神様のミス

神様のミス

「じゃあ、優ちゃんが女の子になれるように俺も協力するよ」

　私がトランスジェンダーだということを知って、私の体は男なのに女の子として扱ってくれる、理想の彼氏。

　に、見えるんだろうな。

　私は確かに体は男だ。

　ブツだって付いてしまっている。

　だが、女の子になりたいわけじゃない。

　産まれたときから、女の子なのだ。

　体と一致してないけど、私は女の子。

　だから体が少しでも一致するようにホルモンを打ったり手術費を貯めたりしているのだ。

「うん、ありがと」

　建前だけの言葉。

　この人とはもうおしまいだな。

　きっとこの人は私を、「男だけど女の子」という感覚で接しているんだろうな。

　私も悪いけど、恋愛って義務じゃないし、嫌なら別れればいい話。

　だからこの人とは、さよなら。

　手術しても私は妊娠できるようになるわけでも、生理がくるようになるわけでもない。

　私は女の子だけど、女の子っていう容器に入ることはできないのだ。

　女の子なら悩んで、苦しんで、歩んできた道を、私は悩むことも苦しむこともなく真似してるような。

　神様、次は間違えないでね。

　私は女の子なんだよ。