第十三章 レイカ、女バスな人んちを泊まり歩く
第十三章 【レイカ】(1/9)
今週末は、ミワちゃんの家にお泊り。ニーニーのこと話したら、うちにおいでよって。ホント助かる。ミワちゃんは用事があるから7時に来てって言ってた。ウチはニーニーと鉢合わせしないように、明るいうちに出たから少し早すぎたかも。ミワちゃん、うちのおじーちゃんちょっと変だけどビックリしないでねって。ウチ、変なのはウエルカムだよ(強がり)。
六道辻、あの事件の始まりの場所。あんまり来たくない場所。あの時ヒマワリと一緒に帰ったのはミワちゃんだった。ヒマワリはキャプテン、ミワちゃんが副キャプテンだからってわけでもないんだろーけど、二人は何かと一緒に行動してた。で、あの事件でしょ。それから一カ月ぐらいは、ミワちゃん、心がどっかに行っちゃったみたいにボーとしてて、ウチは何もしてあげられないのがつらかったけど、あの時は誰もどうすることもできなかった。
六道辻は町の方から来た道が五つに分かれる場所なんだけど、ここより先の用事ってあんまりない。町のはしっこだからかな。この辺りは竹藪の中に古いお屋敷が何件かあって、昼間でもすごく静か。この一番細い道を行ったところにヒマワリの家で町長のお屋敷がある。なんとなく覚えがある。ウチも昔、ここらへんに住んでたんだよね。ヒマワリやミワちゃんと遊んでたのも、ここらに住んでる頃だったはず。小学校に上がる前に今いる住宅地に移ったから、どこに家があったかもう記憶のカナタ。パパとおばーちゃんのお葬式のすぐ後にお引越ししたのだけはよっく覚えてるけど。
それで、今から行くミワちゃんちはこの真ん中の道を行ったところ。町で一番大きいかもってぐらいのお屋敷だったはず。見えてきた、竹林の影に黒い瓦屋根が。
門構えすごい。お殿様の家みたい。たのもーってね。石畳が玄関まで続いてて、両側の垣根、いい香りの花が咲いてる。つやっつやの葉っぱ。白い花キレイ。甘いバニラの香りする。どっかで嗅いだことあるなって思ったら、これってミワちゃんの香りだ。
「いらっしゃいませ」
ミワちゃん、和服着て老舗旅館の女将さんみたい。三つ指なんかついてウチにはもったいないよ。こういう時は、一礼挨拶してそのまま上がり、上り框で屈んで靴の向きを直す。意外と作法知ってるしょ。辻女に礼法の時間あったから。
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