第2話 部活を作ろう!
「私も今日から学校に通うわ」
「学校にはいろんな人が集まるんでしょ?」
「まあ、そうだな」
「そこで私がみんなを助ける部活動を開くのよ!」
「そうすれば私は早く帰れるし、暇な時間は
無くなるし完璧じゃない!」
「うん、いい考えだと思う」
「そうでしょ!」
えっへんと大きく体を張る
「しかし、よくそんな力があったな?」
「そこはお父さんに相談したら、それもいい経験になるだろうって事でそこだけ制限をゆるくしてもらったわ」
「さすが月の人」
ご飯を食べ終え、脱衣所で制服に着替えるへ
二人で学校に向かった
「おはよ」
「おう、おはよう古川」
騒がしいクラスの中を歩き、自分の席まで向かう
隣の席にはあの田中だ
馬鹿で、アホで、変態の田中だ
「でもさ古川が僕のパンツを盗むなんて思ってなかったよ…まさか、僕のこと好きだったとか!?」
顔を赤く染め目を逸らす
ほらさっそくこれだからバカは
いや、これは俺が悪いな
「違う、誤解だ」
型落ちノートパソコンの処理速度で
何とか解決策を導こうと考える
「実は昨日寝ていたらな、いきなり女神が
来て何か転生させてほしいとか言うからな
異世界転生さててしまったんだ」
「くっ、すまない!
」「パンツを守れなかった!」
馬鹿か俺は
「何だそうゆう事なら早く言ってくれよ〜
本当に焦ったぜ」
これ問題解決と言わんばかりに
清々しい顔を浮かべるが
「って、さすがにそれは無理があるよ!」
ですよね〜
いくらバカでもそれで納得されたらそれは
それで怖い
段々と会話の内容が内容だけに
クラスの視線が集まってくる
「本音の事を教えてくれよ…」
「俺ら友達だろ?」
「田中…」
そうだ、俺と田中は一心同体だ
「月から偉い人が来て、その証拠として
お前のパンツを召喚させたんだ」
「古川…」
少し涙ぐみ肩に手を優しくおく
「一緒に精神病院通おうな」
やっぱりだめでした
誰だってそうする、俺だってそうする
もう打つ手なしな俺に、嬉しい声が飛び込む
「は〜い、みんな席について」
美人で有名なうちの担任のご登場だ
みんな仕方なく自分の席へと戻る
一旦はこの状況を回避できたようだ
「今日も全員揃っていて先生はとても嬉しいです!」
笑顔でそんな事を言ってくれる先生は
嬉しい最悪俺が明日からこないだろう
「そしてみんなにも嬉しいニュースがあり
まーす、どうぞ入ってきて」
クラスに入って来たのはセレスである
「今日からみんなのクラスメイトになることになりました、月下 志穂って言います」
彼女の美しい姿とその声は、男女共々を
興奮させるのには十分だった
「いえええええ!」
「あれモデルじゃない?」
「え、マジで」
「遂に俺にも春がきたか」
みんなのすき勝手な感想が並んでいく
しかしこれのおかげで田中パンツ事件はどうにか鎮まりそうだ
そう安堵していた時だった
「あ、古川君、田中のパンツ忘れてったから持って来てあげたよ」
あ、学校生活詰んだわ
みんなが俺たちになんとも言えない視線を
向かわせる中
俺の頭は走馬灯を見せ始め、過去最高の
働きを見せるがその中からわずかな望みを
見出す
「今すぐ田中のパンツをみんなの脳内から消すんだ!でないと、奉仕どころかお前一生
学校に来れなくなるぞ!」
「何ですって、私の残りの力を今ここに!」
その瞬間教室は青白い光に包まれた
あまりの光量に思わず目を瞑る
しばらくすると段々に光が収まっていく
クラスを見渡してみると、みんなキョトンとしている
しばらくの静寂の後セレスの声で
みんな我に帰る
「えっと、今日からよろしくお願いしますね
皆さん」
「じゃあ月下さんは後ろの空いている席で
今日から授業を受けて下さい」
「それじゃあ、今日も一日頑張りましょう!」
そう言って出て行ってしまうと、クラスは
とたんに騒がしくなる
「髪きれいね、手入れしてるの?」
「どこの国の人?」
