7/11 書けない 3
ダメだとわかっているのに私はまだ、彼女の隣に居たいと願ってしまう。体面だけでもオオタキと付き合っているというこの状況を手放してしまうのが、惜しくて、惜しくて、堪らない。悪いことをしてる自覚は、痛いほど感じてる。わかってる。もう、前のように頭を空っぽにして、ただ可愛い可愛い好き好き、と思うことができない。今抱えてるのは、前のように真っすぐな好意じゃない。ぐにゃぐにゃ曲がって、ぐるぐる廻って、加えて濁りきって穢れた、醜い好意に成り果ててしまった。その産物が、この隠し事だ。あの幼馴染はもう言い寄ってこないよ、って私の口から言わなければ、きっとオオタキから離れていくことはない。そう、確信してる。……だってオオタキは、私のことが、好きだから。言えば、理由がなくなれば、どうすればいいかわからなくなって、だから、停滞する。このままで居たいならそう言えばいいのに、望みはもう手の届く場所にあるのに。オオタキだって、きっとそれを望んでいるのに。愚かな私には、私の大嫌いな私自身は、どうしたって、それができなくて。オオタキと私なんかじゃ、どうやったって釣り合うはずはないって。なのに。痛いほどに自分がそれを一番わかってるはずなのに。そうやって無意識のうちに、彼女の好意を利用して甘い汁を啜ろうとしてる。彼女の相手は私じゃダメなんだってわかってるのに、心のどっかで私じゃなきゃイヤだって思ってる。本当に、最低だ、私は。どうなれば私は満足するんだ。別れても嫌、このまま付き合うのもダメ、他の友達と仲良くしてるのももやもやする、でも自分からは動けない。動かない。幼馴染の話は、やっぱりまだ、できないままでいる。
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