　「今のは私の実の母親。そしてあの人の言った通り、私の名前はまなみ。愛に、奈良の奈に、美しいで愛奈美。申し遅れて、ごめんなさい。まぁ、遅れすぎだけどね。早速本題に入るわ。ここからは、過去の話。

　私とお母さん、そしてお父さんは、今お母さんが1人で住んでる家に、3人で暮らしてた。お父さんもお母さんもとっても優しくて、毎日すごく楽しかった。

　そんなある日、私が2歳の頃。お母さんはほぼ毎日買い物に行ってたんだけど、その日も買い物に行っていて、お父さんと2人でテレビを見ながらお母さんが帰ってくるのを待ってたの。そしたら、お父さんが私を抱っこして、キスしたの。お父さんは普段から私を可愛がってくれてたけど、キスは初めてだったから、すごく嬉しかった。

　でもその後、ベッドに連れて行かれて、押し倒されて、息ができないくらいキスされた。性器に痛みが走った...。今ので分かったと思うけど、私、その時、お父さんに犯されたの。何度もやめてって言って抵抗したけど、結局お父さんが満足するまで行為は続いた。　

　行為が終わって、お父さんは一度トイレに行ってから、ベッドの上で戸惑う私の肩を抱いて、ごめんねって言ったの。私は、自分が嫌な気分なのか良い気分なのか、何が悲しいか何が嬉しいかも分からなくて、放心状態だった。でも、お母さんには言うなって言われたから、お母さんには言わなかった。お父さんも、お母さんに私の性器を見せないように、色々なことをしてた。

　そしてそれからほぼ毎日、お父さんとセックスした。最初の方は嫌だったんだけど、だんだん気持ちよくなっていって、その時間が好きになっていった。行為中は、お父さんからすごく愛情を感じたから。愛されてるって感じることができたから。

　そんなある日、私が3歳の時、お母さんが買い物に行ったことを確認して、いつも通り行為をしていたその途中、忘れ物に気付いたお母さんが一度帰ってきたの。でもお父さんは行為に夢中で、それに気付かなかった。それで、寝室から音がすることに気付いたお母さんが、寝室のドアを開けて、私達の姿を見てしまった。お母さんは「何してるの!!!」って叫んで私とお父さんを離して、私のスカートを履かせ直してくれた。

　そこからは思い出したくもないけど、お母さんが泣いて、発狂して、お父さんを責めて。お父さんは、ずっと「違うんだ」って言ってた。でも、その行為がいけないことだって知らなかった私は、行為が途中で終わってしまったことが嫌で、「お父さん、もっとチューして?」なんて言ってしまったの。その言葉がお母さんの残り僅かな理性をとうとう壊してしまったのね。「うっさい!!見てんじゃねぇよ!!どっか行け!!」って言われて...私、お母さんにずっと優しくされてきたからすっごくショックで...自分の部屋に閉じ籠って、沢山泣いた。

　それからちょっとして、パトカーとか救急車が来て、なんかすごく怖かった。でも、女性警察官の人と、女性の医師が部屋に来てくれて、パトカーとかがいなくなるまで、色んな話をしてくれた。最後に手を振りながら、「おやすみ」って言ってくれたけど、その日は眠れなかった。ちなみに、私が寝れなくなったのはこの日からよ。

　翌日、その翌日と2日間、私はお母さんと一緒に、警察署に行って事情聴取を受けた。いつからとか、具体的にどんなことをされたかとか、色々聞かれたわ。

　そしたら最後に、警察の人に、「怖かったね」って言われたから、「ううん、怖かったのは最初だけで、後は全然怖くなかったよ。あのね、お父さんはね、悪いことしてないよ。まなみに好き好きしてくれただけ。だからお父さんは悪くないよ」って言った。そしたら、「愛奈美ちゃんがそう思っても、お父さんは"ほうりつ"っていう、日本に住んでいる人が絶対に守らなきゃいけないルールを破っちゃったの。だから、ちょっと反省しなきゃならないんだ。わかる?」って言われちゃって。多分その時の私は、あれはお父さんの一種の愛情表現であって、犯罪ではないって言いたかったんだろうし、警察の人の言葉にも反論したかったんだろうけど、当時の私にそんな語彙力無かったし、法律が何なのかも、反省の内容も知らなかったから、結局何も言い返せなくて、とてもとても悔しかったの。

