催眠療法について
「はいどーも」
「ユングです」
「フロイトです」
「夢野ユング・フロイトです」
「いやいやいや」
「ちなみに僕らのこと知ってるよって方どのくらいいらっしゃいますか?」
「あ、ありがとうございます」
「名前だけでも覚えて帰ってください」
「そういえばね、おれ最近催眠術師になりたいなーと思って」
「なんでまた」
「え、なんか、かっこいいじゃん」
「そんな適当な理由なのかよ。まあいいや。俺は弟子がやりたいって言ってることはなるべく応援しようと思ってるからな」
「ありがとうございます」
「かまわんよ」
「じゃあぼく催眠術師やるんで、フロイトさん催眠状態になってもらっていいですか」
「はい」
「犬になってください」
「ワン」
「猫になってください」
「ニャー」
「きりんになってください」
「メェー」
「思ったことをなんでも自由に話してください」
「いいですか、みなさん! 私自身、もともとは催眠術を手段として精神療法をおこなっていました。正直にいえば、当時、仕事は今よりもずっと楽に、しかももっと快適に、おまけに短い期間で行われたのです。しかし、その効果はあてにならず、しかも持続しませんでした。それで私はとうとう催眠術をやめてしまったのです。催眠術は無意識に作用するかのようにみえます。しかし、無意識の世界はからっぽ、単に意識がない状態に過ぎません。意識がない状態だからこそ、外部からの声になんでも従ってしまうのです。問題は意識にあります。我々は意識に作用する言葉を発さねばなりません」
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