第19話 相関図的にどうなんだ?
「弟子に!何卒弟子に!」
とナタリーはしつこく言う。
するとシーラが横にきてナタリーに言う。
「ナタリーちゃん!弟子なんてやめて!ヴィルにくっついて修行するなんてシーラ的に無理!ダメ!ヴィルはシーラの婚約者なんだからっ!!」
とこいつはこいつでなんか言ってるし!
ナタリーはハッとして
「シーラお姉様とヴィル神様は婚約者同士…す、素敵ですわ、ああっ!尊いですわ…!お話にしたいっ!!」
いや、するな!!絶対モデルにすんな!!
「凄いわ、ヴィルくんとシーラちゃんの漫画読みたいかもっ!」
とサブリナが煽った。
「ヴィルとシーラの恋愛ものなら描いて欲しいなっ」
とシーラまで頰を染めた!あほめ!!んな漫画が広まったらもう恥ずかしくて外歩けねえよ!ってザシャこの野郎笑い堪えやがって!!ユストゥスは…なんか匂い嗅いでる!
(こっ、これが美少女のお部屋の匂いっ!)
お前はお前で変態かよっ!まぁ男子特有だから仕方ねーか!!
フェイトは
「あー骨折り損だぜー、エロいの出てこねーし、つまんねー」
と勝手にナタリーのベッドに横になったからナタリーは
(ああああっ!フェイトランス様が私のベッドに!あああっ!嬉しい!!)
と悶えていた。
そこでミリヤムが
「ナタリー…お姉ちゃんは悲しい…もっと料理漫画を描くべき…」
と嘆いた。ポイントがズレてる。それにフェイトは
「そうだな!料理漫画か!へえー、レシピ代わりにもなりそうだしな!流石ミリヤムねーちゃん!」
と褒めるとザシャが
「それならジークヴァルト陛下の方が詳しいので陛下が暇な時描いてもらえばいいんでは?
まぁミリヤム様は漫画より実物の方が好きですよねー!」
とザシャが言い、フェイトとザシャの間にまた張り詰めた空気が流れた。
サブリナとユストゥスも固唾を飲みその光景を見守っていてナタリーは
(え?フェイトランス様…まさかっお姉様のことが!?そ、そんなっ…そ、そうですわよね…お姉様の方が魅力的ですもの…ううっ)
と心の中で呟いているが俺的にはえ?どこがっ!?ミリヤムが魅力的だと?ナタリーお前鏡見たことあるのか?と言いたくなる。
いや、別に女は顔じゃないけどこの食欲大魔神の魅力ってなんだ??と思いたくなる。
シーラは俺と目が合うと
「ミリヤムちゃんモテるね!可愛いよね!」
と言う。んんー?可愛いのか?普通に無表情のミリヤムはいつも何か食ってるヤツとしか俺は認識できない!!
つまりザシャとフェイトはミリヤムが好きでナタリーはフェイトが好き。そしてミリヤムは食い物が好きだ!ど、どうなるんだ!?
食い物が勝つのか!?最終的に!?
いやんなわけあるか!?
ザシャの心もフェイトも制御していて読み取れない!しかもザシャは特に隙がなく何を考えているのかさっぱり判らない。フェイトは何となく態度でわかり易い。
するとザシャは俺の方に目を向けてニヤリと笑った。こいつ…ムカつくな。長い付き合いだし判るがザシャは俺の事をよく解ってる。
全く食えない野郎だな。
「んじゃ、荷物置いて来ようぜ。着いたばかりだし休憩だ。それぞれ少し休んだら公都でも観光に行こうぜ!ミリヤムとナタリーは案内頼むぞ」
と俺は言い、とりあえず部屋に荷物を置きに行く。
ベッドでゴロゴロしてるとコンコンとノックされ、ザシャが入ってくる。
「どうも、王子ー!遊びにきましたよー」
ぴっと手を上げるザシャ。こいつから話しかけてくるなんて珍しい。
「遊びにって…この後観光だろ?」
しかしザシャはミニオセロを取り出した。父上が昔前世知識で商会に売ったゲームで白と黒の駒を裏返して遊ぶやつ。
「ま、暇つぶしですよ。付き合ってくださいよ、たまには」
と言うからとりあえず遊びだすとザシャは
「王子…気付きましたよね流石に」
それにビクリとする。
「え?な、何がかな??」
「あはは、私がミリヤム様のことを大好きって言うことにですよー!またまたあ!…まぁ気付いたの今日でしょうけどね?私心読まれないようにしてましたし」
とあっさり暴露する。
「うっ…そ、そうかそうだったのか。ふううん、お前がミリヤムをねええ…」
と一応すっとぼけたが、本当にミリヤムに惚れてんのかああ!?何でだ!?いつからだ!?という疑問。
「あー、私がミリヤム様を好きなのは昨日今日じゃなくて小さい頃物心着いたばかりの時に側でモグモグ小動物みたいに頰ばる姿がもはや可愛くて!!しかもあんなに食べてるのに全く太らない!可愛い!…まぁミリヤム様は余りある魔力補充で食べられてるのですけどね?」
とベラベラ喋りだしたよ!!
