第四章 【レイカ】(6/8)

 ……。

(さあどうぞ、お隣へ。ねえ、ウチら友だちだよね。お願いがあるんだけど、聞いてくれる?)

 ……。

「レイカ」

 ……。

「レイカってば」

 ……。

「レイカ。起きなよ。ちょっと」

 ミワちゃんの匂いだー。いいにおーい。

「あんた、ちょっと。起きなってば」

 やっぱ、イー匂いだわー。なんか、いつもより匂いキツいな。うっぷ。

「あ、ミワちゃん。おはよー」

「おはよーじゃないだろ。あたしが早く来たからいいようなもの、人に見られてたら、あんた辞めさせられるところだったよ」

「だって、なんか変な夢みちゃって」

「夜勤が夢見てる自体がNGだろが!」

「ゴメンなさい、ミワかーさん」

 ゼツミョーのシナ。

「うっさいよ笑。紹介したこっちの身にもなれっての」

 紹介はハローワークなんですけど。

「ほれ、夜明けのカタバミ・チャイ」

 いらないです、ソレ。


 雨降ってないや。天気予報のうそつき。傘持ってきて損した。しかし、なんだったんだろ。アタマ殴られたような気がしたけどキズとかたんこぶとかもできてないし、痛み残ってない。やっぱ夢だったのだろう。いつのまにか寝てたんだよ。寝不足だったから。そゆことにしよ。セーラー服着たフィットネスボールに追いかけられたり、町長室がムウディーなラブホって、ありえねー案件だし。ズズズー。これは、いける。ミワちゃん、カタバミ・チャイ。初めておいしーよ。ウチ、舌がバカになったんじゃないよね。


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