つかみ

「そこの床を剥がしてくれる?」

「はい。剥がしてどうするんですか?」

「穴を掘りたい」

「なぜですか?」

「深い穴が必要なんだ」

「深いってどのくらいまで掘るんですか?」

「無意識の世界へ達するまでだ!」

「やめたほうがいいですよ。深海まで潜り込む最先端の科学技術を持ってしても、無意識の世界へのダイブは危険です」

「なるほど」

「ダイブだけに大分危険です」

「くだらねーよ!」

「無意識の世界が危険なのは、そこで激しい闘争が行なわれているからではありません。深い海の底が豊穣に見えるほど空っぽ、何も無いからです」

「なんでだよ!」

と、どつかれたところで痛くない。目が覚めた。いままでのはすべて夢だったのだ。

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