　そして、警察の人に見送られながら、家に帰ったんだけど、家の中では、お母さんはずっと俯いたままで、何も喋らなかった。

　私が心配になってきて、お母さんに「大丈夫?」って聞いたら、「何が大丈夫?よガキのくせに生意気な。あんたさえいなければ幸せなままでいられたのに、あんたさえいなければあの人は私のことを愛し続けてくれたのに、あんたさえ産まなければこんなことになってないのに...!!」って言って、今まで見たことないくらいお母さんが怒ったから、怖くなって走って2階に逃げたの。そしたら、階段をゆっくり登って追いかけてきたから、2階で唯一鍵がかけられる部屋...お父さんが使っていた部屋に急いで逃げ込んで、鍵をかけたの。でもお母さんは、無理やり開けようとしてきて、焦って私もドアを必死に押さえた。お母さんは、鍵なんて壊しちゃうんじゃないかってぐらいの力で押してきて...体力的にも精神的にも限界になったから、「もうやめて!!」って大声で叫んだ。そしたら、かかってた力がなくなって、少ししてから、階段を下りる音が聞こえたの。良かったっていう安心感と、恐怖と、ショックで、涙が止まらなくなった。お父さんに会いたくなった。なのに、誰にも会いたくなかった。だけど、思った。このままじゃ、弱いままだって。強くなれないって。それは嫌だって、思った。だから私はその日から、少しでも強くなるために、語学勉強をすることを決めた。

　その日の夜、お母さんがご飯を持ってきて、ドアの前で「ごめんなさい」って言ったの。でも、その時の私は、何だか話したくなくて、ご飯は食べたかったけど、無視したわ。それから一週間ぐらい、ご飯の時間は必ず部屋の前まで来たけど、無視し続けたら、さすがに諦めたみたい。

　まぁそれはおいといて、勉強の話だけど、まずは、お父さんの本棚にある本を読んで、分からない言葉があったらお父さんのパソコンで調べて、出てきたらその語句の説明文にも分からない言葉があるからその言葉も調べて、また説明文で分からない語句を調べてって...そんな地味な作業を、1日23時間、睡眠はせずにやったわ。ちなみに残りの1時間は食事と生理·衛生の時間ね。食事は1日1食、隣の家の親切な女の子にパンをもらってた。

　生理·衛生は、実はお父さんの書斎には、トイレとシャワールーム、洗濯機までついていて、そっちの面では困らなかったし、他にも流し台や調理台、お父さんが個人的に買った電子レンジもあって、かなり良い生活を送れたわ。ただ一つ困ることがあるとすれば、湯船に浸かれなかったから、冬は極寒だったってことね。でも、ヒーターもエアコンもあったから、何とかなったわ。

　話を戻すけど、そんな感じで勉強して、本棚の小説全てを読めるようになった。そこで、次の勉強の方法として、辞書を買いたいと思ったし、将来の生活資金も貯めたかったし、ご飯も貰わずに自分で買いたいと思ったしで、バイトを始めることにした。そして稼いだお金を使って、今のとは違うけど分厚い辞書とノートを買って、毎日近くのパン屋さんからパンを買って、その他日用品も買ったわ。そしてバイトを始めてからは1日18時間、辞書を使って勉強したわ。

　かなり長い年月がかかって、ようやくあと少しで、辞書の語句を全て覚えられるってタイミングで、息抜きにあの公園に行くようになったの。人の温もりとか、愛に飢えていたから、人の多い公園を選んだんだけど。そこで、あなたを見つけた。最初は何とも思わなかったんだけど、何度か見ている内に、あなたが幼女を見つめる瞳には、面倒とか、遊んであげなきゃとか、可愛いとか、そういう他の大人から感じられるものとは別に、好きとか、愛っていうものを感じたの。それであの日、愛に飢え、更には大人からの愛を感じたかった私は、この人なら私を愛してくれるかもと思ってあなたに声を掛けたの。

　私、自分の気持ちに素直になれないところがあるから、あんな怒ったような態度で接したけど、本当は結構気になってたのよ。

...ここまでが、あなたと出会うまでの私の過去の話。」