拡散する種―遠き種族へ紡ぐ雅樂―
天秤アリエス
第1話 ゆりかご――URF-11045695
銀河系の数々の惑星に於いて、どうして地球だけに生物の系統樹が存在するのか。生物の系統樹とは、全ての生きとし生けるものを繋ぐ「世界の系譜」である。
たまたま、地球の環境が生物を産んだと考えられていたが、西暦Ⅾ500光年、驚くべき研究成果が発表される。
『地球にはとある種が拡散されて、生物を生み出す培養星』となった。
論文を発表した研究者はもういない。
しかし、その研究はアンドロイドたちが引き継ぎ、日々、宇宙解明のための研究は滞りなく行われた。
その研究分野をダ―ヴィンの「種の起源」から敬意を評し、「種進化分野」と名付けられてもう随分光年が経つ。
ありさと呼ばれた少女が、「種のゆりかご」を明かすまで、少々昔話をしよう――。それは、宇宙の少年と少女の悲しくも美しい、恋物語であった――。
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