これが惚気かよ!
「おお…お前本気なのか?」
一応聞くとザシャは一瞬怖い顔してビクリとした。奴のこんな顔初めて見たぞ!?
「当たり前じゃないですか王子。私達親友ですよね??こんな話親友の王子以外に私がするとでもお思いですか?」
と親友強調された!!まぁそうだけども?ザシャの親友だもんな俺!
「ですので!王子は私の味方ですよね?間違ってもフェイト様の味方ではないですよねえええ??」
とザシャが迫った!!こっ!こえええ!!
こいつ釘差しにきたよっ!自分とミリヤムの仲をフェイトより先に応援しろと脅しにきたよっ!!マジかよ!
「おっ…おう…が、がが頑張ってくれザシャ…応援してる…」
と言うしかなかった。問答無用で。
「それにナタリー様はフェイト様のことを想っていらっしゃるようですしそちらを応援しませんか?何か見てて可哀想じゃないですか?」
と自分の恋路を成功させる為に邪魔なフェイトをナタリーに押し付けようとまでしているっ!!ザシャ…こいつ侮れねえええ!!
「ふふふ、ヴィル王子私達親友ですからね?お忘れなく…」
とザシャはオセロの駒をいつの間にか全部真っ黒にして出て行った。
「………こえええよ」
するとしばらくして俺の部屋のドアノブがバキッと壊され見るとフェイトが
「ヴィル兄ごめんちょっと力入っちまった」
と謝るが俺は髪をハンマーにして殴った。
「この破壊魔!何人んちのドアノブ壊してんだ馬鹿野郎!!」
「ごめんごめん!所でさ…さっきのやつ流石にバレたよね?俺も頑張ってさ。ヴィル兄達に隠してたんだけど」
あ…この展開まさかの?
「あ、俺!小さい頃からミリヤムねーちゃんのことが!すすす好きなんだ!!ヴィル兄!協力してくれよ!ザシャなんかに負けたくない!!俺年下だけど!!」
うあああ!やっぱりの展開!!
「ええとフェイト…あ、あのな…」
するとフェイトは拳を作り
「あ、まさかヴィル兄ザシャの味方か?可愛い従兄弟の俺よりあんな腹黒野郎の味方なの?」
とバキバキ言わせながらいう。お前は可愛くない。そして暴力はやめろ!髪の毛ならいざ知らず、レーナおばさん譲りのその力じゃ俺はフェイトに勝てない。
「いやあ…もちろん頑張れよフェイトー!応援してる!!」
「ヴィル兄!!ありがとう!!大好きだ!また稽古しような!!」
とフェイトは花が咲くような笑顔になるとウキウキ出て行った、おいドアノブ…。
めんどくさいことになった。
すると今度はナタリーが入ってきた。何なんだよ!!
「あれ?ドアノブ壊れていますね?後で修理を呼びますね?」
「ああ、ごめんナタリー、そ、それで何だ?」
一応聞くがもはやこの展開に想像つく。
「あの…私…実は…恋愛もの頑張ってみようと思うんです…師匠」
いつの間にか師匠にされとる!!
「それでですね、叶わぬ恋と知りながらも思い続ける女の子が頑張るお話を描きたいんです!!」
うん、それ自分のことだよな?
(そう…紙になら描いてもいいですよね?私の想い…いつかそれをフェイトランス様に見ていただき想いを伝えたい!!)
と心が言っていた。
「んあー…か、描けばいいんじゃない?が、頑張れ…」
と言うしかなくね?するとナタリーは美少女顔に赤みがさして
「はいっ!頑張ります私!!師匠にも是非完成したらチェックしてもらいたいです!ご指導お願いします!」
と頭を下げられる。つまり協力しろと言うことだ。
結局3人とも俺に協力を頼んでいた。ナタリーが出て行きようやくベッドに横になり休んでるとベッドの下からズルリとなんか出てきた!!
「ぎゃあ!!」
「しっ!」
と口を塞がれた。
俺の上に乗りそいつは
「大変だねー、ヴィル…でも誰か1人を選んで応援しないとややこしいことになるよ?シーラも一緒に考えるね?」
とシーラはにこりと可愛く微笑んだ。
「シーラ…いつからベッドの下に潜んでたんだ!?それからそう言うことは俺の上から降りて言えあほめ!」
と赤くなり、俺は髪の毛伸ばしてそれを手のチョップに変えてシーラの頭を小突いた。
「ヴィルさん、この後どう…」
「あっ!」
ユストゥスとサブリナが壊れたノブを見ながら入って俺とシーラを見て赤くなり慌てて
「お邪魔しましたーー!」
と2人は去っていく!まっ、待てええ違うしっっ!!
となるが時すでに遅しだった。
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