで必要になってくるのである。


流石にその『条件』を全て満たす事は無理だろうからな。

一応僕も、何の考えもなく『農作業用大型重機』を『開発』した訳ではないのである。

後に、『大量破壊兵器』を造った人物、とか言われたくないからねぇ~。


「しかし、『外交交渉』が主ですから、別に『兵器』にする必要もありません。そういう『物』を、そういう『技術力』を持っていると言う事が『ロマリア王国』側にしっかり伝われば良いのですから。故に、あなた方が懸念されている『不平等条約』が結ばれる可能性は極めて低いでしょう。まだ、何か“言い訳”がお有りですかな?」

「ぐっ・・・!?」

「・・・そ、そもそも、『ロマリア王国他国』の者が“この場”に居るのに、何故皆さん疑問に思われないのですかっ!?その者達は、ドルフォロ公太子殿下やディアーナ公女殿下とも親しげな様子っ!その事が、両殿下が『ロマリア王国他国』と『』している事の何よりの証左ではありませんかっ!!??」


うん、結局はそこに立ち返る訳ね。

『策』を労するタイプ、とりわけ『知識』や『知性』ではなく、他者の“アラ”を『』とするタイプは、追い込まれると意外と脆いものだ。

まぁ、元々の自分の『』がないから、結局は他者を追い落とす事しか出来ないからなぁ。

しかし、『言葉』で勝負しているんですから、ちゃんとも聞いておいた方が良いですよぉ~?


「ふむ。シュタイン候もモウロクしたモノですな?先程、父上が何と仰ったか覚えておいでではないとは・・・。」

「な、何だとっ!!!」


軽い挑発にアッサリ乗ってしまうシュタインさん。

うん、やっぱりかなり追い込まれている様ですね。


「父上は、“私の大事なに無礼を申すものではない。”と仰いました。この意味がお分かりですか?」

「っ!?」

「はぁっ!?」


ドルフォロさんは、再び僕に目配せをした。

僕は静かに頷いた。


「ああ、これは申し遅れました。僕、いえ、私、『使』、、アキト・ストレリチアと申します。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る