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 一日中、なんにもできなかった。何をしていても昨日のことを思い出してしまって、薄桃色の霧が心境に立ち込めるようで、それを払えば払おうとするほど濃度が増してく、みたいな。そういう具合だった。


 そもそも朝、目覚める前からあれだった。端的に言うと、やらしい夢を見た。

 書くまでも無いだろうけど、オオタキとのアレソレの夢だった。

 今までにもそういう夢を見たことが無かったと言えば、嘘になる。

 いや、結構あった。うん。でも、だって寝る前にこんなもん書いてるんだから、そりゃ夢にも見るに決まってるでしょ。一体なにを開き直ってるんだろうか。

 そういう理由で、夢を見たのが初めてじゃないにしても。実際にこの身体で、一度経験をしてから改めて、となると。

 質感というか、手触りみたいなものがまるで違った。正直に申し上げると、夢だと気づいたときにちょっとがっかりしたりした。落ちるとこまで落ちてしまってるみたいだ、私は。

 詳細は、省くけども。


 そのせいで、もうものすごい気分で目が覚めてしまい、遅れてそれが夢だと気づいたとき、なんだか自分がとてつもない変態に思えて、それからほんのちょっぴり残念な気持ちが去来して。

 いやいや、何が残念だアホか私は、と複雑にくるくる回る思考に追い付けない。肌寒い冬の朝の空気とは対照的に身体は熱く、不快な汗が肌を覆っていた。


 午前中にこたつのケーブルを買いに行くことになっていたから、髪を整えて着替えて、とするときに全身鏡に写る自分の下着姿を一瞥して、それだけで、色々思い出してつむじからぼーんと蒸気でも湧き立つみたいに顔が熱くなった。

 本当、やられてる。こんなとこをオオタキに見られたら、自殺しちゃう。


 いつも寝る前なんかには何の用事が無くたって電話かラインかはするのに、今日はそれも無かった。オオタキと付き合い始めて、こんな夜を過ごしたのは初めてかもしれなかった。オオタキも、私と同じような心境で居るんだろうか。そうじゃなかったら、ちょっとつらい。違うだろうけど、それでもほんのちょっとは、思うところもある。明日の朝、おはよう、くらいはラインしてみようか。

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