第3話 予想もしないベタベタ
シーラに婚約するか?なんて言ってしまった。
だが仕方ないよな。俺は流されてない!
ローマンおじさんとは違うと言いたい!
正直俺はシーラとどうなるかいろいろ先見で見ている。だからシーラに責任取らすのは普通だ。
「シーラ…ともかく帰るけど…いい加減離れろ!」
と俺が言うと
「え?どうして?だって婚約したもん?」
「あのなっ!正式な婚約は両親の立ち合いの元行われんだよ!!まだだろ!婚約はするけどまだ正式じゃないから…それにっ!学院内で俺にベタベタすんなっ!俺一応生徒会メンバーだからな!他の生徒に示しがつかない!」
「そっそんな…で、でもっ家は別だからベタベタできない!どこですればいいの?」
と涙目になる。そ、そんな目でみるなあほ!
「し、知らん…人目につかないとこ」
と言うとシーラは納得して
「おトイレ?」
とあほ全開のことを言い出したので
「学院内は絶対嫌だ」
と言うと目をキラキラさせて
「じゃっ、早く帰ろう!馬車に乗ろう!」
と言い出した!
えっ!?そりゃもう今日は生徒会の仕事終わったし帰れるが…待ておい…まさかこいつっ
(学院内でベタベタできないなら馬車内でベタベタしよっ!ヴィルとベタベター!)
と考えていやがった!!あほだ!だが上手く言えない!ど、どうすんだ俺!こんなの先見で見なかったから判らん!!
そのままとうとう馬車に乗せられてしまい、俺は何故かシーラの膝の上に乗っていた。
「シーラ…おいどういうつもりだ?」
「シーラとヴィルベタベタするの…お母様よくお父様にこうしてる」
知らんわ!!ローマンおじさん!何やってんだー!!変なとこ娘に見せてんじゃねーよ!!
すると後ろからギュッと抱きつかれて柔らかいものが当たる。
「あ、あほ!離れろ!」
「どうして?人目につかないよ?」
「そ、そういう問題じゃない!」
「ふえっ!?どうして?人目につかなければいいんじゃないの?シーラのこと嫌い?」
「いちいち泣くな!まだ早いだろ!」
「ううん?そんなことないよ!ずっとずっとシーラヴィルが好きだったの!婚約してくれて嬉しいのっ!」
とシーラが俺の頰にチュッとキスしてきた!
流石に驚いて俺は赤くなる。
うあああ!なんだこいつ!やべえ!
シーラは潤んだ目で見てくる。これはやべえ!
俺の貞操がやべえ!!流石あのハクチャーン様の娘だ!
俺は知ってる!ハクチャーン様は娘にどうやって子供をつくるのかをもう娘に仕込み済みなのだ!ドラグーはメスの子孫を残すために頑張るのが使命のようなものだと前に言っていた。
ローマンおじさんがぐったりしているのは何度か見た。
ローマンおじさんみたいに俺もなるのか!?
「お、おいシーラ!!だ、ダメだ!まだ俺たち正式じゃないからな!!それまではイチャイチャしない!!」
と俺はとりあえず振り解き向かいに座った。
「正式ならいいの?ならこれからちゃんと両親を呼ぼう」
「え?」
とシーラに言われてうちの両親とシーラの両親は顔を合わせることに急遽なった。
王宮の応接室にとりあえず座った。執事長のフェリクスさんの息子のザシャは俺つきの従者だ。年も近く友達みたいなものだ。
「ヴィル王子ーっ、ついに婚約ですかあ」
としみじみ言う。
「おお、ヴィルついに婚約するのか?まぁいいよシーラちゃんなら歓迎だしずっとヴィルもす…」
メシャッと父上の顔にケーキを投げてしまった。
「陛下!!」
ザシャが慌てた。
「ヴィルどうしたの?」
母上も驚いた。
「すみません母上ーっ!つい手が滑ってー!」
俺は父上の頭の中にテレパシーを送った。
(おいこら!父上!お前何言う気だ?余計なこと言ったらテオドール叔父さん呼んで母上を泣かせたって言ってやろうか?あ?俺と叔父さん仲良いから?父上叔父さんのこと怖いでしょ?)
