6 世界最強刀姫の血扇乱舞
ここはGod Killerアジト地下。God Killerのメンバーが集まり、ギャラリーを作っている。
その中の一人、
「ハル。賭けをしねー?私は、ボスが勝つに今晩のオカズの唐揚げを賭ける」
「なら私は、ボスが勝つに今晩の豚カツを賭けます」
「それじゃあ賭けにならないじゃねぇの。ツマンネーノ」
「簡単には凪沙さんの手料理は奪わせませんよ。それにボスが負けるわけないじゃないですか」
「そりゃぁそうか。じゃあ、精々新人君の勇姿を肴に、炭酸すいかみるくで一杯いこうか」
そう言って、サヤは愉快そうに笑う。
そしてギャラリーの関心は、新人である白馬に注目が集まる。
白馬は空気の重さに逃げ出したくなる。しかし、今更後には引けない。そんな白馬に、狂花は言葉をかけた。
「おい、黒水。この場所はいくら暴れても時間が経てば、自然に修復する。だから好きなだけ暴れて良いわけだ」
さらっと凄いことを言う。そんな設備をどうやって作ったんだ?
「とても便利な場所ですね」
「だろwもっと誉めてもいいんだぞ」
狂花は、機嫌良さそうにかーかっかっっと笑う。
「模擬戦とは言え、黒水、本気でこいよ。私を失望させるなよ!」
「はい、善処します」
「そう言えばお前、傭推に色々聞いていたみたいだけど、まだ納得できていないことがあるだろ?」
「あるにはありますが……」
白馬は神妙な面持ちで頷く。
「それは聞きたいけど、聞いて良いのかわからないって所か?」
この人は僕の心が読めるのか?
「心配せずとも、私のワガママに付き合った礼に教えてやるよ。それじゃあ、準備は良いか?」
「問題ありません」
白馬は頷く。狂花は木刀を上に向かって投げ、木刀はくるくると放物線を描きながら、落下して床に刺さる。
狂花は、木刀が床に刺さったと同時に懐から扇を出すと、一瞬で白馬の目の前に間合いを詰める。
そして手首を使い転がすように、器用に扇を回す。
白馬は驚き距離を取る。しかし、距離を取るために後ろに下がると、背中に何かがぶつかった。
振り返ると、そこには狂花が器用に回していた扇?何故浮いているのか?
狂花は、舞うように近付き懐から更に扇を出す。
指をパチンっと狂花が鳴らすと、浮いていた扇が刄となり分散し、白馬を襲った。
元は扇であった刃。その初速は、毎秒380 m。白馬の腕や足に、無惨にも刄が突き刺さる。
白馬は痛みに耐えられず、ふらっと倒れて気絶した。
そんな白馬に、狂花は呆れたように呟く。
「何だ!この程度か、興醒めだ。しゃーねー、寝直すか。傭推ー、部屋に戻って寝るから後始末やっとけよー」
「了解」
欠伸をしながら、狂花はこの場から立ち去った。
傭推は客席から立ち上がり、能力 影神を使用し、白馬の元へ一瞬で移動する。
そして、あらかじめ用意しておいたガーゼで、白馬の傷口を止血する。
白馬の状況を確認すると、これは危険だと判断した傭推は、声を張り上げる。
「医療班連れていけ」
「承知」
何処からともなく現れた白服の集団達に、白馬は担架で運ばれて模擬戦は静かに終幕した。
そして模擬戦が終幕した裏で、自分の手料理を冗談とはいえ、景品にしようとしたサヤとハルがメイドに叱られていた。
「私の手料理を賭けの景品にするなんて信じられません」
冗談で会話をしていたことを伝えるが、火に油を注ぐだけだった。
「冗談でも言っていいことと悪いことがあります」
サヤとハルは、メイド宥めようとするが悪循環だ。
「サヤもハルも今晩のご飯は抜きです。弁明は聞きません。私は怒っています」
サヤとハルは涙眼で懇願するが、メイドは聞く耳を持たなかった。ションボリしながら二人はお腹を鳴らして空腹に耐えることになった。
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