3章 幼馴染からのスタート
第13話
あれから、2週間が過ぎた。私は女友達も出来て、それなりに高校生活を楽しんでいた。
黒炎くんとの距離は相変わらず遠いけど、ウジウジ悩むばかりじゃ駄目だと思い、私は前よりも積極的にアタックするようにした。
まずは今の黒炎くんを知ることが最優先だ。
「黒炎くん! 今日も一緒にお昼いいかな?」
思ったよりも大きい声が出てしまっていて、教室のみんながこっちをジロジロと見ていた。私が黒炎くんに好意を抱いていることがまわりが察したのか、クラスメイトは私のことを陰から見守ってくれている。
私が黒炎くんのことを好きっていうのはバレバレのようだ。
私って、そんなにわかりやすいのかな?
だけど、当の本人には気付かれてないんですけど。どんだけ鈍いの、黒炎くん。
「あー‥‥今日はコイツ等と先に約束してて」
「俺たちのことはいいから、霧姫さんのこと優先してやれ。なっ?」
「‥‥? あぁ」
「霧姫、ファイト!!」
「あ、ありがとう」
ここまでクラスの人に応援されるのもなんだか複雑な気持ちだ。
「朱里。じゃあ、屋上で食べるか」
「うん!」
やった! 勇気を出して誘ったかいがあった。
私が積極的になったの少しは気付いてくれた? って気付かれなくてもいいか。いつかは好きって伝えるわけだし。察されて、変な雰囲気になっても困るしね。
「それでさ、昨日もアカリが可愛くてさ〜」
「うんうん」
黒炎くんは嬉しそうに彼女のアカリちゃんのことを話している。以前までの私なら、「そんな話しないでよ」と心の中で思ったかもしれない。でも、今の私は違うのだ。
心を入れ替え、メンタルが強くなった私! そのくらいじゃ、へこたれたりしないもん。
「そのお弁当って、もしかしてアカリちゃんが作ってるの?」
「あー‥‥これは俺が作ったんだ。アカリは料理が苦手でな」
「え、嘘!?」
「っ!? おい!」
私はバッと黒炎くんのお弁当箱を奪い取った。
そこには、タコさんウインナー、唐揚げ、玉子焼き、ポテトサラダが綺麗に盛り付けされていた。
失敗作なんてものは一切なく、見た目からして、どれも食欲をそそる。
それを見て、パキッと心が折れる音がしたのはいうまでもない。それと同時に「このままではいけない」と、女としての危機感を感じた。
こんなにも女子力の高いお弁当見たことない。しかも、それが男の子だなんて。
それでいて、アカリちゃんは料理が苦手。メモメモ。これなら、勝てるかもしれない。まずは、料理を覚えようと決めた私であった。
「あ、ごめんね、お弁当箱返すよ」
「急に取り上げてどうしたんだよ」
「いやぁ〜‥‥最近の男の子は料理上手いな〜って」
「二人暮らししてたら自然と身につくものじゃないのか?」
「アカリちゃんと一緒に暮らしてんの!?」
再び驚く私。やっぱり黒炎くんのこと何も知らなかったんだな。
「あれ、朱里には話してなかったっけ?」
「うん」
同棲、同棲‥‥その単語が頭から離れない。高校生で同棲とか早くない!? てか、アカリちゃんってもしかして黒炎くんよりも年上だったり?
それって、以前言ってた「誰にも理解されない」っていってた話と関係あるのかな?
「黒炎くん、私もっとアカリちゃんのこと聞きたい!」
「おう、いいぜ! まさか朱里から聞きたいって言ってくるなんてな!」
黒炎くんのテンションがあがった。心なしか、声もワントーン上がった気がする。
ちなみに不順な動機でアカリちゃんのこと聞いているのがかなり申し訳なくなった私は「黒炎くん、ごめん」と心の中で謝った。
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