「彼氏居るんですか?」
「どこら辺に住んでるの」
「えっと…」
質問の量が多すぎて圧倒されている
誰もさっきの光の事を聞かないのだろうか
「田中、さっき教室すごい光ったよな?」
「え、そうだった?全然気が付かなかっ
けど」
「すまん、俺の勘違いだったみたいだ」
どうやらそこら辺も上手くやってくれた様だ
転校生の話は瞬く間に広がり、他のクラスからも人が来始めていた
「これは当分話しかけられそうにないな」
机にへたり込みため息を吐く
いろいろと聞きたいことは有るけれど帰ってからだ
「なになに、志穂さん狙ってるの」
「いや、まさか」
彼女と俺じゃあまるで釣り合いが取れない
まさに月とスッポンだ
このお祭り騒ぎはまだ続きそうだ
「ねえ志穂さん、これから私達とご飯食べに行かない?」
「いやいや、私達と部活動見て回りましょうよ」
横目で見ているとどうやらボロは出しておらず、放課後になっても大人気のようだ
「すごい人気だね、志穂さん」
「そうだな」
男女共々さまざまな人達から声をかけ続けられている
誰かが席の横に歩いてくる
「お待たせ、さっそく部活作りましょう
古川くん」
「作り方は教えるけど入りはしないからな」
「え、あの時約束してくれたのに」
目が徐々に潤み、声は上擦り始める
「いやほら、俺もいろいろ忙しくてさ」
「じゃあ、あれは嘘だったの!?」
どんどんと演技のレベルが上がってくる
この程度で泣くような女の子ではなかったはずだ
「あいつ最低だな」
「女の子泣かせてるよ」
しかし、事情も知らないやつが見ると
俺がひどいやつである
「ああ、もう分かったよ!」
「手伝う、手伝うよ!」
「ありがと〜嬉しい!」
近くまで来て俺の手を握ると、顔を近づけ耳元で囁く
「計画通り!」
一瞬だけ顔が歪むその姿を見逃さなかった
こいつ、調子乗り上がって
今の怒りなら、一人で夢の国も余裕である
ここで切れたいのも山々だが、それではまた悪者に逆戻りである
「えっと、二人はどうゆう関係?」
田中の当然の疑問に戸惑う
「えっと〜」
ヤバイ、全然考えてなくて適当に間を伸ばして考えるが
稲妻の如く一言
「この人の彼女です」
人生初めての彼女が出来ました
でも多分虫除けようです
死にたいです
どんどん周りがざわめき始める
「やだな〜志穂さん冗談はやめてくれよ」
大きな声を張り上げた後
今度はこっちが周りに聞こえない声で呟く
「もう実はお前力残ってないだろ」
ビク!
図星だったようで、やはりあれほどのことを
した後だと残量切れらしい
あれくらいだとしばらく使えないかもしれ
ない
「もしかしての話なんだがなしばらく俺
家に帰れないかもしれないんだ」
今のところセルスは現金を持っていない
簡単な話だ
今度はこっちがゲス顔をお見舞いしてやる
少し睨まれはしたが、その顔を笑顔の下に隠す
「えへへ、ごめんね、ちょっとイタズラしたくなっちゃって」
「な〜んだ、びっくりしたよ志穂さん」
田中もみんなも、それぞれ落ち着きを取り戻し始めた
「にしたって部活を始めるにしたって四人以上の部員と、生徒会の承認がいるぞ」
「う〜ん、困ったわね」
「なら僕が入るよ」
元気よく立ち上がりやる気満々の
田中である
「ありがとう、じゃあお願いするね
これからよろしく田中…」
「田中 祐太、これからよろしく!」
「さて後一人だな」
とんとん拍子に一人ゲットしてしまった
「じゃあ、あそこから一人お願いしてみましょうか」
さっきまでさっそってくれていたグループに
目を送るが言葉で制する
「ここまで来たら俺らの知り合いでいか?
女の子だから、話しやすいとは思うぞ」
「うん、じゃあその子にお願いしたい」
三人で移動を始めた
気を抜けない学校生活は始まったばかりだ
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