またも妹は奔走する
モアイ神
プロローグ
合縁奇縁。
中学から高校、大学に掛けてというのは、言うまでもなく思い出の宝庫であろう。
新しい友人関係がここで構築されて、その先にいくつものエピソードが積み重なって、後日思い返せば笑えたり泣けたりする記憶となって残る。
自身にとって良い出来事もあれば悪い出来事もあるけれど、思春期に起きた事はどうしても残ってしまうのだ。
ん?大学生は半分大人だから含まれないのではないかって?
最近では、24歳まで思春期は続くという研究も発表されているので良しとしよう。それに俺はまだその歳ではないから実際分からないし。
とにかく、そんな多感な時期だからこそドラマや漫画等、様々な創作物の題材にされる訳だ。その中でも特に高校は群を抜いている。
現実の話にしても、社会に出て話に上がるのは出身校がどこで何部だったのかなんて聞かれる事は少なくないはず。
それを聞けば大体の出身地が分かるし、何に興味があるか等も掴みやすいのだから、話の始点としてはお手軽な文句である事が分かる。
それほど高校とは大切であり、青春と言う言葉においても重要な時期なのだ。
青春とはこの3年間に集約されていると言っても過言ではないだろう。
かくゆう俺はその時期の真っ只中にいる訳だけど、入学してから一年経つが中学だった時と比べて、これといった変化はない。
友人と様々なイベントを楽しんだとか、恋人が出来て毎日イチャイチャしてます!……なんて事もなく、日々平凡な学校生活を送っている。
でも時に非日常は存在するーー
あっ!勘違いさせたならごめんなさい。
ちょっと言ってみたかっただけで、別に異世界に飛ばされたり事件や怪異に遭遇したという訳では全くなく、只この普通過ぎる毎日に対して現実逃避してみたかっただけだ。
きっと誰もが一度は考える事だと思うので許してほしい。
そんな事を偶に考えている
学力は平均よりもちょっと上で、運動神経にしても小中学ではサッカーをしていたし、そんなに悪くはないと思っている。
即ち、本当に極々平凡な高校二年の男子であると言えるだろう。
そんな俺が学年のアイドルだとかみんなが憧れる先輩と親しくなって、青春に相応しい日々を送るなんて事はないと思うのだが、非現実が突然やってくるなんて事もありえなくもない。何が起こるか分からないのが人生である。
いやいや、その歳で分かったようなフリをするな!と言われれば、返す言葉は適当に弄り出して、とりあえず全力で投げつけてあげよう。
そんな味気ない学校生活の中で、最近何かあったかと問われれば、
「……うん、やっぱなにもない」
強いて言えば、妹が約一ヶ月前に俺も通うこの【秋桜高等学校】に入学してきたと言う事ぐらいだろうか。
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