第49話 スキー合宿3
馬車が再び走りだして数時間。ようやくスキー場と宿に到着した。
野生動物は結局出なかった。馬のリーダーであるリューシカが途中から脳筋な掛け声をかけ始めたのだ。
(雪が酷くなってきたけどこんなんで止まるんじゃないわよ!あんた達いいい!!狼が出てもヴィル王子達がいてくれるし気合い入れておくわよぉ!!)
(へい!姐御!!俺達勝気な馬車馬だー♪)
(俺達勝気な馬車馬だーー♪)
………急に歌い出したよ。こいつら。
こんなん周辺の動物達もビビって出てこないな。凄い気迫だし。
とか言うやり取りの末に到着した。
「ふおっ!雪山だ!」
ミリヤムははしゃいでいる。
シュッツェ先生や他の先生方と宿に入り部屋と荷物を置き明日からの合宿授業の為温かい共同風呂に入り寝るようにと指示される。
夕飯は各自好きな時に食堂にて注文できるようだ。まぁ皆馬車移動で疲れたからよく眠れそうだな。
俺達の馬車のメンバーで男メンバーは皆同じ部屋になった。生徒会長ロホス先輩にレーム先輩それからザシャにユストゥス。
寒いので夕飯前に風呂に入ることにした。移動していると女子達も風呂へ入って行くのが見えた。
ロホス先輩はそれを見て
(おお!!チャンス到来だ!神よ!感謝する!わーい!女子の入浴覗くぞー!!)
と覗き魔的思考をしていたからそれとなくザシャに伝えると
「ミリヤム様の裸を見ようとする不届き者め!私が見張っておきます」
と言って会長の隣に陣取った。
「皆でお風呂とか僕始めてです!!」
とユストゥスは服を脱いだ。そして俺はたまげた。ユストゥスの息子を見て!!
こっこいつ!!凄え!!
ユストゥスは恥ずかしがり布で隠したが凄えもん見ちまったわ!!
レーム先輩は
(ああ…隣に…リーゼロッテが…入ってるのか…くっ!!ダメだ!変な妄想は!!変態だと嫌われたくないし!!)
と意外と純情路線走ってた。
俺はまぁ、普通にのんびりできりゃあいいわ。
と風呂に入ると数人の生徒は既に入っており、
「おや、ヴィル!」
と全裸の変態…いや、ピンク髪の半目の菫色の瞳のヘルマ帝国のレオン王子が手を振っている。
俺はさっと顔を横に向けたが、全裸でのしのし歩いてきて肩を組む。
「ヴィル!風呂はいいぞ!俺あっちで女子風呂を除ける隙間を発見したぜ!」
と下半身ボーボーの変態がひそりと言い、それに男子達は反応する。
「それは本当かね?」
ロホス生徒会長は切れ長のオレンジの瞳をギラリとさせた。レオンはビクリと怒られると思っていた。しかし…。
「レオン王子…覗きなどいけませんがその穴はどこにあるのですか?後で修繕してもらうように宿の人に言わねばなりません。どのように見えるのかの確認も!」
ちゃっかり確認とか言ってんじゃねえよ!!覗く気満々じゃねぇか!!
ユストゥスも
「だ、ダメですよ皆さん!!女性たちに失礼ですから!!」
とか正当なことを言いつつその下半身がヤバいことになっているぞ!!ユストゥスーー!!
レオンとロホス会長はユストゥスのそれを見て無言で親指を立てユストゥスも親指を立てていた!!
何の意気投合だよ!!
それにザシャは
「ミリヤム様もいらっしゃるので覗きなど許しませんよ?」
と長い爪を伸ばして凶器を見せつけた。
「ザシャくん!落ち着けよ!君のミリヤムちゃんに興味はない!!それだけは見ないから!」
とレオンが頼むがザシャはゴミを見るような目で
「一国の王子が覗きなど許されませんね。生徒会長も貴族としての自覚はないのですか?ユストゥスは我慢しなさい!!」
と風呂場の床に正座させられて三人は説教された。俺は一人で湯船につかり
「あー…いい湯だわー………」
と寝そうになった。シーラに少し奇跡の力使ったから疲れた。
*
一方の女湯では物凄い火花が散っている。
私とロジーナ嬢の睨み合いだ!
しかもロジーナ嬢は私のお胸を見て嫌味を心の中でチクチク言ってくるのだ!直接言えばいいのに!!
(ふん!下品な胸だわ!大きいってだけでヴィルフリート王子を誘惑して!この悪女!)
誰が悪女よ!そっちじゃん!!
因みにミリヤムちゃんは既にお風呂で泳いで遊んでいる!!
フィンケ先輩が
「ちょっと!こんなとこで喧嘩しないの!」
と言うから私は抑えて無視した。心の声は聞こえるけど。
とりあえず隅々まで身体を洗った。いつヴィルに触られてもいいくらい綺麗にしとかなきゃ!というかこの向こうにヴィルがいると思うと想像してしまう。きっとヴィルは赤い髪をしたたらせ凄い色気なんだろうな…。はぁ!できることなら一緒に入りたかったなぁ!
ナタリーちゃんのマンガでは男の子がお風呂を覗きに来るというシーンがあったけど。
私はぐるりと見渡し、何かの隙間を発見した!!
ま、まさか!ヴィルがあそこから見てる!?
そう思うと興奮する!
変じゃないかな?私の身体!!
見られてることを意識しつつ、令嬢らしくゆっくりと湯に浸かる。
ヴィル!存分に見てえ!!
と思いながら。
するとそこにシュッツェ先生が大きい胸を揺らしながら近づいてきて、
「おい、何してる?喧嘩するよりこっちに来て男子の入浴のぞこう!」
と言い出した!!
