あんたいとる！-untitled!- 2

Act:26『なんでもない』

悠「『ちょっと疲れちゃいました……どこかで休憩しませんか？』」

智「『それならここに良いホテルがあるぜ……』です」

悠「『じゃあ行きましょう！』」

智「……この練習意味あるです？」

悠「あるよ！　すっごくある！」

智（絶対こんな展開にならないです……）

悠「先輩、なんだか疲れちゃいました……どこかで休憩しませんか？」

蛍「ん、大丈夫か？　体調悪いなら保健室に行ったほうがいいぞ？」

悠「ち、違くてですねー……」

智（学校で言ったらそうなるです）

＊

智「身長伸びないです」

悠「智ちゃんは今のままのがいいよ！」

智「ほんとです？」

悠「うんうん！」ぽよんっ

智「……」ばしっ

悠「いたっ！　なんで！？」

智「……なんかムカついたです」

＊

唯「カブトムシっていやらしいよね」

悠「どうしてですか？」

唯「男性器みたいじゃないか」

悠「た、確かに！」

唯「クワガタもエロいね」

悠「な、なんでですか？」

唯「黒タイツの脚みたいで」

悠「なるほど！！」

蛍「同意すんな！！」

＊

舞「お兄ちゃん」

蛍「おう、舞。買い物か？」

舞「うん。……お兄ちゃん一人？　唯さんは？」

蛍「別にいいだろ」

舞「あちゃー……振られちゃったんだ」

蛍「どういうことだ」

舞「一緒に帰ってないってことは嫌われちゃったんでしょ？」

蛍「違う違う。今日は智と一緒に抹茶パフェを食いに行ってたんだ」

舞「え……お兄ちゃんが智さんとデート！？」

蛍「デートじゃねえ」

舞「一緒に食事なんて明らかにデートだよ～」

蛍「それ絶対に智に言っちゃダメだぞ……！？」

舞「智さんっ」

智「なんです？」

舞「今度デートしましょ！」

智「で、デートです！？」

舞「はいっ、抹茶パフェとか一緒に食べに！」

智「も、もちろんいいです。……なんでデートです？」

舞「はいっ、お兄ちゃんと一緒に行ったって聞いたので！

　　ズルいなぁって！　私も智さんと一緒に行きたいです！」

智「……それ、先輩さんから聞いたです？」

舞「え？　あっ……」（言っちゃった……）

＊

智「まったくもって不愉快です」

蛍「すまん……」

悠「？　どうして先輩謝ってるんですか？」

蛍「そ、それは俺と――」

智「待つです」ぼそっ

蛍「ん？」

智「悠に言うと色々面倒です。秘密にするです」ぼそっ

蛍「わ、わかった」

智「なんでもないです」

蛍「そうそう、なんでもないなんでもない」

悠（な、なんか隠してる感じだー！）