と送ったら
(うわっ…それだけはやめてくれ!ヴィル!判った!変なこと言わない!!)
と父上は大人しくなった。よしっ!
「うむ、我もヴィルならば良い。シーラはずっとヴィルを想っていたからな!シーラ!良い子を産む為に頑張るのだぞ!?」
とこっちはこっちでとんでもないこと言い出した!!
「はいっ!お母様!教えてもらった体位とかも覚えました!」
と言うとローマンおじさんや父上や母上も赤くなった。
てかなんつーこと教えてんだ!!
俺まだ子供なんだよっ!!
「いや…ハク…シーラ…流石にまだヴィルは10歳だからね?ダメだよ?ドラグー社会がどうなってるかは聞かないけどもう少し成長しないとダメだからなっ?なっ?ヴィルー?」
とちょっとだけローマンおじさんは同情と哀れみとほんの少しの怒りを見せた。どれか一つにしろおじさん!!
「そっか!アレのサイズがまだ!!」
とシーラが口を抑える。
「ふむ…そうじゃな、シーラ…せめてもう少し●●るまで待つことだな」
「………」
もういやだ、消えたい…。
父上はもはやざまあという顔をしている。母上は恥ずかしそうに顔を扇子で隠す。母上の方がよっぽど可愛らしい!!
そんなわけで俺とシーラの婚約はあっさり認められて正式な婚約者同士になった。
まぁそうだよな…あんな恥ずかしい先見まであるんだから…。もう察してください。俺とシーラが成長するまで時間があるだけマシ。
ローマンおじさん達は今日は王宮に泊まることになったから一緒にシーラ達とも晩餐をした。婚約祝いだからと父上がまた厨房に入ってるし。国王陛下のくせによ!
だが父上の前世料理は美味いから反対はしない。俺は父上の作るグラタンってやつが好物だった。
皆でグラタン頬張ってちょっと幸せだなって思った。
その後ゆったりと風呂に入り寝る準備して部屋に入る。明日は学院休みだしはよ、寝よとボスンとベッドに横になると柔らかいものが手のひらに当たった。
「ふあっ」
驚いて見るとそこには赤くなったシーラがいた。
俺は額を抑えて
「何しているんだシーラ?俺のベッドだぞ?部屋を間違えたな?」
と聞くと
「ううん、婚約者だから一緒に寝なさいってお母様が…」
ハクチャーン様かっ!!あのあほ神獣!何を考えてんだ!!
するとシーラは微笑んで
「早く寝よう…ヴィル…」
と引っ張る。普段はいじらしく可愛いのにこういう時だけ物凄い力で俺を引っ張るのでまたシーラの胸にダイブし、俺はしっかり抱きしめられる!俺は抱き枕じゃない!
「おい!シーラ!苦しい!!離せ!あほ」
「婚約者だから一緒に寝るの!」
(寝てくれるって約束するまで離さないもん)
と心の声が聞こえてげんなりして
「判った…い、一緒に寝てやるからちょっと離れろ…」
「わーい!」
とようやく楽になった。
そしてシーラは
「じゃあおやすみのキスしてっ?」
「はあっ!?お前は小さい子供かっ!12にもなって!!」
「違う!それは子供に親がほっぺにするやつでしょ?私達は婚約者だから…寝る前は口にするんだよ?」
と言う。こっここここの小悪魔!!
婚約なんかするんじゃなかったかも!?と思ったがシーラは目を瞑り待っている。そのまま寝てくれって思うけど
(まだ?まだかな?まーだ?)
心の声が催促してきやがるわ!!
くっそ!ここまで先見できてればなぁ!
ちっ!と舌打ちして俺はシーラにまたキスする羽目になった。絶対流されてないからなっ!!
しかしシーラ中々離してくれない!!
「んっ!んん!んー!!……ぶはっ!!」
「あ…」
シーラ…お前っっ……
「何大人のキスかましとんだあほがっ!!」
とシーラの額をバシンと叩く。赤くなり俺は自分の枕を持ちザシャの部屋へ行って寝た。
ザシャは
「私…そんな趣味ないんですけど…」
って言うから
「俺もねえわ!!」
と叫び眠った。これじゃ身が持たん!明日は休みだしフェイトのとこに逃げよう!
と俺は思った。
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