第14話
それから昼休み中、アカリちゃんのことを聞かされた。アカリちゃんはどうやら私たちと同じ高校生らしい。学校名を聞く限り、他校のようだった。だけど、聞いたこともない高校に私は少しだけ違和感を覚えた。
「今日の昼休みはありがとな! スゲー楽しかった」
「ううん、こちらこそだよ」
相変わらずキラキラしてるなぁ。笑った顔はとってもカッコいい。黒炎くんはアカリちゃんの話をしてるときが一番楽しそう。
よっぽどアカリちゃんのことが好きなんだろう。それは痛いほど伝わってくる。
アカリちゃんと同棲までしてるのに、私とお昼を一緒にしてくれるのは幼馴染だから? それとも、ただの女友達? それは聞くのが怖いから、今はやめておこう。
「黒炎! シュート決めろ!」
「任せろ!」
「「「きゃー! 黒炎くん!!」」」
午後の体育。今日は男女分かれてのバスケ。
遠くからでも可憐にシュートを決める黒炎くんに黄色い声援はとまらない。
身長175cm、サラサラの黒髪、美形、スポーツ万能、それでいて誰とでも仲良くなれる。まさに完璧。
黒炎くんは鈍感だから気付いてないかもしれないけど、非公認ながらに黒炎くんファンクラブの数は日に日に増えていた。メンバーはほぼ2、3年の先輩たち。どうやら黒炎くんは、年上のお姉様方に人気らしい。
なんでも「可愛らしい顔」が好きなんだとか。
私からしたら、カッコいい分類に入るのに、お姉様たちからしたらそう見えるんだろうなぁ。
みんな知らないだろうけどその人、大のギャルゲーオタクですから。
特にアカリちゃんのこと話してるときめっちゃ輝いてますから。なんなら、同棲もしてますし。って、あれ? アカリちゃんと付き合っているのにどうしてギャルゲーしてるんだろう?
そりゃあ、年頃の男の子だったらそういう趣味の1つや2つ持ってるものですけど、好きな人がいるのにそういうゲームってするもんなの?
(なにかが、おかしい)
女の勘、というものはときにものすごい力を発揮する。
このときの私はまだ違和感の正体に気付けずにいた。まさか、あんな形で知ろうとは夢にも思わない。
「今配ったプリントに再来週からのテスト範囲書いてあるからな。GW中は自主学習を怠るなよー」
「‥‥‥」
6時間目も終了し、机にはGW中にやらないといけない大量の宿題とテスト範囲の書かれた紙であふれていた。
黒炎くんにアタックすることばかりで気を取られていたけど、現実は時に非情である。
この学校は偏差値も高いせいか、テスト範囲もかなり広い。授業もノートを取るだけで精いっぱい。
もうすぐ高校初めての中間テストが始まります。
正直なところ、かなりピンチです。
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