死刑囚になる俺がD職員になった件

天ノ川鋼

第1話SCP財団

 「判決を下す!被告人、黒風蓮くろかぜれんは死刑とする」




 ポツン…ポツン…シタシタ…覚醒するにはまだ早い。

「起きろ!黒風!」

 一室に響く声。それにハッとなり覚醒する。目覚めたのは拘置所の一室。目の前に立っていた男性はいつもとは違う服装で知らない人だった。

「なんでしょうか…死刑執行…ですか?」

 確信した。俺は死刑になるのだと。

「違う。死刑に等しいがね」

「どういう意味ですか?」

 ならなぜ出る必要がある?俺は人を殺したんだ。3人も。1家族を殺した。なのに何故…

「いいか?今日からお前はSCP財団が管理するD職員となる」

「SCP財団?D職員?一体なんですか、それ?」

「知らないのも無理はないさ。まずはSCPとは知ってるか?」

「いいえ…」

「よし分かった。説明しよう。SCP財団とは自然法則に反した存在・物品・場所を扱う組織だ。SCPを秘密裏に管理してる組織だと思ってくれ」

「待て待て、理解が追いつかない。そもそもSCP自体が何か知りたい」

「SCPについて?自然法則に反した存在・物品・場所の事だ。SCPにはオブジェクトクラスがありsafe→euclid→Keterの順に危険度が変わる」

「どういう基準で決めてるんだ」

「安全に収納出来るかだ。safeなんかは常に安心して管理出来る。euclidは常に安心して管理出来る訳ではないが管理は出来ている。Keterは収容時に複雑な手順を要して管理する、又は管理出来ていない。この3つのクラスがある。他にもクラスはあるがそれはサブクラスだからそこの説明は省く。メモを取っておくから忘れないようにな」




 車で空港まで向かう。

「空港?どこに行くんですか?」

「アメリカだ。そこにSCP財団がある。そこは誰にも知られていない。質問があるならいつでもゆってくれ。黙り込んでも難儀なもんだろ」

「なら、なんで俺が選ばれたんですか?」

「お前が選ばれた理由?簡単だ。死刑囚だからだ。死刑囚は使い捨ての駒だ。死刑囚であればSCPによって死んでも問題ないという考えだ。何より死刑囚に使う税も無駄にならないからな」

 黙り込む。使い捨て…俺はSCPとやらに殺されなければいけないのか?クソが!と心の中で叫ぶ。



***



「着いたぞ」

 アメリカの田舎にあり誰もが通らない場所にあった。見つからない理由は特殊な電波らしい。

「あるけ!」

「分かったって」

「注射をする」

「注射?」

「注射をすることでいろんな人と会話出来る。ドイツ人やフランス人でも自分の国の言語として翻訳される。成分は上の人しか分からない」

「そうですか」

 注射をし自分の部屋があるといわれそこに案内された。

「ここがお前の共同部屋だ。仲良くやれよ」

ガチャ。鍵がかけられる。

 部屋の人数は自分を含め6人。

「よぉ、新入り。俺はアメリカ国籍のジョーだ。宜しくな」

「俺はポーランドのエリック。宜しく」 

「俺はエジプト国籍のエーリ。宜しくね」

「俺はイギリス国籍のヘンダーだ。これから宜しく」

「俺はアメリカ国籍のベンダーだ。宜しくな。兄弟!」

 ジョーを筆頭に挨拶をする。

「俺は日本の黒風蓮。宜しくお願いします」

「日本人は真面目だな!丁寧に挨拶するんだからな!」

「死刑囚だから真面目じゃねぇだろ?ジョー」

「そうだな、ベンダー」

ガチャ。

「そろそろだぜ」

「お前らでろ!SCP-173の管理だ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死刑囚になる俺がD職員になった件 天ノ川鋼 @yanagidanaito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る