第3話 僕と私の当たりまえ
「それでどんな子なの?」
まだ教室に彼女が残っているのを信じ
少し足早に移動する
「う〜ん、少し天然で今時の女子高生みたいな感じかな」
「なんだか分かりづらい例えね」
「まあ、会ってみればわかるさ」
彼女のクラスまで向かい
クラスを見渡してみると、真ん中の方で
会話しているグループに彼女の姿はあった
「ちょっといいか、安喜」
呼びかけた後に、一言二言会話すると
こっちまで歩いて来る
「なに、噂の美人転校生じゃん」
「私は、空町 秋よろしくね!」
「私は、月下 志穂よろしくね」
「で、なになにみんなして私に何か用事?」
「秋さん、いきなりで悪いんだけど私部活作りたいんだけど部員足りなくて、入ってくれないかな?」
「え、またそれはいきなりだね!」
秋が驚愕の声を上げる
まあ、当たりまえだこんなラノベ展開普通はありえないもんな
「今俺らも含めて三人なんだけど一人足りないんだ」
「一生のお願いだ、僕たちと一緒に部活に
入ってくれ!」
そういえば俺は、田中の一生のお願いを何回聞いた事があるのだろう、言葉通りにするならば20回くらいの転生が必要だろう
「なるほど、それは分かったけどなにする部活なの?」
「そう言えば僕も知らなかった、なにする部活なの?」
秋が呆れ顔を向ける
「田中君は都会の方のキャッチセールスに
すぐ捕まっちゃいそうだね」
「いやいや、お前も結構危ないと思うぞ」
「またまた〜ご冗談を〜」
ないないといった感じで手を振っているが
結構本当にお兄ちゃん心配なのよ?
「えっとね、人助けをする部活かな?」
「例え話だどんな?」
「学校での問題とか、部活の問題とか
地域の問題とか相談しに来てくれた事を
助けるみたいな」
「面白そうだね、じゃあ私から入るに
当たっての条件を一つ」
腰に手を当て胸を張り当てみんなの前に
指を一本立てる
「私の弟ねピーマンが食べられないの!」
「秋、弟いたんだ」
「うん、もうすぐ小学生後半なんだけど
いまだにピーマン食べられないんだ」
「それが条件だねでも分かるな〜
俺もいまだに食べたくないもん、秋の弟とはいい友達になれそう!」
「お前それ高校生としてどうなんだ」
「いいじゃない、嫌いな物は人それぞれだもの、その条件喜んで引き受けます」
こいつ外面は本当に良いな
俺にだったら、わ〜お子様ですねって煽ってたぞ、家に戻ってもこのままの方法とかないだろうか、知っている方がいたら是非とも連絡がほしい
「じゃあ明日の放課後私の家に来てもらって良いかな?今日はちょっと家片付いてないし」
「分かりました、二人もそれで良い?」
「もちろんだ」
「もちろん」
満場一致で決定である
「じゃあ今日は古川の奢りで
志穂さんの歓迎パーティーにしようよ!」
優に電流走る
田中のノリに始まり
「いいねいいね、行っちゃお!」
秋の悪ノリに繋がり
「嬉しいな、優くん」
セレスの悪意へと繋がるコンボを果たす
「そんな金あるわけないだろ、割り勘だ!」
そんなのを聞かずにみんなは歩き始める
「私はスパゲッティがいい!」
「じゃあ私はオムライスで」
「僕は奢りなら何でもいいかなぁ」
類は友を呼ぶ、勉強になりました
家に帰り夜、二人でテレビ番組を眺めっていた
「ねえねえ、何でこの人達は辛いものを
一生懸命食べてるのかしら?」
「ええっとな、こうゆうのを食べて
番組を面白くするのがこの人たちの仕事なんだよ」
「そう、それよ」
「何で食べられないものを食べれるように
秋はしたいの、嫌なら食べなければ良いのに」
「そういえば、考えたこともなかったな」
学校や親からは好き嫌いせずに食べる事が
良いことだと言われてきたために
今まで考えたこともなかった
栄養面を考えても、他のもので代用すれば良い話なのだ
「それは実際、俺たちも分かんないんだ」
「人間って変わってるわね、でも良いわ
明日どうせ私の力で食べれるようになるわけだし」
「そうだな」
生返事で答えた
何かふに落ちない、そんな気がした
秋の弟はセルスの力で食べられるようになる
それだけだ
だか、喉に刺さった魚の骨のように
何故か間違っている気がした
「にしても秋って子、可愛かったわね」
「そうだな実際なん回も告られてるらしいぞ」
「羨ましいわね」
ため息まじりに、後ろに倒れ込む
「モテモテなのがか?」
「違うわよ、自分で好きな人と結婚できることよ」
「月じゃできないのか?」
「ええ、だいぶ前にそんなの非合理的過ぎる
ってどっかのお偉いさんがたが決めちゃったわ」
「そんなのみんな不満じゃ無いのか?」
「最初のうちはね」
「ただ、何年かしたらすぐに理解したわ
これが合理的で正しいんだって」
確かに僕らがこの地球上の中から、本当の
理想の相手を見つけるのは困難だろう
「だから、私たちの所だと生まれてから
15年くらい経てば勝手に機械に決められるわ
そして観察5年で、問題がなければ結婚」
そして寂しそうに笑う
「簡単でしょ」
「…」
カルチャーショックはあると思っていたが
ここまでとは思わず言葉は出てこなかった
「でもなんか地球は、あったかい気がする」
「そうか…」
軽くジョークでも言いたいが、こんな時に限って思い浮かばなかった
それを感じてか、セレスが電気を消す
「今日は遅いし寝ましょうお休み」
そう言うと帰りに買った自分の布団に入り
壁の方へと体を向ける
「おう、お休み」
その夜はたくさん色んな事を考えた
あっているかは分からないけれど、自分の中での答えを考えた
翌朝スマホの電子音で目を覚ます
布団を片付け、二人で朝食を食べて
学校へと向かう途中で昨日考えたことについて話してみようと思った
「なあ、お前のその不思議な力で
ピーマン食べさせるのやめないか」
「何で、そっちの方が楽で良いじゃない」
「俺もそう思うよ、てゆうか食べたくなかったら食べなくても良いとすら思った」
「じゃあ…何で?」
何を言っているのか全く分からない言った
様子だ
「力を使えば今の問題は乗り越えられると
思う、でも次一人で乗り越えて行かなければいけない時は、つまずいちゃうかもしれい」
少しずつ言葉をまとめていく
「そうならないようにさ、僕たちが助けるん
じゃなくて、手伝って一緒に乗り越えるのが
いいんじゃないかな」
「…そんなのあなたの考えじゃない」
「うん、その通りだ」
別に自分が正しいとは思っていない
「でもさ、それがセレスの言う
「あったかい」じゃないかって俺は思うんだ」
「っ!」
彼女は目を大きくき、体からは力が抜け
その場にへたり込む
「お、おい!」
急いで彼女に駆け寄ろうと思ったが
不要だったようだ
「あはははは!」
満面の笑みで笑い声をあげる
「何だ、そんな簡単なことだったんだ!」
「私も月にいる頃から何かおかしいと
思ったのよ、勉強サボった甲斐があったわ」
ひとしきり笑ったところで顔を向ける
「ありがとう優、やっと分かったわ」
「いや、感謝しているのは俺もなんだ
今までこんなの疑問に思ったことも
無かったんだ、ありがとうセレス」
セレスを引っ張り上げ二人で微笑み合う
「学校行こうか」
「うん!」
前よりも少し二人の距離は近くなった気がした
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