「せ、先生なのに!!」
信じられないとフィンケ先生やロジーナ嬢が注意すると
「ならお前らは好きな男の裸を見たくないんだな!?よし、私が一人で見よう!まぁ目的はユシーだけどな!」
と行ってしまうから慌てて皆ついて行った。
小さな隙間に顔を寄せ中を除くとヴィルが目を瞑り気持ち良さそうに寛いでいた。
普段の前髪をかき揚げて額が丸出しだ!!
ちょっと筋肉がついてきたのも判る。
やはりヴィルは素敵だわ!!
ロジーナ嬢も
(ヴィルフリート王子…な、なんて色気なの!鼻血出そう!)
とか言ってるから睨むとまた睨み返された。
向こうではザシャくんに叱られる三人の男子だ。ユストゥスくんにレオン王子に生徒会長だ。何でだろ??
シュッツェ先生がユストゥスくんの下半身見て驚いている。
「し、信じられない!あれが!ユシーのユシー!!もう大人!!」
と言うから恥ずかしい!!
レオン王子は隠すことなくボーボーで目を背けた。生徒会長は怒られて涙目になっている。
ザシャくんは相変わらず鬼のように説教している。
*
風呂からあがり牛のミルクを飲んでいると女子も上がってきた。風呂上がりのシーラが色っぽいわ!!生乾きの女子の髪とか!!
そしてシーラは俺を見て何故か赤くなっていた。
シュッツェ先生はユストゥスに抱きついてユストゥスは胸に顔を埋められた。
「ふぐうううう!!せ…せんせ…はぁ!はぁ!!」
「ユシー!はぁはぁ!!」
とかもう二人ともど変態思考だし。いいなぁとレオンとロホス会長は眺めていたが、レオンは早々に他の湯上り女子をナンパしに行った!
会長は会長で頭の中はエロい。真面目な顔してエロい。
ミリヤムとザシャは相変わらずだ。
「よく温まりましたか?ミリヤム様?お風呂ではしゃいで泳いでいたりしませんか?」
「ぎくり!!そ、そんなことしないよ!!あは!令嬢らしく静かにしてた!」
まぁ嘘だろうけどザシャはミリヤムの頭を撫でて
「では食事に行きましょう!明日はとうとうスキーですからね!ゆっくりお休みしなくては!」
と微笑んでいた。ミリヤムはうなづき仲良く食堂に行く。
そこで
「ヴィルフリート王子!!私と夕飯を食べませんこと??」
ロジーナ嬢だ。
「ヴィルは私と食べるからダメに決まってる!婚約者でもないのに図々しいね!ロジーナ嬢!」
「まぁ!シーラ様…それならどちらがヴィル様と夕飯を食べれるか勝負ですわ!!」
とロジーナ嬢はその場の椅子に手を触れるとバキバキと椅子が変形し剣に変わったではないか!!剣の一族ディーバー侯爵家…何でも剣に変えてしまう能力か…。
シーラもバチバチと怒りのオーラで
「いつかやりたいと思っていたよ!ロジーナ嬢!!」
と本気でこいつらが戦ったら宿が壊れる!
するとユストゥスを胸に挟みながらシュッツェ先生が来て
「お前達!宿に迷惑だろう!?勝負なら能力なしでしろ!卓球だ!!」
と言う。挟まったユストゥスは既に鼻血を出している。いろんな意味でのぼせているなこいつ。
「いいですわね!卓球!それで勝負をつけますわ!」
「卓球ならコンチャーン様に小さい頃教えて貰ったもんね!私のが上手い!」
勝てると踏んで大きくでるシーラ!
どうなるのか!?
とにかく試合は始まり…そして物凄く俺は後悔した。
ユストゥスは既に鼻血出してシュッツェ先生に膝枕をしてもらい幸せそうだからほっとくが、卓球台の前で二人の美少女達が浴衣の肌を崩しながらとんでもないエロい絵になってた!!
シーラ!ヤバイ!胸とかみ、見えるから!!めっちゃくちゃ動いてるし揺れるし!うわあああ!!鼻血出そうだ!!こんなの誰にも見せられん!!
ロジーナ嬢も動きが俊敏で着崩れして胸ちらや足チラもあり。ここにレオンや会長がいなくて良かった!
しかしピンポン玉がスポッとシーラの胸に挟まった瞬間俺はブッシュと鼻血吹いた!!
「コントロールが下手だね!ロジーナ嬢!今の特典は私のだよ!」
「むかっ!その大きな胸が邪魔なのよ!」
と言い最後のスマッシュはシーラに軍配が上がり
「そこまで!!シーラの勝ち!」
とシュッツェ先生が勝利宣言をしてロジーナ嬢はクズ折れた。
シーラはそのまま息を切らせながらこちらに走ってきて物凄いエロさだ!直せよ!!
「ヴィル!やったよ!!」
「そっそそそそうか…」
と目のやり場に困り赤くなる。
「また汗かいちゃったから少しだけ待っててくれる?お風呂すぐ入ってくる!」
と行こうとして
「待てええ!このバカ!そんな姿で廊下を歩くな!!」
俺は仕方なくチャチャっと崩れた浴衣を直してやる。ふにゃりと胸に触れた気もするが気にしてる場合じゃない!
シーラは嬉しそうにすると風呂場にかけて行った。
「あれ?シーラ様またお風呂に?」
とロホス生徒会長が涼しい顔してマッサージ機に座りながら女子が風呂から出てくるのを眺めている。マッサージ機も父上が職人と開発した。
「会長…さっさと夕飯に行けよ」
「マッサージの最中だからもう少ししたら行くさ!」
だが会長の頭の中は出てきた女子とのエロい妄想でいっぱいだった。ぶん殴りたい。シーラの妄想したらぶん殴ろうと決めた。
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