第24話:【血の繋がり】って怖いなっていう話。
「お客様! ではでは採寸致しましょう!」
「お、おう……」
店員がやたらと私の身体にぺたぺた触りながらふむふむ言って採寸していく。
「お客様……大丈夫、未来はありますよ」
「うるせぇよ!」
つい店員相手にいつものノリで叫んでしまった。
「絵菜ちゃん? 店員さんに失礼な事言っちゃだめだよー?」
「ご、ごめん」
奈那に怒られてしまった……。
「すいませんでした」
「いえいえ良いんです良いんです。私はこれが天職だと思ってやっておりますのでお客さんたちみたいな若い子が来てくれるとそれだけでじゅるり」
「……えっ?」
「さぁさぁサイズは分かりましたので試着してみましょう! 貴女は逃げませんよね? さぁ来てくださいこちらです!」
「うわっ、ちょっちょっと……!」
なんだかこのめっちゃ強引な感じどっかでなんか覚えがあるんだよなぁ。
私はなし崩しで更衣室の中に引き擦り込まれてしまった。
「さぁ、服を脱ぎましょう!」
「ちょ、ちょっと! そこまでしなくても……」
「ダメです。さっきの子はそこまでさせてくれなかったので貴女は逃がしませんよ!」
「ちょっ、待ってってば……うわぁっ!」
店員のお姉さんの手が私の腰のあたりにさわさわっと来たかと思ったら一瞬で服をひん剥かれた。
どんな技だそれ!
「あらあら……典型的なシンプルスポブラですねぇ……これはいけません。いけませんよ。貴女のようなタイプは中身を可愛らしくしておく事でギャップを出していかないと」
……ギャップ?
「そうしたら意中の相手もイチコロですよ?」
「え、ほんと?」
つい素直に反応してしまって、お姉さんはニヤリと笑う。
「はい。当然です。世の中相手が男だろうと女だろうとギャップに弱い物なんです。貴女のようにカッコいい系の女子にはこれでもかってくらい可愛らしい下着がいいんですよ」
「そういう……もんなのか?」
「勿論です! 少し待っていて下さいね!」
ババっと店員さんが更衣室を抜け出し、すぐに幾つか下着を手にして戻ってきた。
どうでもいいけど人の服をひん剥いておいて堂々と試着室開けないでほしい。
眼にもとまらぬ速さだったから誰かに見られるような事も無かったしそもそもここはランジェリーショップだから男なんていないけど。
一人以外は。
「さぁ、これをつけてみてください」
お姉さんが持ってきたのはピンク柄で白いレースフリフリのこれでもかってやつと、水色で小さな白いレースがあしらわれていて真ん中にちっちゃなリボンがついてるやつ。
「どちらがお好みでしょう? 好みに合わなければ他のもお持ちしますよ!?」
「あ……いや、この水色ので」
「かしこまりましたっ! では今つけているのは一度とっちゃいますね!」
「えっ、きゃあっ!!」
まさに神業。一瞬で私のブラは外され、上半身裸にされていた。
えっ、私のつけてたスポブラはホックじゃなくて上からつっかぶるタイプだった筈だけど今どうやって外したこいつ!!
「細かい事は気にしなくていいんです。ではではつけて行きますからほら、その手をどけて下さい」
「う……うぅ……」
なんだか興奮してる時のルキヤと同じような気配がして嫌だったけど、ここまで来て逃げられそうになかったから諦めて胸を隠している腕をどける。
「……あらとっても綺麗」
「今何を見て言った?」
「それはもう可愛らしいちく……すべすべのお肌を見て綺麗と」
「今あきらかに何か言おうとしたよね!?」
「気のせいです♪ ではつけますね」
お姉さんが私に抱き着くような姿勢で背中の方へ手を回し、一瞬でホックを装着。
「普段自分でつける時は後ろと前を逆にして前でホックをつけてから後ろに回すっていうのもアリですからね?」
なるほど。そういうのもあるのか。
「って、うわっ、何してんの!?」
「そりゃもう寄せて上げるんですよっ!」
ブラをつけた状態から、私の背後に回り込み、肩の上から胸に手を突っ込んで鷲掴みにされた。
「ちょ、ちょっと……!」
「はーいすこし我慢してくださいね? これでかなりサイズが大きくなりますから♪」
「えっ、マジで?」
「マジマジです♪」
お姉さんがぐいぐいっと私の胸を鷲掴みにして下から上へどんどん持ち上げていく。脇腹やお腹の方からもぐいぐいと。
「お姉さん、その……凄いのは認めるんだけどちょっと、揉みすぎじゃない?」
「やだなぁこれはこの仕事に就いた事による役得ってやつなんで勘弁してくださいね♪」
やっぱり確信犯だなこいつ!
あちこちから肉をかき集めて胸に集めていくのはほんと凄いけどその都度絶対必要ない手の動きが追加されてるんだよなぁ。
「ちょっ、それ以上無駄に触るならそろそろ怒るよっ!?」
「はいっ! もう終わりましたよ♪ ほら、鏡見て下さい」
私が拳を振り上げそうになった所でちょうど完了したらしい。
「むぅ……」
なんだか釈然としないまま鏡を見ると……。
「えっ、マジか」
「はい♪ 貴女くらいのサイズが有ればこれくらいは余裕でサイズアップできます」
鏡に映る私の胸は、なんというか大分ボリュームがアップしていた。
「おねーさまっ! あぁおねーさまがお姉ちゃんの毒牙に……なんて事でしょう私が慰めてあげますからねっ!」
突然試着室が開け放たれ、聞いた事ある声の主が私の胸の谷間に顔を埋めてきた。
「……うさこ? なんでこんなとこに……?」
「あら、もしかしていつも言ってたおねーさまってこの子の事だったの? ふふっ……ごめんなさいね?」
「お姉ちゃん……今回ばかりは絶対に許さないっ!!」
まって、なにこれどういうことたのむだれかせつめいして。
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