4 神の子
施設の中を歩きはじめて十数分、目的の場所にたどり着いたようだ。
これが運命力鑑定機?古代遺跡から掘り起こしたとは思えない、とても現代的な装置が目の前にある。
「白馬君、これを腕と頭に装着してくれますか?」
傭推はキャップとバンドを手渡し、白馬は言われた通り腕と頭に装着する。
「ちょっと待ってね、すぐ終わるから」
傭推は運命力鑑定機に、ケーブルで繋がったパソコンを起動させた。すると部屋全体が光だす。
「おや?この数値は!やはり白馬君、君はすぐにボスに会わなければならない」
「僕の運は変なのですか?」
「変というか、君の運力が異常に高いんだ。君の能力については 剛力 並行思考 疾走 脱兎 ?? そして称号は逆転劇」
「え!?僕は無能じゃないんですか?」
「うん、君が神の子である事は間違いない。もしかしたら、君が鍵の可能性がある?」
「鍵?」
「それについては、また後で。今は急いでボスの所へ行こう」
傭推は口元を緩ませながら、白馬の手を引いた。
「やっとだ。やっと見つけたのかもしれない」
傭推は何やら独り言をぶつぶつ言っている。
白馬は自分の能力が無能ではないことに興奮しているため、傭推の独り言には気づかない。
五分ほど歩いた先に大きな扉があり、白馬は緊張と胸の高鳴りを抑えられなかった。
「ボス、起きてますか?新人連れてきましたよ。ボス?」
傭推はドアをノックするが、反応は返ってこない。
「ボス、開けますよ」
開けた先には僕より一、二歳年上の美しい、芸術品のような女の子が裸で寝ていた。
透き通るように白く、赤子のような弾力があり、瑞々しいハリのある肌。
汗ばんだ肢体に艶やかな双丘、キュッと引き締まった形のよい臀部。
直視してしまった傭推と白馬は、鼻血を出して倒れる。
そこに一人の女性が通りかかった。
「あらあら、またボス裸でお昼寝ですか!はしたないから止めてくださいと言ってるのに」
「ボス起きて下さい。ボース」
「ぐーぐー。すやすや、むにゃむにゃ」
「起きないと、ボスの冷蔵庫の炭酸いちごミルク飲みますよ」
ガバッと起きたボスと呼ばれる美少女は、凄い剣幕で睨み付ける。
「私の炭酸いちごミルクを飲むと殺すぞ」
「おはようございます、ボス」
「誰かと思えばハルか、何だそのガキは?」
「例のThree faces bearを倒した、神の子の一人のようです?」
「何故、鼻血を出して倒れてる?」
「思春期ですから。ボス、早く服を着てください、はしたないですよ」
ボスと呼ばれる少女はめんどくさそうに服を着て、しばらくすると傭推と白馬は意識を取り戻した。
「ようやく起きたか、待ちくたびれたぞ。貴様が神の子の一人か?」
「ええ、神の子で間違いないかと思います」
少女の言葉に傭推は肯定する。しかし神の子って何だ?
「面白い。今すぐ手合わせをしよう。私が、貴様の力量を測ってやる」
「手合わせ……いやいや、無理です」
「無理を可能にできない人間には、前に進む価値がない、これは決定事項だ。有無は言わせん。さあ、早く準備に取りかかれ」
「ボス、了解です」
傭推は微笑して、若干引きつった顔をしながら白馬を見つめた。
「まあ、死なないとは思いますが?ボスはこうなると、誰にも止めることは出来ません」
少女の容姿による年齢からは考えられない、覇気を纏った人格。
「白馬君、検討を祈ります」
もうなるようになれだ。白馬はイヤな予感がひしひし感じる。
「あー、でも。ボスは加減を知らないからなー、んー、今のは独り言です。聞かなかったことに」
独り言が怖いよ。どうしてこうなった。だけど、ポジティブに考えるしかないよな。
そんな折に「逆風こそ好機なり」祖父の言葉がふと頭によぎった。
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